65 / 81
第65話 探索者の仕事
しおりを挟む魔物の集団を倒しきると、アスターシアたちが姿を現す。
「すごい数でしたね。こんな量の魔物が溢れるとなると、相当強力なダンジョンができてる可能性がありますよね?」
「ああ、ホブゴブリンとかなんてのが外に出てくる状況は、低ランクダンジョンじゃあり得ないだろうし」
俺は倒した死骸を検分しつつ、解体スキルを発動させて、素材化していく。
手に入った素材はゴブリンの骨とゴブリンの大骨。
襲ってきた集団は、ゴブリン10体、シャーマン5体、アーチャー7体、ホブゴブリン3体の計25体。
集団の最高LVはホブゴブリンのLV10。
そんな集団が外に溢れ出すダンジョンは、いったいどれくらいのダンジョンランクになっているんだろうか……。
「村の人にリアリーさんのところへ急報を届けてもらった方がいいですよね。これって、絶対に異常事態でしょうし」
「ああ、そうだな。リアリーさんに伝えに走ってもらった方がいいだろう。そっちは頼めるかい?」
「え、あ、はい! お任せください。村長さんに頼んできます!」
「とりあえず、俺は他の集団が周辺に徘徊してないか探してくる。ガチャは、アスターシアと一緒に居てくれよ」
ガチャは付いてきたそうに顔を上げるが、危険が多いと判断してくれたのか、頷いてくれた。
「すまんな、ガチャ。すぐに戻ってくるから安心してくれ! じゃあ、周囲を見てくる」
俺はガチャの頭を撫でると、アスターシアと別れ、村の周囲を巡ることにした。
農村を囲むように作られた小麦畑の中を進む。
収穫前の小麦が腰の高さまで伸びているが、視界はかなり開けている。
周囲をくまなく観察し、魔物が潜んでいないかを確認した。
他に潜んでいる魔物はいなさそうだ。
それにしても、さっきの連中が溢れ出して向かって来た道筋をたどると、トマスが向かった方なんだよな。
魔物を見つけても、戦闘は極力しないって言ってたから、大丈夫だろうけど。
トマスの特性は『気配消し』だし、ダンジョン調査も魔物から上手く隠れてやりすごしてるって言ってたし。
俺は心に浮かんだ不安をかき消すように、もう一度周囲をしっかり確認すると、急いで農村に戻った。
「ヴェルデ様、村長さんに頼んで村の人をホーカムの街に事態を知らせるよう走ってもらいました!」
「助かる」
俺は駆け寄ってきたガチャを抱え上げると、村長と思しき壮年の男性と立つアスターシアに親指を立てて応えた。
「ガチャも、アスターシアを手伝ってくれてありがとな」
ガチャは『お役に立つのは当然です』と言いたげに、胸を張ってきた。
さすが俺の相棒! えらいぞ! えらい!
抱えているガチャの背を撫で褒めてやった。
「ヴェルデ様、村の周囲はどうでしたでしょうか?」
「さっきみたいな連中がうろついておったら、わしらはホーカムの街に逃げ込まねばならんのだが」
村長は怯えた顔で村の周囲を見回している。
「周囲を見てきたが、さっきのやつら以外魔物の姿はない」
俺の言葉に村長は安堵した顔をした。
あれだけの魔物が集団でうろついていると不安が募るんだろう。
魔物たちがたどってきた道は、俺たちが調査討伐しようとしてたダンジョンとは目的地が違う。
住民たちの安心な暮らしのためにも、魔物が溢れ出してるダンジョンがないか確認しておいた方がいいか。
「けど、魔物が溢れ出すダンジョンがあるのは確実だ。悪いけど、この周辺で発見され、探索者ギルドに報告したダンジョンの情報を教えてくれないか」
「ヴェルデ様! ランクも分からないダンジョンの討伐は――」
溢れ出した魔物の強さを見ていたアスターシアが、俺を心配して話を遮ってきた。
「大丈夫、単独討伐などする気はないよ。他の探索者を派遣してもらうにしても、探索者ギルドには、ダンジョンの正確な情報を渡さないといけないだろ」
「そうですが……」
俺は話を遮ったアスターシアを宥めると、村長にもう一度尋ねる。
「村長さん、発見したダンジョンの位置を教えてくれ。俺――」
「わたしたちが確認してきます。探索者なので!」
「アスターシア!?」
「わたしもヴェルデ様のパーティーの一員ですから、調査に同行させてもらわないと困りますよ! ねぇ、ガチャ様!」
抱えているガチャも、置いて行かれるのは心外だとばかりに鼻息を荒くした。
安全を確認してくるから、ここで待ってろっていう俺の考えはお見通しってわけか……。
Dランク以上のダンジョンだった場合、2人を守って探索するってのも厳しいかなと思ったが、この様子だとやるしかないな。
「分かった。分かった。2人ともわかったから。村長さん、俺たちが確認してくるから、分かる範囲のダンジョンの発見場所を教えてくれ」
「あ、ああ、すぐに村の者に地図を描かせてくる! ちょっと、待っててくれ!」
村長は慌てて広場に向かい、村の者を集め、周囲で発見されたダンジョンの位置を書いた地図を作ってくれた。
村長から地図を受け取った俺たちは当初の目的地を変更し、魔物の集団がたどってきた道を進み、強力なダンジョンが発生していないか確認することにした。
142
あなたにおすすめの小説
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる