アルス・アマトリア ~三角関係? だけど僕たち幸せです!~

大波小波

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 オフィスに戻った秋也は、ようやく憑き物が落ちたような心地になった。
 そこにはいつもの日常があり、堀がパソコンのモニターを覗き込みながら、コーヒーを飲んでいた。
 近づいて来た秋也に気付いた堀は、顔を上げて声を掛けてきた。
「おかえり。あれっ? 守岡は一緒じゃないのか?」
「あ、うん……先に戻るように言われた」
 嘘をごまかすように堀にファイルを渡すと、秋也はデスクに戻った。
 しかし、残してきた玲のことが気になる。
(子どもじゃないんだから、大丈夫……のはずだ)
 仕事に没頭し、なるべく考えないようにしたが、玲はなかなか戻ってこない。
 さすがに遅いと心配し始めたその時、オフィスのドアが細く開かれた。
 真っ先に気付いたのは、堀だ。
 彼の声で、秋也は玲の異変に気が付いた。
「どうしたの、守岡。遅かったじゃん」
「ごめんね。あの、それでさ……ちょっと気分が悪いんだ。早退しても、いいかな?」
「マジで顔色ヤバいよ! 上長には俺から言っとくからさ、すぐに帰りなよ!」
 医療所で見て貰って、少し休んでから帰ると良いよ、などと喋る堀の陰に隠れて、秋也には玲の姿が見えない。
 彼を一目見ようと、秋也が立ち上がると同時に、ドアは閉じられた。
 玲の代わりに、堀の心配そうな顔が残っている。
「守岡、具合が悪いから帰るってさ」
「……そうか」
 そう仕向けたのは、自分なのだ。
 後悔の波が、ひたひたと秋也の胸を浸し始めた。

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