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第二部 第七章 街の未来
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メンバーの装備にスポンサーたちの思惑を書いた文言がついてから、『追放者』はブラックミルズの冒険者の中で一段と注目を浴びる存在となっていた。
注目を浴びた理由は主に二つ。
一つは長年の渡り途絶えていた商店街のスポンサー制を復活導入させたパーティーとして。
そして、もう一つは……俺が可愛い子を侍らせてウハウハしているハーレムパーティーとして。
おかげでブラックミルズの男性冒険者の多数の憧れと一部の嫉妬を一身に浴びることになったのだ。
そんなわけで探索を終えて、息抜きにジェイミーと男同士、酒場で飲んでいると男性冒険者が隣座り話しかけてきた。
「グ、グレイズさんっ! どうしたらグレイズさんみたいに可愛い子を何人も奥さん候補にできるんですか? やっぱ金ですか? それとも顔? まさか夜の……」
男性冒険者のあまりに真剣な表情に思わずドン引きしそうになるが、彼にとっては女性にモテるのが重大事なのだろう。
「あー、その件に関してはな、俺にも分らんとしか答えようがない。いつの間にか周りを固められていたとしか言いようがないんだ」
今の俺の状況に神様の介入があったなどと口が裂けても言えないので、男性冒険者に真面目に答えてやることはできない。
「じゃ、じゃあ。どうすれば、女性にモテますかね。俺、モテなさ過ぎて……」
戦士風のいで立ちをしている男性冒険者の顔立ちは悪くなく、むしろ女性受けしそうな顔をしていた。
「そうだなぁ、この世界は神様によって運命の赤い糸ってやつで結ばれた者がいるらしいんだわ。そういった子に出会うと自分の直感が体に働きかけるようになるらしい。つまり、ピンと来たらその子に恥ずかしがらずにこっちから猛アタックをかけるべきということだな。待ってても相手は寄ってこないことが多いし」
「ピンと感じた人に自分からですか……。でも、振られたら……」
「その時は赤い糸が繋がってなかった人ってことさ。こればっかりは見えないんで自分の直感に従うしかないわけだ」
「自分の直感を信じて運命の赤い糸の人に出会えば付き合ってもらえると……」
「ああ、そういうことさ。自分の直感に従え」
「分かりましたっ! グレイズさん、アドバイスありがとうございます」
男性冒険者が嬉しそうに顔をほころばせると、元居た席に戻っていった。
まぁ、赤い糸云々の話は俺自身があの幼女女神から聞いた話であるが、あの幼女女神は結構雑というかいい加減なこともあるから、もしかしたら手抜きをして繋いでいない可能性もある。
だが、さきほどの男性冒険者の面相であれば、自分から猛アタックをかけていけば靡いてくれる女性も多々いると思われた。
そんな俺と男性冒険者のやり取りを聞いていたジェイミーが含み笑いをしている。
「運命の赤い糸か。グレイズは何本繋がっているんだろうな。メリーだろ、ファーマだろ、カーラ、アウリース、セーラ、そしてアルマもだろ。グレイズの場合他にもいっぱい繋がってそうだがな。何個も結びついていて綱みたいになっているんじゃねえか。フハハ」
「うっさい。そこは笑うところじゃないだろうが」
「実際、十本指があるからあと四人くらいはいそうな気がするぞ」
ジェイミーの言葉にふと人間になったハクと幼女女神の姿がよぎったが、速攻で打ち消していく。神様や神族まで嫁にするとか不遜すぎるだろ。
不遜な考えを起こした俺は手にしていたエールを一気に喉に流し込むことにした。
「ふぅう。うめめええ。仕事の後の一杯は最高だ」
「ちぃ、話を逸らしたか。まぁ、いいか。そうだ。直感で思い出したが、グレイズの直感は外れたようだな。あのお飾りと思われた貴族のボンボンのギルドマスターだが、えらく治安維持にご執心で、私兵を編制し治安維持部隊の名を『衛兵隊』に変えた新設の部隊ながら、ブラックミルズの犯罪組織を次々に摘発して壊滅させてやがるぞ。おかげで歓楽街の人相の悪い連中が消えたと街の連中が噂してる」
今日、ジェイミーと飲んでいるのは、男同士の飲みにケーションがしたかったこともあるが、もう一つの理由はここ最近のブラックミルズの裏の世界の様子を聞くためでもあった。
新任のギルドマスターは予想に反して、ブラックミルズの治安改善をジェイミーやアルマ時代より積極的に推し進めているのだ。
ジェイミーの報告にもあったが、歓楽街を根城にしていた犯罪組織や闇市の関係者だった者、犯罪者まがいの冒険者などといった者たちが『衛兵隊』と呼ばれるギルドマスターの私兵部隊によって次々に摘発され、この一ヵ月で急速にブラックミルズの治安が回復してきていた。
「らしいな。俺も商店街の連中から新しいギルドマスターはジェイミーより役に立つと聞いたぞ」
商店街の連中にチクリと言われたことがよほど気になったのか、ジェイミーが手にしていたエールを飲み干していく。
「ふぅうう。ちぃ、あの連中は言いたい放題言ってくれるぜ。まぁ、実際俺が率いていた治安維持部隊とは比べ物にならないほど精強な私兵部隊だったわ。遠くからチラ見した程度だが、元軍人らしい動きしたやつやベテランの冒険者って感じのやつも多数いたからな。冒険者崩れ主体の俺の部隊とは実力が違い過ぎたわ」
ジェイミーの率いていた治安維持部隊は、冒険者を引退した者や冒険者を目指さなかった者を中心にしたメンバーで、基本は情報収集が主な業務となっており、荒事にはあまり向かない者が多かったそうだ。
給料も安く、危険度の高い治安維持部隊の要員はなり手が少なく、ジェイミーもやりくりに四苦八苦していたと思われる。
「今回のギルドマスターは本気度が違うってわけだな。これでようやくブラックミルズも依然のような落ち着きを取り戻すことになりそうだな」
「ああ、そうなるといいな。一応、元部下たちには引き続き街の裏側を探らせてはいるが、特に気になる話はないな。ただ、『衛兵隊』の常駐する屋敷に訪れる商人が結構多いのと、ブラックミルズの冒険者ギルドを介さない流れの冒険者がダンジョンに向かう道でチラホラと見られるようになったという話しくらいか」
ジェイミーが教えてくれた話は俺も少し気になっていたことであった。新設された『衛兵隊』は物資の補給を近場のブラックミルズの街からではなく、外部からの補給に頼っており、輸送経費の観点から考えれば地元で買った方が断然安く済むと思っていたのだ。
ただ、『衛兵隊』自体がギルドマスターの私兵集団であり、個人的な伝手があってそちらから品物を仕入れて補充にあてているのかもしれないと思った。
あと、ジェイミーの言った通り、流れの冒険者の数がここのところ数が増えている。しかも、皆ブラックミルズダンジョンとは別のダンジョンで経験を積んできた上位ランクを持つベテラン冒険者ばかりで、第一〇階層のうちの店も素通りして口数少なく中層階や深層階に向けて潜っていくのを何度も見かけていた。
流れの冒険者は昔からいなかったわけではないが、地元の冒険者ギルドを介さずにダンジョンに潜るやつらは初めて見た。冒険者ギルドを介さずに潜ると納品や討伐等の依頼料をもらえないため、ドロップ品の収集しかできなくなるのだ。
「ちょっと気になるが、問題となっていないだろ。引き続き様子だけ探っておいてもらえばいいさ」
「それもそうか。街は平穏さを取り戻してきているしな」
ギルドマスターの動きは気になるものの、取り立てて街への影響がありそうな事案はないため、ジェイミーには様子見を続けてもらうことにしておいた。
注目を浴びた理由は主に二つ。
一つは長年の渡り途絶えていた商店街のスポンサー制を復活導入させたパーティーとして。
そして、もう一つは……俺が可愛い子を侍らせてウハウハしているハーレムパーティーとして。
おかげでブラックミルズの男性冒険者の多数の憧れと一部の嫉妬を一身に浴びることになったのだ。
そんなわけで探索を終えて、息抜きにジェイミーと男同士、酒場で飲んでいると男性冒険者が隣座り話しかけてきた。
「グ、グレイズさんっ! どうしたらグレイズさんみたいに可愛い子を何人も奥さん候補にできるんですか? やっぱ金ですか? それとも顔? まさか夜の……」
男性冒険者のあまりに真剣な表情に思わずドン引きしそうになるが、彼にとっては女性にモテるのが重大事なのだろう。
「あー、その件に関してはな、俺にも分らんとしか答えようがない。いつの間にか周りを固められていたとしか言いようがないんだ」
今の俺の状況に神様の介入があったなどと口が裂けても言えないので、男性冒険者に真面目に答えてやることはできない。
「じゃ、じゃあ。どうすれば、女性にモテますかね。俺、モテなさ過ぎて……」
戦士風のいで立ちをしている男性冒険者の顔立ちは悪くなく、むしろ女性受けしそうな顔をしていた。
「そうだなぁ、この世界は神様によって運命の赤い糸ってやつで結ばれた者がいるらしいんだわ。そういった子に出会うと自分の直感が体に働きかけるようになるらしい。つまり、ピンと来たらその子に恥ずかしがらずにこっちから猛アタックをかけるべきということだな。待ってても相手は寄ってこないことが多いし」
「ピンと感じた人に自分からですか……。でも、振られたら……」
「その時は赤い糸が繋がってなかった人ってことさ。こればっかりは見えないんで自分の直感に従うしかないわけだ」
「自分の直感を信じて運命の赤い糸の人に出会えば付き合ってもらえると……」
「ああ、そういうことさ。自分の直感に従え」
「分かりましたっ! グレイズさん、アドバイスありがとうございます」
男性冒険者が嬉しそうに顔をほころばせると、元居た席に戻っていった。
まぁ、赤い糸云々の話は俺自身があの幼女女神から聞いた話であるが、あの幼女女神は結構雑というかいい加減なこともあるから、もしかしたら手抜きをして繋いでいない可能性もある。
だが、さきほどの男性冒険者の面相であれば、自分から猛アタックをかけていけば靡いてくれる女性も多々いると思われた。
そんな俺と男性冒険者のやり取りを聞いていたジェイミーが含み笑いをしている。
「運命の赤い糸か。グレイズは何本繋がっているんだろうな。メリーだろ、ファーマだろ、カーラ、アウリース、セーラ、そしてアルマもだろ。グレイズの場合他にもいっぱい繋がってそうだがな。何個も結びついていて綱みたいになっているんじゃねえか。フハハ」
「うっさい。そこは笑うところじゃないだろうが」
「実際、十本指があるからあと四人くらいはいそうな気がするぞ」
ジェイミーの言葉にふと人間になったハクと幼女女神の姿がよぎったが、速攻で打ち消していく。神様や神族まで嫁にするとか不遜すぎるだろ。
不遜な考えを起こした俺は手にしていたエールを一気に喉に流し込むことにした。
「ふぅう。うめめええ。仕事の後の一杯は最高だ」
「ちぃ、話を逸らしたか。まぁ、いいか。そうだ。直感で思い出したが、グレイズの直感は外れたようだな。あのお飾りと思われた貴族のボンボンのギルドマスターだが、えらく治安維持にご執心で、私兵を編制し治安維持部隊の名を『衛兵隊』に変えた新設の部隊ながら、ブラックミルズの犯罪組織を次々に摘発して壊滅させてやがるぞ。おかげで歓楽街の人相の悪い連中が消えたと街の連中が噂してる」
今日、ジェイミーと飲んでいるのは、男同士の飲みにケーションがしたかったこともあるが、もう一つの理由はここ最近のブラックミルズの裏の世界の様子を聞くためでもあった。
新任のギルドマスターは予想に反して、ブラックミルズの治安改善をジェイミーやアルマ時代より積極的に推し進めているのだ。
ジェイミーの報告にもあったが、歓楽街を根城にしていた犯罪組織や闇市の関係者だった者、犯罪者まがいの冒険者などといった者たちが『衛兵隊』と呼ばれるギルドマスターの私兵部隊によって次々に摘発され、この一ヵ月で急速にブラックミルズの治安が回復してきていた。
「らしいな。俺も商店街の連中から新しいギルドマスターはジェイミーより役に立つと聞いたぞ」
商店街の連中にチクリと言われたことがよほど気になったのか、ジェイミーが手にしていたエールを飲み干していく。
「ふぅうう。ちぃ、あの連中は言いたい放題言ってくれるぜ。まぁ、実際俺が率いていた治安維持部隊とは比べ物にならないほど精強な私兵部隊だったわ。遠くからチラ見した程度だが、元軍人らしい動きしたやつやベテランの冒険者って感じのやつも多数いたからな。冒険者崩れ主体の俺の部隊とは実力が違い過ぎたわ」
ジェイミーの率いていた治安維持部隊は、冒険者を引退した者や冒険者を目指さなかった者を中心にしたメンバーで、基本は情報収集が主な業務となっており、荒事にはあまり向かない者が多かったそうだ。
給料も安く、危険度の高い治安維持部隊の要員はなり手が少なく、ジェイミーもやりくりに四苦八苦していたと思われる。
「今回のギルドマスターは本気度が違うってわけだな。これでようやくブラックミルズも依然のような落ち着きを取り戻すことになりそうだな」
「ああ、そうなるといいな。一応、元部下たちには引き続き街の裏側を探らせてはいるが、特に気になる話はないな。ただ、『衛兵隊』の常駐する屋敷に訪れる商人が結構多いのと、ブラックミルズの冒険者ギルドを介さない流れの冒険者がダンジョンに向かう道でチラホラと見られるようになったという話しくらいか」
ジェイミーが教えてくれた話は俺も少し気になっていたことであった。新設された『衛兵隊』は物資の補給を近場のブラックミルズの街からではなく、外部からの補給に頼っており、輸送経費の観点から考えれば地元で買った方が断然安く済むと思っていたのだ。
ただ、『衛兵隊』自体がギルドマスターの私兵集団であり、個人的な伝手があってそちらから品物を仕入れて補充にあてているのかもしれないと思った。
あと、ジェイミーの言った通り、流れの冒険者の数がここのところ数が増えている。しかも、皆ブラックミルズダンジョンとは別のダンジョンで経験を積んできた上位ランクを持つベテラン冒険者ばかりで、第一〇階層のうちの店も素通りして口数少なく中層階や深層階に向けて潜っていくのを何度も見かけていた。
流れの冒険者は昔からいなかったわけではないが、地元の冒険者ギルドを介さずにダンジョンに潜るやつらは初めて見た。冒険者ギルドを介さずに潜ると納品や討伐等の依頼料をもらえないため、ドロップ品の収集しかできなくなるのだ。
「ちょっと気になるが、問題となっていないだろ。引き続き様子だけ探っておいてもらえばいいさ」
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