おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第一二章 発覚

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 魔法が使えるようになって、腕輪を外し、能力を全開放しても身体への負担を減らせる方法を確立できていた。

 魔力がある限り、回復魔法で身体を回復させつつ、支援魔法で身体を強化して全能力解放時の消耗を遅らせることができたため、前回苦戦したゴブリンキングを圧倒的余裕で倒しても身体の方の負担はほぼ無かった。

「グレイズさん……強い……。ファーマの出番なかったよー」

「わふぅう。(魔法も問題なく使いこなしてますね。これで、また一段と神様に近づきましたよ。アクセルリオン神もキャーキャー言って喜んでいます)」

 一緒に戦っていたファーマとハクも数撃でゴブリンキングを屠った俺の動きを見て呆気に取られていた。

 扉から出てきた冒険者たちも目の前で起きた事象に驚いている。

 なにせ、ソロ討伐はSランク冒険者でも不可能と言われているゴブリンキングですら、ほぼソロに近い状態で数撃で屠るという離れ業を目の前で見せつけられていたのだ。

「……グレイズさん……何してくれてんすかっ! ゴブリンキングを瞬殺って、マジで何してんすかっ!」

 消耗した魔力を回復させるため、ベルトポーチから取り出した魔力回復ポーションをグビグビと飲んでいたら、背後からジェネシスが話しかけてきていた。

「ぷはぁ。今まで魔力回復ポーションは飲んだことなかったけど、意外とマズいなぁ……」

「だぁああ! 今は魔力ポーションがマズいって話は聞いてないっす。出発の際に言ってたゴブリンキングとタイマンしたって話はマジもんの話だったってことっすか?」

 ジェネシスは俺のことがめちゃくちゃ気になるのだろうか、深層階に飛ばされて以降、何かと俺のことを聞きたがってきていた。

 メラニアと同じリトルヒューマン族の年若い青年であるジェネシスは、駆け出しの冒険者だと言うが、挙措の端々に冒険者らしからぬ洗練された動きを見せており、言葉遣いとのアンバランスさを感じさせていた。

「いやぁー。斧がいいとこに入ったなぁ。これでも前は苦戦したんだぜ。今回は武器が良かったんだな。ドロップの拾い物な戦斧だったけど逸品だったみたいだ」

 ゴブリンキングの首を落とした戦斧は、リザードマンゾンビがドロップした『竜人の戦斧』であるが取り立てて強化された物ではなく、壊れにくくて丈夫なだけが取り柄の普通のドロップ装備である。

「ほんとっすか? グレイズさんの腕がずば抜けているってことじゃないんっすか?」

「いやー、さすがに俺もここまで楽に倒せるとは思ってなかったからなぁ」

 ジェネシスの追求を適当に誤魔化していたら、頭部を失い大量出血していたゴブリンキングが白煙を上げて超レアドロップである『ゴブリンキングの血結晶』に変化していた。

「グレイズさん、地上に戻った時の祝勝会費がとんでもないことになりそうだわ。また『ゴブリンキングの血結晶』よ。みんなで山分けしていいわよね?」

 メリーが俺の正体に興味津々なジェネシスの意識を逸らすため、ドロップ品を拾い上げていた。

 今回も俺の激運が、ゴブリンキングの超レアドロップである『ゴブリンキングの血結晶』を引き当てていたようだ。

 オークションにかければ一個二千万ウェルからの値が付くものであり、脱出行中に得たドロップ品は祝勝会費にすると明言していたが、金額が結構膨大になりそうな気がするので、転移に巻き込んだ賠償金として山分けしてもいいかもしれない。

「おお、そうだな。山分けでいいぞ。今回はみんなを巻き込んだことだしな……」

「マジかっ!! 人数いるとはいえ、二千万ウェル以上の価値のあるドロップ品山分けするって、どんだけ太っ腹なんすか!」

「ほんとに山分けっすか! 俺、メリーさんの店の装備で欲しいのあったから、もらえた金で買えるかも」

「魔法書も欲しかったからなぁ。いや、これは本当に死ねないぞ。命大事にでいかないとな」

「あら、せっかくの山分けのお金なのに、みんな結構うちの店で買い物してくれるつもりなのね。ありがとう」

 メリーが無事静観した後に山分けする金で装備更新を目論んでいる冒険者たちに微笑んでいる。

「メリーさん、みんなで無事に地上に戻れたら、ダンジョン販売店で感謝セール打ちましょう。みんなが結構買ってくれそうですよ」

 セーラがメリーばりの商魂を発揮してセール企画の発案をしていた。

「では、わたくしは売り子としてお手伝いさせてもらいます。皆様方には多大なるご迷惑をおかけしてしまっていますから、せめてそれくらいのお手伝いはさせてもらいます」

 その様子を見ていたメラニアもおずおずと頭を下げながら手伝いを申し出ていた。

「メラニアちゃんが売り子してくれるなら、俺も買うぞ! これは地上に戻るのが楽しみになってきたぜ。グレイズさん、ここから先は中層階だ俺たちにも多少は戦わせてくれよ。この脱出行でグレイズさんの後ろにくっついてただ帰ってきたってだけじゃカッコ悪いからな」

 中堅の冒険者たちが中層階に入ったことで、多少なりとも自分たちが戦える場所に戻ってきたと認識し、戦闘に参加させて欲しいと申し出てきていた。

 深層階に比べれば、敵の強さは落ちるので、経験を稼ぐ意味も兼ねて、通常探索に切り替えてもいいかもしれない。

 物資も素早く深層階を抜けられたため、まだタップリと残っている。

 中層階のラストボスであるゴブリンキングさえ倒せば、後は今のパーティーで脅威と言える魔物はほとんどいないので、自分のパーティーメンバーを育てつつ、駆け出し冒険者たちに色々な経験を積ませながら地上に戻るのもそれはそれでアリかと思えた。

 それに、地上では何日過ぎているか分からないが、かなりの時間が経っていれば、帰還しない俺たちを訝しんだ冒険者ギルドのアルマが捜索隊を結成して、ダンジョンに送り込んでくれているはずだ。

 そういった連中と途中で出会えばそのまま一気に地上へ帰還という選択肢も視野に入れておくことにした。

「分かった。分かった。ここからはみんなに魔物討伐を任せる。ただし、絶対に魔物対しては多数を確保するように『命大事に』を忘れるなよ。これだけ頑張っても死んだら意味ないからな」

「さすが、グレイズさんだ。おっし、Cランクの奴らはこの機会にガッツリと稼ぐぞ!!」

「「「「おおぅ!!」」」」

 中堅ランクの冒険者たちがパーティーの垣根を越えて団結したようで、ともに自らの得物を突き上げて応えていた。

 上位パーティーがボスであるゴブリンキングを討伐するのに、二〇~三〇名の複数パーティーで討伐隊を結成することはたまにあるが、駆け出しや中堅冒険者たちが一〇〇名規模の大規模なパーティーを組むなんてことは今回が初めてだったと思われる。

 探索や討伐は助け合った方が断然、効率的であるし、単体パーティーよりも効果が上がるとは思っていたが、パーティー間の利害調整が難しいので中々冒険者たちには浸透していないのが現状だ。

 今回のことが契機となって、複数パーティーによる探索行が浸透すれば、若い奴らの成長も一段と早くなるだろう。

 そんなことを思いながら、隊列を整えると地上に向けての脱出行を再開することにした。
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