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なんでもできる人③
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リビングに顔を出すと、黒瀬さんがソファーで本を読んでいた。
スーッと通った鼻筋が美しい横顔で、思わず見とれてしまう。
私の視線に気づいたのか、彼が振り返って微笑んだ。
「おはよう」
どきん。
私の心臓が飛び跳ねた。
ただ挨拶されただけなのに。
うろたえた私は早口に言った。
「おはようございます。私、帰りますね」
恥ずかしいような落ち着かないような気分で、いたたまれなかったのだ。
黒瀬さんは片眉を上げた。
「そんなに急いで帰ることもないだろう」
引き留められたが、私は首を横に振った。
「明日からまた普通に仕事ですよね?」
「あぁ、文が丘の件はいったん落ち着いたから、今度は神野リゾートの基本計画を手伝ってもらいたい」
「だったら、やっぱり家に帰って、洗濯とかしたいです」
私がそう言ったら、黒瀬さんは納得したようでうなずいた。
立ち上がって、そばに来て、腰を引き寄せると、私の額にキスをした。
「そうか。じゃあ、また明日な」
口端を上げて微笑む顔はいつもと同じはずなのに、正視できないほど格好よく見えてしまう。
だめだわ。早く帰って落ち着こう。
私は荷物をまとめて、逃げ帰った。
家に帰って、掃除や洗濯をしながら、頭の中は黒瀬さんのことで埋め尽くされていた。
(嫌いだったはずなのに……)
惹かれてやまない自分がいる。
抱かれたから? ううん、本当はずっと惹かれていた。
最初は彼の創り上げる建築に、魅力的なプレゼンに。そして――。
パンッと自分の頬を叩いた。
「どっちにしても、仕事中はこんなふやけた顔してちゃだめよね」
気合いを入れる。公私混同は嫌だ。
スーッと通った鼻筋が美しい横顔で、思わず見とれてしまう。
私の視線に気づいたのか、彼が振り返って微笑んだ。
「おはよう」
どきん。
私の心臓が飛び跳ねた。
ただ挨拶されただけなのに。
うろたえた私は早口に言った。
「おはようございます。私、帰りますね」
恥ずかしいような落ち着かないような気分で、いたたまれなかったのだ。
黒瀬さんは片眉を上げた。
「そんなに急いで帰ることもないだろう」
引き留められたが、私は首を横に振った。
「明日からまた普通に仕事ですよね?」
「あぁ、文が丘の件はいったん落ち着いたから、今度は神野リゾートの基本計画を手伝ってもらいたい」
「だったら、やっぱり家に帰って、洗濯とかしたいです」
私がそう言ったら、黒瀬さんは納得したようでうなずいた。
立ち上がって、そばに来て、腰を引き寄せると、私の額にキスをした。
「そうか。じゃあ、また明日な」
口端を上げて微笑む顔はいつもと同じはずなのに、正視できないほど格好よく見えてしまう。
だめだわ。早く帰って落ち着こう。
私は荷物をまとめて、逃げ帰った。
家に帰って、掃除や洗濯をしながら、頭の中は黒瀬さんのことで埋め尽くされていた。
(嫌いだったはずなのに……)
惹かれてやまない自分がいる。
抱かれたから? ううん、本当はずっと惹かれていた。
最初は彼の創り上げる建築に、魅力的なプレゼンに。そして――。
パンッと自分の頬を叩いた。
「どっちにしても、仕事中はこんなふやけた顔してちゃだめよね」
気合いを入れる。公私混同は嫌だ。
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