おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第一二章 発覚

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 黒い装束を着た男たちの数は二〇名ほどが動き回っているのが感じ取れた。

 先制攻撃を許し、黒い装束の男たちによって放たれた魔法である黒い霧ブラックミストにより第一〇階層は闇に包まれ、ランタンの光が遠くまで届かなくなっていた。

「クソ、視界が悪いぞ。固まれ! あいつらを浸透させるな」

 視界を奪われたことで、敵の姿が捉えにくくなっていた。

 迎撃しようとした冒険者たちに固まるように指示すると、俺は腕輪を外して周囲の気配を探っていく。

 相手はかなりの手練れなのか、魔物や冒険者たちよりも気配を感じ取れず、微かに殺気が高まった時だけ存在が感知できた。

「視界がわるすぎるから、周りの味方と連携してくれ。どこから出てくるか分からないぞ!」

 不意に感じ取れた気配をたぐり、濃い霧の中を突き進む。

 すると、闇に紛れ短刀の狙いをつけていた黒装束の男と向かい合うことになった。

 闇の中で自らの存在を捕捉されるとは思っていなかったようで、男の顔には明らかに驚きが見て取れる。

「捕まえたっ! お前ら自分たちが何しているのか分かっているのかっ!」

 黒装束の男は俺の素早い動きに驚きながらも声を発することなく、口に咥えた笛を鳴らしていた。

 笛の音がしたかと思うと、周囲に殺気の塊が発生する。

 そして、俺のもとへ空気を切り裂いて短剣が飛来していた。

 ただ、腕輪を外しているため、飛来のスピードは慌てるほどの速さにはなっていない。

 すぐに男を突き飛ばすと、自分に向けて飛来する短刀を素手で次々にキャッチして、飛んできた方向へ投げ返してやる。

 俺の中ではゆったりとした時間の流れだが、他の者が見れば突然に短刀が向きを変えて跳ね返っていったように見えるだろう。

「ば、化け物めっ! 田舎のとはいえSランク冒険者やAランク冒険者を無傷で倒したというのは本当らしいな」

 投げ返した短刀が投擲した者にヒットした気配はない。上手く闇に紛れて位置を変えていたようだ。

「お前らは何者だ。なぜ、俺たちを狙う。ただの冒険者だぞ」

「我らが喋ると思うか?」

 黒装束の男がニヤリと笑うと、背後で冒険者たちが苦しむ声が上がっていた。

 闇の霧に混じって、微かに甘ったるい匂いが漂ってくるのを感じると、肺の奥がカッと熱くなるのを感じている。

「グレイズ、この霧に毒が仕込んである! このままだと痺れて動けなる」

 短刀に塗られた毒に倒れた者たちを癒していたカーラが霧に仕込まれた毒の可能性を示唆してくれていた。

「賢い仲間だな。だが、もう遅い。さきほどの笛で上のフロアに待機しているベテランのSランク冒険者たちも降りてくる。これで、お前らには勝ち目はないぞ」

 男が言うように上のフロアから降りてくる数十人の気配を感じていた。

 中にはメラニアが歓楽街で襲われた時の男たちが発していた気配を掴みにくい者たちも混じっている。

 いったい、なんでこんなことになっているんだ。訳がわからねぇぞ。

 目の前の男たちは冒険者ギルドから派遣された救出部隊ではなさそうである。しかも、俺たちをこのダンジョンで一人残らずに葬り去ろうと考えているようだ。

「とりあえず、お前らがこっちを生かしておくつもりがないのは理解した。悪いが死んでも恨むなよ」

「グレイズさんっ!! 私が動けなくなる前に閃光フラッシュ闇の霧ダークミストを吹き飛ばしますから!! あとお願いしますっ!!」

 麻痺毒がまわり始めていたアウリースが、よろよろとしながらも詠唱を終えた魔法を発動させていた。

 眩しい光とともに周囲を覆っていた黒い霧がパッと消え去っていき、ランタンの灯りによって男たちの姿が視認できるようになっていた。

「すまん、アウリース。後は俺に任せろ!!」

 覆っていた霧が晴れたことで、敵の数が判明した黒装束の男たち二〇名と冒険者風の男三〇名がこちらに向かってきている。

 敵も姿を発見されたことで、強襲にすぐさま切り替えたようだ。

 全能力を発揮するための時間を伸ばすため、支援魔法で自らを強化すると手にした戦斧を投げ捨て、拳で戦うことにした。

 こいつらは生かしておいて、自分たちを襲った理由を聞き出さないと……。俺たちが地上に帰還したらマズいと考える奴らがどこかにいるのかもしれない。

 支援魔法で身体を強化したことで、一段と加速したことで敵の動きは更に遅くなり、ほぼ止まって見える状況になっている。

「若い奴らを傷つけたことは許さんからな」

 一足飛びで黒装束の男との間合いを詰めると、連続で腹部に拳を打ち込んでいく。防御力皆無かと思われた黒装束だったが、内側に鎖鎧を着込んでいるようでわりと硬かった。

 だが、俺の拳はその鎖鎧ごと男の装束を粉砕し、骨を砕いた感触を伝えてきていた。

「ぐぅううっ!! ゲハッ! バ、バケモノっ!!」

 拳の連打を浴びた男は壁に叩きつけられて、クタリと地面に倒れ込んでいった。

「怯むな! こいつらを全部亡き者にすれば、遊んで暮らせる金が手に入るんだぞ」

 冒険者風の男たちも黒装束の男の末路に戦々恐々としながらも撤退という選択肢はないように見えた。

「こいよ。俺は今、猛烈に怒っているからな」

 冒険者の男たちを挑発するように手招きしてやる。

「挑発に乗らず、全員で押し包むぞ! 全員、突撃」

 リーダーらしい厳めしい顔付きの男が号令を下すと、黒装束の男たちも冒険者風の男たちも一斉に得物を抜いて俺一人だけを目がけて襲って来ていた。

 一対四九。普通なら圧倒的人数差で勝利は絶望と思われる状況だ。

 だが、俺はまったく負ける気はしない。

 襲い掛かる者たちの刃先を軽く回避すると、ダンジョンの通路の石畳をめくりあげるほど踏み込みで放った拳をヒットさせ、冒険者が着込んでいる鎧ごと粉砕して気絶させていく。

 一発、二発、三発と鎧を着た冒険者たちが壁に叩きつけられていく。

「クソ、馬鹿な。ここにいるのは王国有数の暗殺者集団とベテランのSランク冒険者たちだぞっ! この男、本当に人間か?」

 指揮を執っている厳めしい顔付きの男が、目の前で起きていることが信じられないと言いたげに驚きに彩られていた。

「人間かと聞かれたら、『とりあえず人間だ』と答えてやる」

 俺は指揮していた男の隣に音もなく現れるとわき腹に肘鉄を喰らわせていた。

「ゲフゥ! 絶対にお前……人間じゃないだ……ろう」

 男の脇腹に食い込んだ肘先からは、あばらが完全に砕けた感触を伝えてきている。

 男が口から血混じりの吐しゃ物を吐き出すと地面に倒れていった。

「さぁ、次はどいつがゲロ吐いて地面に倒れ込みたい」

「く、くそ。引くな。いくぞっ!」

 それからも冒険者風の男たちと黒装束の男たちを次々に拳で沈めていき、すべての者が地面に顔を伏せて倒れ込むこととなった。
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