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しおりを挟む「北條さんが、一方的にしてきたから、今のは無しです!」
「じゃあ、今度は杏くんからしてくるといい」
「え……」
「待ってるから」
それきり黙って、柔和な笑顔で杏を見る真の目は優しい。
「えっと……」
(僕から、キスとか。まだ恥ずかしいのに)
それでも、真に惹かれる。
引き寄せられる。
アルファ男性の持つ、波動のようなものを、杏は感じていた。
言うことを聞かざるを得ないような、絶対感。
征服者の持つような、圧倒感。
杏はそれから逃れようと、必死になった。
「あの。北條さん、会社で何かあったんですか?」
「ぅん?」
「急に、こんな。何だか、変です」
「あったな。良いことが」
良いこと。
何だろう。
「杏くんと同じ日に採用になった、オメガの詩央くん。彼と、寝た」
「ね、寝た!?」
寝るというと、二人でぐうぐう眠ったわけではないだろう。
幼い杏にでも、それくらいのことは解る。
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