きっと、君は知らない

mahiro

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お兄ちゃんを前にしたあの人は表情ひとつ変えることなく、初めて会った風を装っていた。

2人が最期に会ったのはお兄ちゃんが中学校3年生の卒業式だった筈。

今世では私もお父さんもあの人に会っていないのだから、もっと再会を喜べば良いのにどうして無表情なの?


「旅ですか。確か、ムシューニにという人を中心に困っている人たちを助ける活動をなさっている方々がいると耳にしたことがあります。もしかして、貴殿方のことでしたか?」


「せや。恐らくやけど、そのうち『矢』を探す旅にも出ることになる。その前に能力を自在に使えるようにしておく必要もあるんやけど…自分はまだしも隣の子はまだコントロール出来てへんな?なら、早い段階でこっち来た方がええ」


「………前向きに検討いたします」


「頼む。んじゃ、今週中には返答してな」


そう言い残し、お兄ちゃんは2人のもとを去って行った。
お兄ちゃんに記憶はないから、あっさり去っていくのは分かるけれど、どうしてあの人は記憶があるのに引き止めなかったのだろう。
転生者が隣にいるからだろうか。


そもそもこの世界は私の願いが作り出した世界なのに、どうして転生者がもうひとりいるのだろう。

私の願いだけを叶える世界ならば、あの人以外の転生者は不要なはずなのに。
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