おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第六章 新たな装備

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「グレイズさん、鼻の下が伸びてるわよ。アウリースは魅力的な子だけども、恥ずかしがり屋なんだからね。そんな子があの装備選んだ意味を察してあげてよ」

 露出度の高い装備を持ったアウリースを見送った俺に話しかけてきたのはメリーであった。

「ああ、そうか。そういうことか。え! そういうことなのか?」

 メリーが言った意味を一瞬理解できなかったが、よく考えてみれば、アウリースがあの装備を選んだ理由が理解できた。

「そういうこと。これ以上は私の口からは言わないからね。さって、グレイズさんには私の装備を選んでもらおうかな」

「ああ、メリーの装備か……」

 万事控えめなアウリースがあの装備を選んだ意図に関しては、おおよその事情を察することはできた。

 男としては嬉しい反面、関係を進めようと焦らなくても、俺としては彼女たちの成長を待つつもりでいる。

 神様公認の赤い糸を結ばれた子たちが、俺から離れると不幸になると言われている。だから死ぬまで、いや多分死んでからも傍を離れることはないだろう。

 慌てる必要はないんだと言いたいが、彼女たちにも事情があるんだろうな。

 俺はアウリースの件を考えながらも、メリーの装備を見繕っていく。

 神殿騎士のメリーは筋力にかなりの余裕があるため、より防御力特化の装備を選んで固くなってもらうつもりだ。

 二人で倉庫内を歩き、装備を探していく。

 戦士系の装備は需要が高いためかなり種類が揃っており候補となる装備がいくつも出てきていた。

「グレイズさん、一応予備とはいえ魔法も使えるジョブだから、そっちの効果も上がる装備とかも選択肢としてはありよね?」

「ああ、付与されていればありだと思うが、現状の鎧よりも防御力が上昇することが前提だぞ。中層階でも下の方は攻撃が強力になるしな」

「そうなのね。じゃあ、これは駄目ね。こっちかしら」

 父親の形見である鑑定の指輪をしたメリーが、装備ドロップ品を見比べて、より自分に合った装備をさがしている。

「魔法耐性も上がる方がいいから、それも考えて選ぶといい。下は魔法を放つ奴らが増えるからな。物理防御だけじゃ壁役は無理になるし」

「こういう時はやっぱり下まで潜った人がいると助かるわね。装備構成を考えるのに必要なことをアドバイスしてもらえるし」

「中層階でも一五階層から下はまた一段と強さが増すからな。しっかりと装備整えておかないと苦戦するんだ」

 ブラックミルズのダンジョンも一五階層から魔法を放つ敵が激増してくる。それまで物理防御で壁役を担っていた戦士が魔法で溶かされてパーティーが全滅したという話もチラホラとあるので、壁役の魔法対策はしっかりとしておいた方がいい。

 幸い、メリーは元々魔法耐性の高い上位職の神殿騎士であるが、念には念を入れて対策を施しておくに限る。

「グレイズさんのアドバイスも参考にすると、私はこれかしら」

 メリーが手に取ったのは神殿騎士の重鎧と吸収の大盾であった。

 神殿騎士の重鎧は、重量がかなりあるが魔法防御も物理防御も高く設定されている高性能な全身鎧で、吸収の大盾は敵の魔法攻撃を盾で受け止めると装備者の魔力に変換されてるレアな盾であった。

「神殿騎士の重鎧が二〇万ウェル、吸収の大盾が一五万ウェルだから、三五万の二割引きで」

「二八万ウェルね。武器代も残しておきたいから、ギリギリくらいか」

「そうだな。総じて武器の方が値段が張るからな。それくらいで収めておいた方がいいぞ」

「そうね。じゃあ、試着してきてみるわ」

 装備を手にしたメリーも試着室に消えていく。すると、俺の肩を背後からトントン叩く者がいた。

 振り返るとそこにいたのはカーラである。

「グレイズ、私、装備更新よりも魔法書欲しい。だから、この装備代を魔法書代に回していいか? もし、駄目ならこの前メリーが言ったスポンサー入れる話進める。スポンサー料で装備整えて、浮いた分を魔法書買うのはいい?」

 装備を見ていたカーラであったが、回復支援が主な仕事であるカーラであるため、装備の更新よりも多彩な魔法書を習得する方にお金を使いたいようだ。

 それに、以前メリーが言っていたスポンサー制復活に向けて、メンバーの装備にスポンサーを付けるという話があったのをカーラが思い出させてくれた。

「そういえば、そうね。装備代五〇万ウェルくらいなら商店街の店がスポンサーになってくれるわ」

「そ、そうなんですか。五〇万ウェルですよ。スポンサーってことは宣伝費用ってことですよね。私たちにそんな価値があるかしら」

「ファーマはわかんなーい。みんなと一緒がいいー!」

 試着室の中でカーラの話を聞いた三人がスポンサー制のことを思い出したようであった。

 ふむ、スポンサー制を復活させるにはいい機会か……。装備代予算四人で二〇〇万ウェルだもんな。最近の儲かり具合見てたら、商店街の連中も金を出しそうな気はする。

 ダンジョン販売店によってプレミアム価格の販売が可能となった商店街の連中は案外と懐が温まっている。地上においても廉価攻勢していたフラマー商会は店を畳んで退去したため客は戻り始めており、スポンサー依頼を出せば数人くらいは応じる余裕のある者がいるだろう。

「メリー、装備代四人分二〇〇万ウェルのスポンサー料は集められそうか?」

 スポンサー契約の話をまとめているメリーに可能かどうかの確認をとる。

「二〇〇万ウェルくらいなら即決で決まるわよ。スポンサー契約する?」

「魔法書を充実させるのには膨大な金がいるからな。装備の方をスポンサー料で賄えるならそうしておきたい」

「いいわよ。じゃあ、この後で商店街寄って話を詰めておくわ。スポンサー料ありで考えてもらっていいわ」

 メリーから確約の返事が出たため、スポンサーはほぼ決まりでいいようだ。

「カーラ、装備はスポンサー料で賄うそうだ。魔法書に金を回していいぞ」

「承知。なら、装備を選んで欲しい」

 俺はカーラとともに倉庫の中から装備品を探すことにした。

 しばらく、装備品を探していると精霊王の聖衣が見つかる。

 これは精霊を使役しやすくなり、精霊魔法を使用する際の魔力の消費を抑えられる装備であった。回復支援として色々と魔法を使用するカーラとしては消費量が減れば魔法を行使できる数が増えるのと同等であるためパーティーの戦力維持に必須な装備であると言えた。

 だが、値段は四〇万ウェルとなっている。

「ちょっと高いけど、カーラの回復支援はパーティーの命綱だからな。ここは買うべきかと思うぞ」

「グレイズがそういうならちょっと試着してくる」

 装備を受け取ったカーラもまた試着室の奥に消えていった。
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