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日常編 新生アウトキャスト
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鍋が煮えるまでの間、口内の消毒と称してカーラは早々に自ら持ち込んだエールの小樽を開け、チーズを片手に自分用にと確保して飲み始めていた。
食事用に持ち込んでいるエールやワインは、アルコール度数がかなり低く抑えられているものの飲み過ぎれば酔うため、カーラには自重するように声を掛けておくことにした。
「カーラ、探索はまだ明日も続くからあまり飲み過ぎるなよ。明日二日酔いで動けないとかになると、メラニアとジェネシスに笑われるからな」
「心配ない。私にとってエールは水、ワインは果実水と同じ。問題ない。アルコールは血流を良くする。薬と同じ」
これまでの付き合いでカーラが実はかなりの酒豪であることは知っていたが、酒に関していえばその日の体調によって酔ったり酔わなかったりすることもあるので、探索中はなるべく薄めた物を飲ませるように指導してある。
あまりに酒好きの冒険者が、ダンジョンでの探索中に二日酔いでトラップに引っ掛かったという事例もあるので、なにごともほどほどが一番である。
「油断禁物。カーラが酒に強いのは知っているが、探索中は一日、一樽だけにしとくようにとの約束だったはずだが?」
「大丈夫、私、解毒の魔法を使える。飲み過ぎたら解毒」
「万が一、魔法が唱えられないほど泥酔していたらどうする?」
探索に慣れて緩みが見えているカーラに一言だけ忠告を与えた。
頭の回転の速い彼女であれば、俺が何を言いたいかはすぐに理解してくれるだろう。
好きな物であったとしても、慎重に慎重を期すことが求められる世界であるのだ。
「グレイズの言うこと、ただしい。約束は守る。エルフ、嘘はない」
やはりカーラは俺の言いたいことを理解をしている様子である。
「分かってもらってありがたい。さて、じゃあ飯が冷めないうちに頂こう」
「ちょうど鍋も煮えたようですしね。今日は牛肉のエール煮です。ちゃんとアルコール分は飛んでるから大丈夫ですよ」
メラニアが火にかけていた鍋を取り、皆の前で蓋を開けていた。
すると鍋の中の匂いが部屋中に広がり食欲を大いに刺激してくれる。
「美味しそう。メラニア―、妾が一番に食べるのじゃー」
「わふぅう(くぅ、熱そう。舌を火傷しないように冷まさないと)」
「ファーマがみんなに取り分けてあげるー!!」
待ち切れなかった三人が、蓋が開くと同時に鍋に群がっていく。
確かにこの匂いは、腹が減った状態で我慢しろというのは酷な匂いであると思える。
「私もお手伝いしますね。メリーさん、メラニアさんお皿くださいな」
アウリースがそっと手元の危ういファーマを手伝って、鍋の中の牛肉を皿に取り分けていく。
「はい、お皿。それにしても、メラニアは頑張るわね。ジェネシスはずっと休憩していたのにご飯作りまでするなんてね」
「わたくしは探索ではほとんどお役に立ちませんし、荷物こそ重かったですが、お料理するのは好きですしね」
「メリーさん、オ、オレは明日に向けての探索のイメージトレーニングをしていただけで、休憩してたわけじゃ……」
ジェネシスが顔を赤らめて休憩したことを言い訳していた。
「三年は冒険者やるって決めたんだし、その間に体力もしっかりとつくだろうさ。まずは食わないと成長できないからなたくさん食え」
「あざっす。グレイズさん、オレ頑張るっす」
三年間の冒険者修行を決めたジェネシスだが、一つだけ気になることがある。
それは、この言葉遣いだ。
弾劾裁判の時は王らしい言葉遣いをしていたが、冒険者としての修行を決めてからは公式の式典以外はずっとこの口調なのである。
修行期間中にこっちの口調に慣れてしまい、王に戻った時、癖でこちらの言葉遣いが出ないか気が気でない。
もし、王として政務をしている間にポロリと口にしたら、ただでさえストレスと神経を擦り減らす刑に処されたサイアス辺りが卒倒してショック死しかねない。
直させるべきとも思ったが、本人がことのほかこの口調を好んでいるため、彼の性格上、俺が強制をしない限り、直すつもりはないだろうと思われた。
ただこの問題、俺が口を出すべきことなのかという思いもある。
ジェネシスはれっきとした王であり、一応この国の最高権力者である男だ。
そんな男に一介の冒険者が言葉遣いを注意するというのは、なかなかに憚られる事柄なのであった。
だが、とりあえずひとかどの男にするとは決めているので、ひとこと注意だけは促しておくことにした。
「ジェネシス。その口調は正した方がいいな。今は冒険者だが、いずれ王に戻る時に癖が付いたら困るだろう」
「大丈夫っす。案外、使い分けはできるっすよ。オレ。こっちは一介の冒険者ジェネシスですし」
やはりやんわりとした注意では、ジェネシスを翻意させることは不可能そうだ。
彼の場合、納得しない限り改めないと思うので、ゆっくりと説得していくことにしよう。
「そうか……。まぁ、ゆっくりとな。ゆっくりと直していこう」
その後は、メラニアの作った料理を味わいたらふく食べた後、メリーが持ち込んでいたデザートの焼き菓子をみんなで美味しく食べた。
翌日からもメラニアたちは重い荷物を持ち、疲れを見せながらもダンジョンの第一〇階層にまで到達することができ、ダンジョン販売店に商品の補充を終えると、また同じ日数をかけて地上へ帰還を果たしていた。
二人は疲労困憊であったが、ソロ探索のフル装備を経験し、見事に達成したことで自信を付けたようであった。
実力的には二人とも中層階に潜っても問題は起きないはずなので、次回からは通常の荷物割り振りで探索を再開することに決めた。
食事用に持ち込んでいるエールやワインは、アルコール度数がかなり低く抑えられているものの飲み過ぎれば酔うため、カーラには自重するように声を掛けておくことにした。
「カーラ、探索はまだ明日も続くからあまり飲み過ぎるなよ。明日二日酔いで動けないとかになると、メラニアとジェネシスに笑われるからな」
「心配ない。私にとってエールは水、ワインは果実水と同じ。問題ない。アルコールは血流を良くする。薬と同じ」
これまでの付き合いでカーラが実はかなりの酒豪であることは知っていたが、酒に関していえばその日の体調によって酔ったり酔わなかったりすることもあるので、探索中はなるべく薄めた物を飲ませるように指導してある。
あまりに酒好きの冒険者が、ダンジョンでの探索中に二日酔いでトラップに引っ掛かったという事例もあるので、なにごともほどほどが一番である。
「油断禁物。カーラが酒に強いのは知っているが、探索中は一日、一樽だけにしとくようにとの約束だったはずだが?」
「大丈夫、私、解毒の魔法を使える。飲み過ぎたら解毒」
「万が一、魔法が唱えられないほど泥酔していたらどうする?」
探索に慣れて緩みが見えているカーラに一言だけ忠告を与えた。
頭の回転の速い彼女であれば、俺が何を言いたいかはすぐに理解してくれるだろう。
好きな物であったとしても、慎重に慎重を期すことが求められる世界であるのだ。
「グレイズの言うこと、ただしい。約束は守る。エルフ、嘘はない」
やはりカーラは俺の言いたいことを理解をしている様子である。
「分かってもらってありがたい。さて、じゃあ飯が冷めないうちに頂こう」
「ちょうど鍋も煮えたようですしね。今日は牛肉のエール煮です。ちゃんとアルコール分は飛んでるから大丈夫ですよ」
メラニアが火にかけていた鍋を取り、皆の前で蓋を開けていた。
すると鍋の中の匂いが部屋中に広がり食欲を大いに刺激してくれる。
「美味しそう。メラニア―、妾が一番に食べるのじゃー」
「わふぅう(くぅ、熱そう。舌を火傷しないように冷まさないと)」
「ファーマがみんなに取り分けてあげるー!!」
待ち切れなかった三人が、蓋が開くと同時に鍋に群がっていく。
確かにこの匂いは、腹が減った状態で我慢しろというのは酷な匂いであると思える。
「私もお手伝いしますね。メリーさん、メラニアさんお皿くださいな」
アウリースがそっと手元の危ういファーマを手伝って、鍋の中の牛肉を皿に取り分けていく。
「はい、お皿。それにしても、メラニアは頑張るわね。ジェネシスはずっと休憩していたのにご飯作りまでするなんてね」
「わたくしは探索ではほとんどお役に立ちませんし、荷物こそ重かったですが、お料理するのは好きですしね」
「メリーさん、オ、オレは明日に向けての探索のイメージトレーニングをしていただけで、休憩してたわけじゃ……」
ジェネシスが顔を赤らめて休憩したことを言い訳していた。
「三年は冒険者やるって決めたんだし、その間に体力もしっかりとつくだろうさ。まずは食わないと成長できないからなたくさん食え」
「あざっす。グレイズさん、オレ頑張るっす」
三年間の冒険者修行を決めたジェネシスだが、一つだけ気になることがある。
それは、この言葉遣いだ。
弾劾裁判の時は王らしい言葉遣いをしていたが、冒険者としての修行を決めてからは公式の式典以外はずっとこの口調なのである。
修行期間中にこっちの口調に慣れてしまい、王に戻った時、癖でこちらの言葉遣いが出ないか気が気でない。
もし、王として政務をしている間にポロリと口にしたら、ただでさえストレスと神経を擦り減らす刑に処されたサイアス辺りが卒倒してショック死しかねない。
直させるべきとも思ったが、本人がことのほかこの口調を好んでいるため、彼の性格上、俺が強制をしない限り、直すつもりはないだろうと思われた。
ただこの問題、俺が口を出すべきことなのかという思いもある。
ジェネシスはれっきとした王であり、一応この国の最高権力者である男だ。
そんな男に一介の冒険者が言葉遣いを注意するというのは、なかなかに憚られる事柄なのであった。
だが、とりあえずひとかどの男にするとは決めているので、ひとこと注意だけは促しておくことにした。
「ジェネシス。その口調は正した方がいいな。今は冒険者だが、いずれ王に戻る時に癖が付いたら困るだろう」
「大丈夫っす。案外、使い分けはできるっすよ。オレ。こっちは一介の冒険者ジェネシスですし」
やはりやんわりとした注意では、ジェネシスを翻意させることは不可能そうだ。
彼の場合、納得しない限り改めないと思うので、ゆっくりと説得していくことにしよう。
「そうか……。まぁ、ゆっくりとな。ゆっくりと直していこう」
その後は、メラニアの作った料理を味わいたらふく食べた後、メリーが持ち込んでいたデザートの焼き菓子をみんなで美味しく食べた。
翌日からもメラニアたちは重い荷物を持ち、疲れを見せながらもダンジョンの第一〇階層にまで到達することができ、ダンジョン販売店に商品の補充を終えると、また同じ日数をかけて地上へ帰還を果たしていた。
二人は疲労困憊であったが、ソロ探索のフル装備を経験し、見事に達成したことで自信を付けたようであった。
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