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王都編 ジェネシス、王都に帰る
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「へ、陛下! お戻りになると連絡を頂ければすぐにでも迎えに上がりましたものを……それにメラニア様も同じく、来訪予定をお伝え頂ければ夜会の一つでも用意いたしましたのに……」
元々細身だったサイアスだが以前よりゲッソリと更に痩せた顔を見せ、必死でジェネシスとメラニアにゴマを摺っていた。
「陛下、ヨシュア殿より報告が上がっていると思いますが、サイアス宰相閣下は今のところは政務に精励しておりますわ。今後とも私がキッチリとお目付け役を果たしますのでご安心を」
国王の権限で強制的にサイアスの伴侶とされたマリアンが、サイアスの隣で媚びへつらう笑顔を浮かべいる。
二人は似た者同士のような気がしていて、歳の差こそあるが結構似合いの夫婦なのかもしれんな。
「余はまだ遊学中の身だ今日は一介の冒険者としてグレイズ殿たちの護衛を請け負って王都まで来たに過ぎん。よって夜会の開催は不要。姉上も望まれておらぬしな」
ジェネシスは自分が王として戻った時、最大の敵になるであろう相手に対し、厳しい態度を崩さないでいた。
まだ、若いとはいえ頭は回るし、度胸もある。
ただ、若い分、人当たりの厳しさと好悪の感情を隠すのの下手さを見せていた。
そこは遊学を終え、王として親政を始めるまでにキッチリと彼に教え、部下の反発を招かせないようにする必要性を感じていた。
「ははっ! そ、そうでしたか……私の考えが至らぬばかりに、余計なことを申し上げました。ですが、滞在場所は王宮の自室をお使いください。もちろん、陛下のお知り合いの方たちも泊っていただいて結構ですので」
「ほぅ、王宮の自室か……そこで余たちを一気に毒殺でもする気か?」
ジェネシスの言葉にサイアスは後ずさると床に頭を擦り付けて土下座をしていた。
「め、滅相もありません! 私は陛下の臣下として犬馬の労も厭わずに働く所存だと申し上げたはず、その陛下を毒殺しようなどと考えるわけがありません!」
「ほぅ、それもそうか……余にはモーラッド一族が付いておるからな。彼らをかいくぐって毒殺など無理という話か。ああ、そう言えば思いだした。余はそのモーラッド一族の娘たちと結婚するぞ。正室は誰にするか決めかねておるが、まずは三人と結婚することにした」
ジェネシスが土下座して平伏しているサイアスに爆弾を投げ込む。
暗殺者一族であるモーラッド一族から王の正室や側室を迎えると平然と言い放ったのだ。
「は、はぁ!? 私の耳がおかしくなったのでしょうか? 今、陛下がモーラッド一族から正室及び側室を迎えると聞こえましたが……?」
「ああ、余はそう言ったぞ。遊学中の身の上だから式は挙げずに済ませるがな。王都に戻った際に盛大な宴を催すつもりだ。サイアスには心積もりさせておかねばと思い先に話しておくことにした」
平伏していたサイアスは顔を上げるとジェネシスににじり寄ってくる。
「へ、陛下!! そのような重大な話を何ゆえに勝手に決められたのですっ! 側女ならばまだ目こぼしできますが、正室や側室など私が許しても他の貴族が許しませんぞ!」
「だから、余はサイアスに先に話したのだ。余が戻るまでにモーラッド一族から正室と側室を迎えることの了承を貴族たちから集めよ。できなければ、宰相職は解任してやるから王都を出て領地で嫁と余生を過ごせ」
「は、はぁ!? 私も連帯責任ですか? このサイアスと余生を過ごすなんて最悪な生活は御免被りたいです!」
自分には無関係だと傍観していたマリアンも降って湧いた話に巻き込まれたと自覚したことで慌てていた。
それにしても、ジェネシスもメラニアを苛めた二人に対して容赦ないな……。
確かに姉であるメラニアを殺害しようとした二人ではあるが、あまり締め付け過ぎると大きな反動が起きそうでもある。
もちろん、そんなデカイ反動が起きた時は、俺が全力でジェネシスを守るが、王として大きく育つには公私をはっきりと分けて行かねばならないと思う。
ふぅ、この仕事を終えてブラックミルズに帰ったら、ジェネシスはジェイミーを呼んだ男の大反省会で少し釘を刺しておくか……。
俺がそんな風に思っている間もジェネシスとサイアスたちの話し合いは進んでいく。
「へ、陛下! ご再考を! せめて、公爵家か……いや侯爵家でも良いので見目の良い年頃の令嬢を正室としてお迎えください! モーラッド一族から正室など出したら国が割れます!」
「ならんっ! 余は彼女たちに約束をしたのだ。そして、余は約束を破らないと決めておる! サイアス、なんとかいたせ。余はそちをこの国で一番の忠臣だと思っておる、だからこそそちにこの難題の解決を頼んでおるのだ。けして、憎しみだけで嫌がらせをしておるわけではない。だから、顔を上げよ」
ジェネシスは平伏したままのサイアスの肩に手を添える。
すると、サイアスが顔を上げた。
「へ、陛下……私のことをそこまで……ご信頼して……」
サイアスは瞳を潤ませて、感激しているのか身も震わせていた。
いやいや、中々どうして部下に厳しいかと思ったが、意外とジェネシスのやつも考えてようだ。
あの敵対視しているサイアスに対し『国一番の信頼できる忠臣』って言葉を贈るとはな……。
王の信頼を得たいと必死のサイアスにはさぞ心地よく聞こえたと思われる。
ジェネシスはやはり食えない男であった。
「わ、分かりました。陛下が遊学を終えて戻られるまでにキッチリと貴族たちの合意を取り付けておきます。このサイアスにできぬことなどありませぬからなっ!」
「ちょ! サイアス宰相、貴方すでに旧クレストン家派閥の貴族から首を狙われているのに、更に自分の派閥の貴族からも首を狙わせるつもり!? 馬鹿なの!? ボケたの!?」
隣でマリアンが何やら喚いているが、サイアスの耳には通じていないようであった。
「すまんな。任せたぞ、サイアス。それと余たちはすでに宿を取ってあるから、王宮での滞在は不要だ。仲間にいらぬ気遣いをさせるからな。では、余たちは宿に行くので職務に精励するように!」
「ははっ!! このサイアス、粉骨砕身を以って陛下にお仕えいたします」
再び平伏したサイアスをよそにジェネシスが俺たちの方へ戻ってきた。
「って、ことでオレの結婚な話は付いたんで仕事に戻りましょう」
「ジェネシス様、ブラックミルズに帰りましたら、わたくしからも婚礼の祝いの品は届けますね。薬酒とかの方がいいかしら?」
「あ、姉上。オレはまだ若いっすよー」
ジェネシスが照れるように頭を掻いていた。
若いこそ、色々と励んでいるのは知っているので、薬酒はありがたいことになると思われる。
「世継ぎを産んでもらわないと俺が困るからな。よし、メラニア。ジェネシスの婚礼の祝いの品は高級薬酒にしとこう。それがいいぞ」
「はい、承りました。メリーさん、ブラックミルズ公爵家から高級薬酒一〇〇本ほどを陛下の婚礼祝いとして贈るので準備をお願いいたします」
「オッケー、大口の取引ありがとうございまーす」
「メリーさん、その案件うちにも噛ませてくださいよ。陛下の婚礼品の取り扱いとなれば、本部も色々と素材集めに便宜を図ってくれるでしょうし」
メラニア→メリー→アルマのホットラインですぐに大量発注&受注が完了していた。
恐るべきブラックミルズの三巨頭体制である。
領主、商店街、冒険者ギルドという三つの組織が一体となって動くとこれほどまでにスムーズに案件が動くのをまざまざと見せつけられた。
「アルマ、エルフ秘伝の特製薬酒も作りたい。材料の追加発注もできるか?」
「なんですかそれ? 名前だけでもすごそうなんですけど」
「発情期に入った男エルフが飲む薬酒。効き目は通常の高級薬酒の三倍」
カ、カーラ君、それはちょっと危ない薬の匂いがするけども……俺には使わないよね?
「あ、あの! カーラさん、それ作ったら一本、私に分けてもらっていいですか? お金はお支払いしますんで」
あ、あの! アウリース君、俺は君を信じてるからね、絶対に購入しないからって信じてるから!
「じゃ、じゃあ、あたしも一本欲しいです!」
セ、セーラ! お父さんに申し訳ないから、キチンと許可を取ってから買うように……って違う、買わないようにね!
「ファーマも欲しいー。カーラさんが作るなら美味しいお酒なんだろうなー」
ファーマ、買って飲んじゃダメだからっ! 美味しいかもしれないけど、ダメ絶対!
「ふふぅん、それは非売品としておきましょうか。みんなで一本とかでどう? フフフ……」
メリー、なんでそんなに邪悪そうな顔で笑っているんだ! き、君はそんな子じゃないよね?
「なるほど、メリーさんのお考えは非常に良い申し出だとわたくし思いますね」
メ、メラニアーーーー! 君もそっちに回るのか!
「ほ、ほら、じゃあその話はグレイズさんのいないところでしましょう。警戒されますし」
ア、アルマ! お前もか……!?
「わふううぅうう(グレイズ殿、万事休すですね)」
「じゃあ、オレからの婚礼の品に対する返礼の品はカーラさんのソレでいきましょう。グレイズさんのことだから、返礼の品を捨てるなんてことはしないっすよねー?」
ジェネシスがニヤリと笑ってこちらを見ていた。
ば、万事休す!! 自ら墓穴を掘った気がしないでもない。
「え、えっと……俺は先に宿に行くからみんなも早くくるようにな!! お先に!!」
俺は腕輪を外すと、その場を脱兎の如く逃げ出すしかなかった。
-------------------
応援していただいている方々のおかげをもちまして、無事におっさん商人の二巻を発売することができました。
それに伴い二巻相当部分のWEB掲載がレンタル化されております。二巻はハク、アルマがキャラデザされ、お話し的にはムエル編完結までを描いています。改稿等しっかり入れてよりスッキリできる話しに仕上がったかと。書店等にはすでに並んでいる所もあると思いますので、お手に取ってもいただければ幸いです。
今後ともおっさん商人に変わらぬ応援いただけますようお願い申し上げます。 シンギョウ ガク
元々細身だったサイアスだが以前よりゲッソリと更に痩せた顔を見せ、必死でジェネシスとメラニアにゴマを摺っていた。
「陛下、ヨシュア殿より報告が上がっていると思いますが、サイアス宰相閣下は今のところは政務に精励しておりますわ。今後とも私がキッチリとお目付け役を果たしますのでご安心を」
国王の権限で強制的にサイアスの伴侶とされたマリアンが、サイアスの隣で媚びへつらう笑顔を浮かべいる。
二人は似た者同士のような気がしていて、歳の差こそあるが結構似合いの夫婦なのかもしれんな。
「余はまだ遊学中の身だ今日は一介の冒険者としてグレイズ殿たちの護衛を請け負って王都まで来たに過ぎん。よって夜会の開催は不要。姉上も望まれておらぬしな」
ジェネシスは自分が王として戻った時、最大の敵になるであろう相手に対し、厳しい態度を崩さないでいた。
まだ、若いとはいえ頭は回るし、度胸もある。
ただ、若い分、人当たりの厳しさと好悪の感情を隠すのの下手さを見せていた。
そこは遊学を終え、王として親政を始めるまでにキッチリと彼に教え、部下の反発を招かせないようにする必要性を感じていた。
「ははっ! そ、そうでしたか……私の考えが至らぬばかりに、余計なことを申し上げました。ですが、滞在場所は王宮の自室をお使いください。もちろん、陛下のお知り合いの方たちも泊っていただいて結構ですので」
「ほぅ、王宮の自室か……そこで余たちを一気に毒殺でもする気か?」
ジェネシスの言葉にサイアスは後ずさると床に頭を擦り付けて土下座をしていた。
「め、滅相もありません! 私は陛下の臣下として犬馬の労も厭わずに働く所存だと申し上げたはず、その陛下を毒殺しようなどと考えるわけがありません!」
「ほぅ、それもそうか……余にはモーラッド一族が付いておるからな。彼らをかいくぐって毒殺など無理という話か。ああ、そう言えば思いだした。余はそのモーラッド一族の娘たちと結婚するぞ。正室は誰にするか決めかねておるが、まずは三人と結婚することにした」
ジェネシスが土下座して平伏しているサイアスに爆弾を投げ込む。
暗殺者一族であるモーラッド一族から王の正室や側室を迎えると平然と言い放ったのだ。
「は、はぁ!? 私の耳がおかしくなったのでしょうか? 今、陛下がモーラッド一族から正室及び側室を迎えると聞こえましたが……?」
「ああ、余はそう言ったぞ。遊学中の身の上だから式は挙げずに済ませるがな。王都に戻った際に盛大な宴を催すつもりだ。サイアスには心積もりさせておかねばと思い先に話しておくことにした」
平伏していたサイアスは顔を上げるとジェネシスににじり寄ってくる。
「へ、陛下!! そのような重大な話を何ゆえに勝手に決められたのですっ! 側女ならばまだ目こぼしできますが、正室や側室など私が許しても他の貴族が許しませんぞ!」
「だから、余はサイアスに先に話したのだ。余が戻るまでにモーラッド一族から正室と側室を迎えることの了承を貴族たちから集めよ。できなければ、宰相職は解任してやるから王都を出て領地で嫁と余生を過ごせ」
「は、はぁ!? 私も連帯責任ですか? このサイアスと余生を過ごすなんて最悪な生活は御免被りたいです!」
自分には無関係だと傍観していたマリアンも降って湧いた話に巻き込まれたと自覚したことで慌てていた。
それにしても、ジェネシスもメラニアを苛めた二人に対して容赦ないな……。
確かに姉であるメラニアを殺害しようとした二人ではあるが、あまり締め付け過ぎると大きな反動が起きそうでもある。
もちろん、そんなデカイ反動が起きた時は、俺が全力でジェネシスを守るが、王として大きく育つには公私をはっきりと分けて行かねばならないと思う。
ふぅ、この仕事を終えてブラックミルズに帰ったら、ジェネシスはジェイミーを呼んだ男の大反省会で少し釘を刺しておくか……。
俺がそんな風に思っている間もジェネシスとサイアスたちの話し合いは進んでいく。
「へ、陛下! ご再考を! せめて、公爵家か……いや侯爵家でも良いので見目の良い年頃の令嬢を正室としてお迎えください! モーラッド一族から正室など出したら国が割れます!」
「ならんっ! 余は彼女たちに約束をしたのだ。そして、余は約束を破らないと決めておる! サイアス、なんとかいたせ。余はそちをこの国で一番の忠臣だと思っておる、だからこそそちにこの難題の解決を頼んでおるのだ。けして、憎しみだけで嫌がらせをしておるわけではない。だから、顔を上げよ」
ジェネシスは平伏したままのサイアスの肩に手を添える。
すると、サイアスが顔を上げた。
「へ、陛下……私のことをそこまで……ご信頼して……」
サイアスは瞳を潤ませて、感激しているのか身も震わせていた。
いやいや、中々どうして部下に厳しいかと思ったが、意外とジェネシスのやつも考えてようだ。
あの敵対視しているサイアスに対し『国一番の信頼できる忠臣』って言葉を贈るとはな……。
王の信頼を得たいと必死のサイアスにはさぞ心地よく聞こえたと思われる。
ジェネシスはやはり食えない男であった。
「わ、分かりました。陛下が遊学を終えて戻られるまでにキッチリと貴族たちの合意を取り付けておきます。このサイアスにできぬことなどありませぬからなっ!」
「ちょ! サイアス宰相、貴方すでに旧クレストン家派閥の貴族から首を狙われているのに、更に自分の派閥の貴族からも首を狙わせるつもり!? 馬鹿なの!? ボケたの!?」
隣でマリアンが何やら喚いているが、サイアスの耳には通じていないようであった。
「すまんな。任せたぞ、サイアス。それと余たちはすでに宿を取ってあるから、王宮での滞在は不要だ。仲間にいらぬ気遣いをさせるからな。では、余たちは宿に行くので職務に精励するように!」
「ははっ!! このサイアス、粉骨砕身を以って陛下にお仕えいたします」
再び平伏したサイアスをよそにジェネシスが俺たちの方へ戻ってきた。
「って、ことでオレの結婚な話は付いたんで仕事に戻りましょう」
「ジェネシス様、ブラックミルズに帰りましたら、わたくしからも婚礼の祝いの品は届けますね。薬酒とかの方がいいかしら?」
「あ、姉上。オレはまだ若いっすよー」
ジェネシスが照れるように頭を掻いていた。
若いこそ、色々と励んでいるのは知っているので、薬酒はありがたいことになると思われる。
「世継ぎを産んでもらわないと俺が困るからな。よし、メラニア。ジェネシスの婚礼の祝いの品は高級薬酒にしとこう。それがいいぞ」
「はい、承りました。メリーさん、ブラックミルズ公爵家から高級薬酒一〇〇本ほどを陛下の婚礼祝いとして贈るので準備をお願いいたします」
「オッケー、大口の取引ありがとうございまーす」
「メリーさん、その案件うちにも噛ませてくださいよ。陛下の婚礼品の取り扱いとなれば、本部も色々と素材集めに便宜を図ってくれるでしょうし」
メラニア→メリー→アルマのホットラインですぐに大量発注&受注が完了していた。
恐るべきブラックミルズの三巨頭体制である。
領主、商店街、冒険者ギルドという三つの組織が一体となって動くとこれほどまでにスムーズに案件が動くのをまざまざと見せつけられた。
「アルマ、エルフ秘伝の特製薬酒も作りたい。材料の追加発注もできるか?」
「なんですかそれ? 名前だけでもすごそうなんですけど」
「発情期に入った男エルフが飲む薬酒。効き目は通常の高級薬酒の三倍」
カ、カーラ君、それはちょっと危ない薬の匂いがするけども……俺には使わないよね?
「あ、あの! カーラさん、それ作ったら一本、私に分けてもらっていいですか? お金はお支払いしますんで」
あ、あの! アウリース君、俺は君を信じてるからね、絶対に購入しないからって信じてるから!
「じゃ、じゃあ、あたしも一本欲しいです!」
セ、セーラ! お父さんに申し訳ないから、キチンと許可を取ってから買うように……って違う、買わないようにね!
「ファーマも欲しいー。カーラさんが作るなら美味しいお酒なんだろうなー」
ファーマ、買って飲んじゃダメだからっ! 美味しいかもしれないけど、ダメ絶対!
「ふふぅん、それは非売品としておきましょうか。みんなで一本とかでどう? フフフ……」
メリー、なんでそんなに邪悪そうな顔で笑っているんだ! き、君はそんな子じゃないよね?
「なるほど、メリーさんのお考えは非常に良い申し出だとわたくし思いますね」
メ、メラニアーーーー! 君もそっちに回るのか!
「ほ、ほら、じゃあその話はグレイズさんのいないところでしましょう。警戒されますし」
ア、アルマ! お前もか……!?
「わふううぅうう(グレイズ殿、万事休すですね)」
「じゃあ、オレからの婚礼の品に対する返礼の品はカーラさんのソレでいきましょう。グレイズさんのことだから、返礼の品を捨てるなんてことはしないっすよねー?」
ジェネシスがニヤリと笑ってこちらを見ていた。
ば、万事休す!! 自ら墓穴を掘った気がしないでもない。
「え、えっと……俺は先に宿に行くからみんなも早くくるようにな!! お先に!!」
俺は腕輪を外すと、その場を脱兎の如く逃げ出すしかなかった。
-------------------
応援していただいている方々のおかげをもちまして、無事におっさん商人の二巻を発売することができました。
それに伴い二巻相当部分のWEB掲載がレンタル化されております。二巻はハク、アルマがキャラデザされ、お話し的にはムエル編完結までを描いています。改稿等しっかり入れてよりスッキリできる話しに仕上がったかと。書店等にはすでに並んでいる所もあると思いますので、お手に取ってもいただければ幸いです。
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