おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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最終章 そして、伝説へ

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 二回目の光は転移ではなかった。

 二回目の光は極度に濃い魔素マナを含んだ発光現象だった。

 おかげでさっきまで戦っていたみんなや冒険者たちが、一気に魔素マナ酔いで地面に倒れ込んで動かずにいる。

「メラニアーどうしたのじゃー。メラニアー、起きるのじゃー。こんなところで寝たら危ないのじゃ」

 召喚された魔物であるクィーンは、光の影響を受けなかったようで、倒れ込んでいるメラニアの頬を叩いて起こそうとしていた。

 味方の中で光によって意識を失わなかったのクィーンと俺だけであった。

「おっさん、動くなよ。動いたら、あいつらが魔物の餌だぜ」

 ダンジョン主の青年はニヤついた顔で、倒れている仲間や冒険者たちを指差していた。

 魔物たちは光の影響を受けていないようで、いつでも仲間たちを攻撃できるように身構えたままであった。

「卑怯な野郎だ……」

「お前こそ、化け物の癖にいつまでも人間ぶるなよっ!!」

「ぐぅっ!」

 ダンジョン主の拳が俺の顎をとらえていた。

 衝撃を受け、口の中に血の味が広がる。

 俺はクラクラとする頭を抑えながら、ゆっくりと立ち上がった。

「ああ、そうだ。この状況を解決するたった一つの方法を教えてやろうか? 非常に簡単な方法だ。すぐに終わる」

 ダンジョン主が、近くで意識を喪失して倒れていたハクを掴み上げると、俺の方へ投げ捨てた。

「その意識体を殺せ。そうしたら、あとのやつらは生きてこのダンジョンから出してやる。どうだ? やるか? やらないか?」

 にやけた顔をしたまま、俺の返事を待っていた。

 状況は絶望的だ。

 魔物に囲まれ、味方は俺とクィーン以外全員が意識を喪失して倒れている。

 ハクを殺すことを断れば、目の前の青年は皆殺しをするのにためらいは見せないだろう。

 ジッと獣人になったハクの顔を見る。

 ハクは薄目を開けてこちらを見ていた。

『グレイズさん、三つ数えたら、あたしがみんなの魔素マナを強制浄化して意識を戻しますから、その間ダンジョン主を抑えてください。魔物たちもダンジョン主の指示がなければ動きませんので』

 ハクのやつ寝たふりしてたのか……。

 それにしても、無茶な要求だぞ。

『あたしのご主人様ならきっと無茶も簡単にこなしてくれるって信頼してますからね。大事なファーマちゃんの命もかかってますし、それにこのダンジョン主はこのまま放っておくには危険すぎるとアクセルリオン神もお認めになられましたので、グレイズさんの能力限定も全解除です。あたしの力も付与されるので九割がた神様の完成です』

 ちょっと、待て。

 九割方の神様ってほとんど神様じゃ――

『細かい話はこのダンジョン主を討伐した後でタップリとしますよ。じゃあ、カウント、スリー、ツー、ワン、ゼロ』

「おわっとっ!! なんだこれっ!!」

 ハクのカウントがゼロになると、腕輪を解放し時間経過は遅く感じていたが、その時間経過が更に遅くなった。

 止まってるのか? いや、俺の時間経過が早すぎるのか?

 突如、解放された力に戸惑いながらも、立ち止まったまま止まっているダンジョン主を殴り地面に叩きつけた。

「げふぅううっ!! おまえっ! なんだその動きっ!! くそ、お前らや――」

 ハクがみんなの意識を回復させるまで、魔物たちに指示を出せないよう、マウントポジションを取ると拳を繰り出し続けた。

「げふ、がふ、ば、ばけものめっ! ごぼ、ごはっ! やめろ、仲間がどうなっても――」

 ダンジョン主の六枚羽根が光り始めたので、三度目の光を浴びないよう、羽根に手をかける。

 そして、力の限り精いっぱい引き裂いてやった。

「ぎゃああああああああああああああっ! 羽根がっ! 羽根がぁあああっ!」

 背中からもぎ取った羽根を放り投げると、放出が続いていた黒い霧が晴れていく。

 羽根をむしったら、一気に魔素マナの放出がおさまったな。

 その間にハクの全身が光り輝いたかと思うと、周囲に光が拡がっていった。

「う、うん……何が……はっ! そうだ、戦闘中!! みんな起きて!!」

 一番最初に目覚めたメリーが近くの仲間を目覚めさせていく。

 魔物たちはハクの放った光で怯んだのか、それともダンジョン主の指示が届いていなのか分からないが動かずにいた。

「メラニアも起きるのじゃー」

「う、ううん。はっ! クィーンちゃん!? そう言えば今は戦闘中でした!」

「起きたのじゃ! こんなところで寝ると風邪をひいてしまうのじゃ」

「あー、なんかスッキリしたよー。身体軽い。今なら、グレイズさんを超える速さで――って、グレイズさんの攻撃が見えないよー何が起きたの?」

「とりあえず、支援魔法飛ばす。みんな起きるがいい」

「カーラさん、援護します」

 次々に目覚めた仲間たちが再び魔物たちとの戦闘を開始した。

 これで、人質はなくなった。

「くそ、くそ、くそがぁああああああっ!! なんで、お前だけがっ! お前だけが全てにおいて優遇されてるんだよっ!! そんなの卑怯じゃねえかっ! バケモノだって言うのによぉおおっ!」

 羽根をむしられて、顔を腫らしたダンジョン主が叫んでいた。

 一つボタンを掛け違えていたら、俺はこの男と同じことを言っていたかもしれない。

 だが、俺には心配してくれる仲間とおせっかいな人間が集まった故郷があったから、こうならずに済んだだけだ。

「俺の知り合いは、なかなか俺に人間をやめさせてくれないんだよ。お前にもきっとそういうやつが居たと思う」

 俺は叫んでいる男を心のどこかで憐れみながらも、拳を固め、人をやめた存在になったダンジョン主を倒すことにした。

「きっと、お前だっていつか、こっち側にくるはずだ。精々、その時が来るのを地獄で見届けてやるさっ!!」

「悪いな。きっとそうはならないさ」

 それだけ言うと、俺は拳に最大限に魔力を込め、ダンジョン主の顔に向けて振り下ろした。
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