俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク

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第72話 再調査

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 翌朝、トマスをパーティーに加えた俺たちは再びダンジョンの中にいた。


「とりあえず、罠はなさそうだ。けど、ここは成長して追加された通路だな」


「俺たちが潜った昨日の時点では、なかった通路だ。1日でここまで変化するとは」


 調査依頼用に使用される黒い板から、浮かび上がっているダンジョンマップとにらめっこしていたトマスから進むように指示が出た。


「異常な速度だよ。こんな速い変化なんか、『重点探索指定地区』でも起きねえって」


 探索調査に関しては、俺たちよりも場数を踏んでいるトマスなので、調査の進め方に関しては彼に一任するよう話し合いが済んでいる。


「魔素濃度も再測定してみてますが、昨日よりもさらに高く……」


 アスターシアの持っている黒い板の方で、魔素濃度の再測定をしてもらっているが、その数字は500%を超えている。


 どんどんと状況が悪化してる。


 濃度は上がるし、ダンジョンの進化は異常な速度で進むし――


「敵だ! 来るぞ!」


「ガチャ様、こちらへ」


 敵の気配を察知したトマスが、特性を使い、自らの気配を消した。


 アスターシアもガチャを抱えると、影潜りの外套の力を発揮して姿と気配を消す。


 魔物との戦闘は、俺の担当だ。


 打刀では威力に不安があったため、背中に背負ったチャンピオンソードを引き抜き、構えると魔物の集団がくるのを待ち受ける。


 レアな武器であるチャンピオンソードについて、トマスには貴族の父からもらった餞別の品だと話してあった。


 いろいろと高価な武器や魔導具などを所有している理由として、元貴族であったと主張すれば、だいたいの人が理解を示してくれる。


 もちろんクルリ魔導王国内の貴族とは言ってない。


 アスターシアからこの世界の最北の国であり、探索者の国として知られるヴァルゴス帝国の貴族だと言えば、バレないと教えられているので、国を聞かれたらそう答えるようにしている。


「魔物は頼むぞ」


「ああ、任せろ」


 トマスと入れ替わると、敵の集団を構成する魔物が何かを確認する。


 敵はホブゴブリン5体、ジャイアントラット2体。


 まだ、魔物の進化まではしてない感じか。


 この程度の集団なら、攻撃も怖くないし、通常攻撃だけで事足りる。


 構えたチャンピオンソードを横薙ぎに振り抜き、先頭のホブゴブリンの胴体を両断する。


「問題なしっと!」


 ホブゴブリンたちの攻撃を見切ってかわしつつ、隙を見つけ斬り伏せる。


 すぐに魔物の集団は物言わぬ死骸になった。


「いっちょあがり」


「……すげえな。普通にDランク以上のダンジョンで出てくる魔物をああも簡単に倒すとは」


 近くに潜んでいたトマスが、呆気に取られた表情を浮かべこちらを見ていた。


「武器のおかげさ。こいつは特別製だからな。こいつがなきゃ、これだけ簡単には倒せない」


「それにしたって……なぁ」


 倒れた魔物の死骸を見ているトマスが、ため息を吐く。


 ため息を吐くトマスを横目に、俺は倒した魔物を解体し、素材を回収した。


「魔物の素材を回収したから、調査を再開しよう。トマス、指示を頼む」


「へいへい。とりあえず、進むぜ」


 周囲の警戒をしつつ、魔物たちが進んできた通路を奥へ向かって歩き出す。


 地面に下りたガチャは、トマスの後ろを歩き、周囲をキョロキョロと見まわしている。


「ガチャも警戒してくれてるのか?」


 振り返ったガチャが、頭をブンブンと振り、同意の頷きをしてくれた。


「ガチャも警戒してくれるなら、安心だ。でも、トマスの邪魔はしないようにしてくれよ」


 了承の頷きを返したガチャがは、ふんすと鼻息を荒げ、周囲の警戒を再開する。


 探索は続き、ダンジョンマップはどんどんと埋まっていく。


 埋めても、埋めても3日前ダンジョンに入ったトマスの覚えている通路は出てきていない。


 調査中、何度か魔物集団との遭遇もあったが、ダンジョンの拡張の方に魔素が多く使われているようで、昨日見かけた魔物以外はまだでてきていない。


 そのため、MPはまだかなり残っている状態だった。


「ヴェルデ様! トマス様! 隠蔽された罠です! 止まって!


 背後を歩いているアスターシアが、大声で制止するよう叫ぶ。


 先頭のトマスが足を止めると、俺も同じように足を止めた。


「見えねぇ……。本当にあるってのは、さっきので理解してるが――」


 さっきも隠蔽罠があり、床の突起を踏むと壁から矢が打ち出されるものがあった。


 その時はアスターシアが指摘した場所に物を置き、矢を打ち出させることで罠を解除した。


 そのため、トマスもアスターシアの持つ特性を疑ったりはしていない。


「今度はどんな罠だい?」


「足元くらいの高さに細い線みたいな物があります。たぶん、ひっかけると奥に隠蔽されてる岩が転がってくるのかと思います」


 アスターシアが指をさす先には、何も見えない。


 それにしても足元の細い糸に引っ掛かったら、岩が転がってくるなんて、見えないから殺意が高すぎる罠だろ……。


 危機感知系のスキルとか特性がないと、即死しそうな罠なんだが。


「アスターシアさん、罠はどの辺だ?」


 さすがに探索に慣れているトマスも、隠蔽された罠の発見まではできない。


 隠蔽された物が見えるアスターシアに罠の位置を確認してきた。


「もう少し下ですね。そこです。そこに細い糸があります」


 トマスが罠の目印用に赤い布を巻いた杭を地面に突き刺す。


「あとは、傾斜がついた先の壁に岩が隠されてますね」


 たしかにダンジョンの床が傾斜して坂道になっている。


 傾斜角度もきつい感じだし、岩の速度もかなりつくってわけか。


「トマス、どうする? 発動させるか?」


「ああ、させた方がいい。下手に放置しておくと、魔物に追われた時に引っ掛ける可能性もあるしな」


「たしかに。だとしたらこうしとくか」


 俺は地面に手を付け、スキルアイコンからアースウォールの魔法を発動させた。


 指定した場所の床の土が盛り上がり、分厚い壁を形成する。


「これでよし」


「壁で防ぐか。考えたな」


「これなら安全に処理できそうです!」


 貴重なMPを消費するが、これなら岩がすごい勢いで転がってきてもある程度防いでくれるはずだ。


「トマスたちは岩が来ないところで控えてくれ。発動は俺が行う」


 3人は頷くと、曲がり角の奥に消えた。


 俺は周囲の確認をすると、赤い杭の打たれた場所を手で撫でる。


 引っかかる感触! 手でやってようやく分かる感触。


 これじゃあ、足が引っかかったのなんて分かんねぇ!


 カチリと音がしたかと思うと、通路内に轟音が響き渡った。


 轟音が響く中、目の前の土の壁が、急な傾斜を転がってきたであろう岩の衝撃で振動する。


 三度大きな衝撃があったかと思うと、土の壁が砕け散った。


「おわ! ギリギリだったか!」


 土の壁が破壊され、開けた視界の先には、壁にぶつかって砕け散った岩の残骸が散乱していた。


「ヴェルデ様! 大丈夫ですか!?」


「問題ない! アスターシア、他に隠蔽された罠かが無いか確認してくれ」


 アスターシアは頷くと、岩の残骸が散乱する通路を凝視し始めた。


 その後を付いてきたトマスが、罠の様子を見て表情を曇らせている。


「ご丁寧に三個も岩を用意してるとはな……。ヴェルデ、このダンジョンは下手するとCランク超えてBランク行くかもしれん」


「Bランク……」


 成長速度からして、そこまでのダンジョンになる可能性もあるよな……。


 昨日に比べれば、相当難易度が上がってきてるわけだし。


 倒せそうなら倒すのもダンジョンボスを討伐するのもありか……。


 帰還の巻物もあるわけだし、挑戦してダメそうなら逃げるという手も取れるはず。


 でも、まだボス部屋がどこかまで判明してないんだよなぁ……。


「ヴェルデ様、トマス様、隠蔽された罠はなさそうです!」


「ヴェルデ、まだいけるか?」


「ああ、問題ない。帰る分も考えて配分してるからな」


 とりあえず調査を進め、魔物を排除し、ボス部屋を見つけ出すのが先決。


 倒すかどうかは、その時の状態で決めるしかない。


 俺たちは岩の残骸を避けながら、通路を奥に進んでいった。
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