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しおりを挟む「……真さん」
「何だ、眠ったんじゃなかったのか」
そんなに素早くは眠れません、と笑った後、杏は瞼を閉じたまま話しかけた。
「今日、デートしました。ショッピングしたし、映画も見たし、お料理もおいしかったです」
「そうだな」
「夜景も……、素敵でした」
「うん」
そこで、杏は目を開いた。
「僕、恋人になれましたか? 真さんの恋人に、なれたんでしょうか」
「そんなことを気に病んでいたのか」
心配しないで、と真は杏の頬に手のひらを当てた。
「君が私のことを『真さん』と呼ぶようになってからこっち、杏はずっと私の恋人だから」
「真さん」
杏の目から、涙が一粒こぼれた。
泣きはらした、赤い目の涙ではない。
喜びの、きれいな涙だった。
「キス、してもいいですか?」
「いいよ」
真は、そっと目を閉じた。
瞼にではなく、唇に柔らかな感触が、押し付けられてきた。
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