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美咲、轢かれる
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膳の共犯者を追求しようとした瞬間、ポケットの中でスマートフォンが振動した。
着信元は瀬文武尊。
蒼介は途轍もなく嫌な予感がして、電話に出ることを一瞬だけ躊躇った。
不在着信が1件と表示され、またすぐにスマートフォンが振動を始めた。
「瀬文、どうした」
刑事としての勘か、何か重大な事態を見落としている気がしてならない。
『課長、美咲ちゃんが!!』
瀬文の焦った声に、蒼介は息を詰まらせた。その緊迫した声に、表情が一瞬で凍りつく。
「瀬文、美咲が……美咲がどうした?!」
『今、救急車で総合病院に向かってます。車に撥ねられました』
「どこだ。どこで事故が起きた」
蒼介の声が震えた。刑事としての冷静さが、父親としての動揺に揺らぐ。
『調べていた事故現場近くの交差点です。』
蒼介は苛立ちながら顔を上げて膳を睨みつけたけれど、膳は首を横に振った。
「……まさか」
膳の呟きを、蒼介は聞き逃さなかった。
「美咲が……美咲が事故にあったんですか!?蒼介さん!!ねぇ!教えて!」
千紘が悲痛の声を上げて蒼介の肩を揺さぶったけれど、蒼介は千紘に返事をすることは出来なかった。
「瀬文、美咲の容態を詳しく言え」
『今病院に向かってます。分かり次第、連絡します』
蒼介は、大きく息を吐いた。
「相手は」
『それが……恐らく事故ではありません。殺人未遂かと』
瀬文の声が、歯切れ悪くなった。
『犯人は逃走中。目撃証言で車種は白の作業用ワンボックス……ノーブレーキで突っ込んできたようです。つまり……』
「つまり、何だ。早く言え。」
『美咲ちゃんを狙っていた可能性が高いです。』
蒼介の手が、スマートフォンを握り締める。
『それと、美咲ちゃんが事故に遭う直前、電話にでながら振り返ったとの証言があります』
「電話?!美咲のスマートフォンはどうした」
『スマートフォンは大破。現場周辺は防犯カメラがありません。後続車にはドラレコ無し、と連絡受けてます。』
着信元は瀬文武尊。
蒼介は途轍もなく嫌な予感がして、電話に出ることを一瞬だけ躊躇った。
不在着信が1件と表示され、またすぐにスマートフォンが振動を始めた。
「瀬文、どうした」
刑事としての勘か、何か重大な事態を見落としている気がしてならない。
『課長、美咲ちゃんが!!』
瀬文の焦った声に、蒼介は息を詰まらせた。その緊迫した声に、表情が一瞬で凍りつく。
「瀬文、美咲が……美咲がどうした?!」
『今、救急車で総合病院に向かってます。車に撥ねられました』
「どこだ。どこで事故が起きた」
蒼介の声が震えた。刑事としての冷静さが、父親としての動揺に揺らぐ。
『調べていた事故現場近くの交差点です。』
蒼介は苛立ちながら顔を上げて膳を睨みつけたけれど、膳は首を横に振った。
「……まさか」
膳の呟きを、蒼介は聞き逃さなかった。
「美咲が……美咲が事故にあったんですか!?蒼介さん!!ねぇ!教えて!」
千紘が悲痛の声を上げて蒼介の肩を揺さぶったけれど、蒼介は千紘に返事をすることは出来なかった。
「瀬文、美咲の容態を詳しく言え」
『今病院に向かってます。分かり次第、連絡します』
蒼介は、大きく息を吐いた。
「相手は」
『それが……恐らく事故ではありません。殺人未遂かと』
瀬文の声が、歯切れ悪くなった。
『犯人は逃走中。目撃証言で車種は白の作業用ワンボックス……ノーブレーキで突っ込んできたようです。つまり……』
「つまり、何だ。早く言え。」
『美咲ちゃんを狙っていた可能性が高いです。』
蒼介の手が、スマートフォンを握り締める。
『それと、美咲ちゃんが事故に遭う直前、電話にでながら振り返ったとの証言があります』
「電話?!美咲のスマートフォンはどうした」
『スマートフォンは大破。現場周辺は防犯カメラがありません。後続車にはドラレコ無し、と連絡受けてます。』
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