俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク

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第27話 門出

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 路地裏からメインストリートに出ると、駅馬車の停留所がある門の近くへ戻っていく。


 停留所には駅馬車を待っている数名の男女の姿が見えた。


「ヴェルデ様、切符はわたしが購入してまいりますので、ここでガチャ様とお待ちください」


「ああ、分かった。悪いが任せるぞ。ガチャ、こっちにこい」


 周囲の人に興味を持ってフラフラしていたガチャだったが、アスターシアと入れ替わるように俺の声に反応し駆けてきた。


「あら、賢い子。その子は訓練された探索犬なのね」


 近くにいる大きな荷物袋を足元に置いた白髪の老婦人が、ガチャの姿を見て目を細めた。


「ええ、そうです。ガチャはとっても賢いんですよ。ほら、挨拶してあげて」


 ガチャは老婦人に向かい、レバーをゆっくりと回した。


「まぁ、可愛らしいこと。賢いだけでなく、可愛らしいとなると、貴方がその子に夢中なのも分かるわ」


 ガチャは老婦人に興味を持ったのか、彼女の足元をうろうろし始めた。


「ちょっと、ガチャちゃんを抱いてみてもよいかしらね?」


「ええ、ガチャも興味を持ってみたいですし、問題ありませんよ。なぁ、ガチャ」


 足元をうろうろしていたガチャが、レバーを回して『問題ない』と応える。


 老婦人はガチャを抱え上げると、モフモフを堪能している様子だ。


「ほんとに大人しい子ね。ふわふわの毛もよくお手入れされるし」


 身体を撫でてもらってガチャも嬉しそうにしてるな。


 まぁ、ガチャは最高にカワイイ相棒だから、誰から好かれるのはしょうがない。


 もっと褒めてやっていいんですよ。


 相棒を褒めてもらって思わず頬が緩むのが抑えられなかった。


「ところで、貴方はホーカムの街に行くのかしら?」


「ええ、そのつもりです」


「あら、そうなの。その格好だと貴族様のご子息かと思ってたのだけど」


「家名はありますが、次男の私が領地を継げるほど裕福な貴族ではありませんので……。家を継ぐ兄に子が生まれ、予備として修行に明け暮れていた俺は晴れてお役御免です」


 事前にアスターシアと話し合っていた設定を老婦人に喋った。


 今のところ不審がられている様子は見えないな。


 やっぱり容姿の影響が強いんだろう。


 黒髪は『渡り人』かその末裔って思われるらしいしな。


「まぁ、まぁ、それは大変ね。なにか生活のあてはあるのかしら? ほら、さっきのメイドの子も面倒を見ないといけないんでしょ?」


 ガチャを抱いて撫でている老婦人が、心配そうな顔でこちらを見てくる。


「ええ、まぁ。彼女には身の回りの世話をしてもらってますからね」


「家を出された貴方に付いてきてくれた子なんだから、しっかりと面倒を見てあげないとダメよ」


「はい、十分に理解しております。彼女の助けがなければ俺は生活もままならないですしね。幸いにして子供の時から剣と魔法の修行をさせてもらいましたので、のんびり探索者でもやろうかなと思ってます」


「なるほど。『オッサムの森』はダンジョンのランクも高いし、ホーカムの街の低ランクダンジョンから、探索者を始めるつもりなのね。いい判断だと思うわ」


 俺の答えを聞いた老婦人は、ニコリと微笑んだ。


 ふむ、ホーカムの街の方が低ランクなダンジョンが発生するのか。


 さすがにアスターシアも一緒に潜ることになるだろうし、ゴブリンチャンピオンとか出てこないダンジョンの方がいいな。


 老婦人の言った通り、ホーカムの街で探索者になって少し資金とダンジョン探索の経験を稼いだ方がいいかもしれん。


「ヴェルデ様、切符を購入してきました」


 老婦人と話していたら、アスターシアが戻って来た。


「すみませんね。貴方のご主人様が、話しかけやすい方だったし、ガチャちゃんが可愛かったのでついつい長話を」


「えーっとこちらは?」


 アスターシアが困惑した顔をこちらに向けてくる。


 そう言えば名前聞いてないや。


「私はリアリー。ホーカムの街でちょっとした店をやってるの」


「そうでしたか。わたしはアスターシアと申します。わが主、ヴェルデ様のメイドをしております。同じ駅馬車になりそうですので、これも何かのご縁ですね」


「そうね。ガチャちゃんの繋いでくれた縁かしら」


 リアリーさんは相当ガチャが気に入ったようだな。


 旅は道連れって言うけど、リアリーさんも一緒の駅馬車っぽいし、ホーカムの街まで、世間話をする相手には困らなそうだ。


 ガチャもリアリーさんのことを気に入って喜んでるみたいだし。


 この世界、悪い人ばかりってわけでもなさそうでよかったぜ。


「あらあら、どうやら早めに駅馬車が来たみたいよ」


 門の方へ視線を向けると、10人ほどが乗れる4頭引きの大型馬車が入ってくる――。


 同時に馬車の隣に、怒気を前面に見せたデキムスと下着姿の仲間2人の姿が見えた。


 あいつら、追いつきやがった。衛兵となにか喋ってるみたいだな。


 アスターシアも気付いたようで、意識しないようチラ見をしている。


「早いところ駅馬車に荷物を積まないといけませんね。リアリ―さんの荷物は俺が持ちますよ。その代わり、ガチャをよろしくお願いしますね」


「え? ええ、それでいいのかしら? 私は楽できるからいいのだけど」


「ヴェルデ様は鍛えておりますので問題ありません」


 一刻でも早くここを離れたい俺とアスターシアは、リアリーさんの荷物と一緒に停留所に停車した駅馬車に近づいた。


 乗ってきた人たちが全員下車したのを待ち、駅馬車が空になると一番で御者にリアリ―さんの荷物を渡す。


 すでにガチャとアスターシアは、リアリーさんと一緒に駅馬車の座席を確保してくれているようだ。


 気になったので、デキムスたちがいた門の入口に視線を向けるが、すでに彼らの姿がなかった。


「おい、お前!」


 背後から聞き覚えのある声かけられ、心臓が止まりそうになる。


 呼吸を整え、ゆっくりと背後に振り返ると、デキムスの姿がそこにあった。


「何か俺に用ですか?」


「この辺で真っ黒な外套を着込んだ男と、ボサボサな茶髪をした大柄な老いぼれを見なかったか? あと、小型の探索犬連れてるはずだ。頭がピンクの毛をした目立つやつだ!」


 デキムスは俺のことに全然気づいてないようだ。


 さすが偽りの仮面で顔の造形も変わって、声質も若干違ってるし、あの時の『渡り人』って分るわけないか。


 こちらの存在がデキムスにバレてないことを確認したため、落ち着いて相手の様子を観察することができた。


 それにしても、俺たちのことめっちゃ必死に探してるな。


 まぁ、荷物を丸ごと盗まれたうえ、仲間の装備まで剥ぎ取られたから怒るのは分かるが。


 こっちも殺されたくないんでね。


「ああ、見かけましたよ。たしか、この街の探索者ギルドですれ違った気がしますね」


「何! 本当か! すまない情報提供助かる! お前ら、行くぞ! 探索者ギルドだ!」


 デキムスは仲間2人引き連れると、メインストリートを疾走していった。


 あばよ! 明日見碧は、もうこの異世界ウィンダミアには存在してないからな。頑張って探してくれ!


 デキムスたちの姿を見送ると、俺は駅馬車の中に入り、アスターシアが取ってくれた隣の席に腰を下ろした。


「物騒な世の中だな。追いはぎにでもあったのかな?」


 俺の言葉にアスターシアがクスリと笑みを浮かべる。


「そうですね。笑ってはいけないとは思いましたが、お仲間の格好を見て我慢できませんでした」


「この国もいろいろと物騒だからねぇ……。まったく、もう少し治安を良くしてほしいところだね。ねー、ガチャちゃん」


 リアリーさんに同意を求められたガチャが、彼女の膝の上で頷いている。


 まったくだ。治安のいいところでまったりと探索者生活して金を稼ぎたい。


「これより、ホーカムの街に向け出発いたします。到着は3日後、途中、2つほど村に寄りますので食料等は各自で準備お願いしますね」


 護衛らしい男が室内の客に旅程の説明をしていく。


 3日の馬車旅か。それもまた異世界っぽくて楽しいだろな。どんな景色が見えるんだろうか。


 上手く追手を撒いたことと、これから始まる旅に俺の心は沸き立った。


 護衛がドアを閉めると、御者の鞭がうなり、馬車がゆっくりと動き出す。


 さって、これから俺の異世界サバイバルがようやく始まるって感じだな。


 馬車は速度を上げ、『オッサムの森』の近くにあったヴェンドの街がどんどんと小さくなっていった。



――――――――――――――――

導入部が終わりました。探索パートが始まります
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