紹介なんてされたくありません！

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泣いている父親にハンカチを手渡しながら、元哉の母親は真っ直ぐな眼差しで問いかけてきました。


「それで？その恋人とはいつ結婚するんだ？まさかそれだけ惚れ込んでおいて先のことは考えていないとか言わないだろうな」


結婚、その言葉に僕は息を止めたくなりました。
いくら元哉がこんなにも僕のことを大切にしてくれていたとしても、僕たちは結婚することは出来ません。
世間にも公に出来るような関係性ではないのです。
だから僕はこんな関係性はやめた方がいいと何度も元哉に言ってきたのですが、元哉はその度に『そんな理由で君を諦めたくない』と言い続け、僕はそんな彼に負け、付き合うことにはなりましたが、僕はまだその気持ちを保持したままです。
いつかはこの関係性は崩れてしまう。
いつかは元哉の目が覚め、現実を見て僕のことなんて捨ててしまうだろう。
だから未来のない、何も生産されない関係などいつかはやめなくてはならないだろうとずっと思っています。