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第八章【東方大地】
8-20 血の温もり
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―――そして、王城、東の塔の廊下。
テイル「離して…よっ……!ふざける…なっ……!」
ミハリ「黒髪の嬢ちゃんが狙いだったが、お前で我慢してやるっつーんだから大人しくしろっての……!」
地下牢から階段を上がった最初の廊下で、先にアサシンのもとに向かっていたテイルは盗賊団の側近の一人"ミハリ"に捕まっていた。
ミハリ「そんな刺激的な格好で歩いててさぁ……、気になるじゃん…!」
テイル「ふざけ…!好きでこんな恰好してたんじゃない…!」
押し倒されてはいたが、身体に触れられないギリギリのラインで押し合いを続ける。
テイル「このッ…!」
膝を立てて蹴りを飛ばそうとするが、片腕でそれを止められ、薄着のまま足を無理やり拡げられる。
テイル「やっ…!」
ミハリ「おいおい、乗り気になってきたんですかァ!」
テイル「そんなんじゃ…!いい加減に……!!このォッ!!」
"パンッ!"
何とか振りほどいた片腕で、ミハリの頬を強く叩く。
すると、ミハリは「いてぇじゃねぇか、クソ女が…!殺すぞ!」怒りをあらわにし、より強く迫った。
テイル「あぐっ…!」
ミハリ「首を絞めると、締まるって話は本当なのか試してもいいなァ…!なァ……!!」
テイル「こ、の……!」
男と女、どうしても力の押し合いでは分が悪い。もう力が持たないと諦めかけた時、ミハリの後頭部に鈍い痛みが走った。
ミハリ「がぐっ!?」
彼の背後、地下牢から脱出した魔剣士が剣を構えて立っていた。
魔剣士「……残念。もっと一気にやっちまえばよかったのにな」
側面を振り下ろして打ち込んだ打撃に、ミハリはその衝撃で舌を噛み、目を回したのだった。
魔剣士「大丈夫かよ、何してんだこんなところで……」
白姫「テイルさん、大丈夫!?」
テイル「……ま、魔剣士!」
魔剣士の姿を見て、助かったとホッとするテイルだったが、その心に「あっ」と声を上げる。
テイル「あっ…!な、何よ!別に助けてなんて頼んでないじゃない!」
魔剣士「……素直に礼を言えよテメェ」
テイル「今から凄い技で吹き飛ばす予定だったの!」
魔剣士「……あっそ」
テイル「信じてないわね、その目」
魔剣士「……あっそ」
テイル「う、うぅ~……!」
緊迫している状況だというのに、こんな時でもこの二人は……。それを見た白姫、ふと笑いがこみ上げた。
白姫「あ…あははっ、もう、二人ってば!」
魔剣士「あ?」
テイル「うん?」
白姫「なんか二人って似てるなって…。魔剣士も同じ状況だったら、同じこと言いそうだなーって…!」
魔剣士「むっ……」
テイル「あっ……」
白姫「素直になることも大事だと思うよ!」
魔剣士「あー…」
テイル「うー…」
その言葉に、反論できない魔剣士。そうかもしれないと納得するテイル。ばつが悪そうに見つめ合う二人。
魔剣士「……ま、まぁ確かにそういうかもしれんが…」
テイル「ち、ちょっとだけは…助かったってお礼言ってあげてもいいかも……」
魔剣士「…おう」
テイル「あ、ありがと……」
魔剣士「どういたし…まして……?」
何とか素直になった二人に、白姫はまた「ふふっ」と微笑んだ。
どこかゆったりとした空気に包まれたが、魔剣士と白姫にとって、次に辛い現実を教えなければいけないのは心苦しかった。
魔剣士「……な、なぁテイル」
テイル「何よ。お礼ならもう言ったでしょ」
魔剣士「そうじゃねえよ!違うんだ、お前に話があるんだよ」
テイル「……お話?」
魔剣士「そうだ」
テイル「……こ、告白ならノーサンキューよ。助けたくらいで愛に落ちるなんて、そんな安い女じゃないから」
魔剣士「ちげぇよ!?そうじゃねえっての!」
テイル「フン、まぁ良いわ。どのみち話を聞く時間はないし、早くアサシンのもとに急ぐことが大事でしょ?」
魔剣士「そりゃそうなんだが、それより話を聞け」
テイル「時間がないのよ!猛竜騎士だってその部屋にいるんでしょ?」
魔剣士「そうかもしれねぇが、まずこっち向けっての!」
テイルの肩を掴み、無理やり目線を合わせる魔剣士。
テイル「……離してよ」
魔剣士「話があるんだっつってんだろ…!」
どうにも、テイルは話を聞こうとしない。こちらとて、それを伝えるのにどう言えばいいのか苦しんでいるというのに。
テイル「奥義、放つわよ」
魔剣士「それでも伝えることがあるんだよ」
テイル「……嫌」
魔剣士「話を聞け、頼むから……」
テイル「いいのよ…。聞く話なんかないから……」
魔剣士「いや、俺があるんだっての!」
目を逸らし、本当に嫌悪感のある表情を浮かべるテイル。どうしても話を聞く気はないらしい。
魔剣士は訴え、それを拒否するやり取りを数回続けた頃、白姫はようやく"気づく"。
白姫(どうしてテイルさん、話を聞くのを拒んで……)
白姫(…………もしかして…っ!)
考えてみれば簡単なことだった。
テイル「……分かってるのよ!」
魔剣士「うぉっ…!?」
テイル「どうせビショップ…、兄さんのことでしょ!!」
魔剣士「は……!」
白姫(やっぱり……ッ)
兄とともに王城で長い時間を過ごしてきたテイルは、地下牢にいた彼がどうなる運命だったのか、よく分かっていたのだ。
魔剣士「お前、知ってるの…か……」
テイル「あの地下牢の奥は、拷問牢、死刑牢…。人を蝕む魔力のカビで、二日と持たないから……!」
魔剣士「…!」
テイル「兄さんが死んだってことでしょ!分かってるから、もう…これ以上は……言わせないでよ……」
全て、知っていた。
もちろん、彼が妹テイルに想った気持ちのことも。
テイル「あ、あの姿を見てすぐに分かった!もう長くないんだって、兄さんが過ちを認めて、私に頑張れって言ってくれたことも!」
魔剣士「テイル…!」
テイル「だ、だからそこにいたくなんかなかった!見たくなかったの!」
魔剣士「落ち着け…!」
テイル「何よ、弱いって馬鹿にすればいいじゃない!いつもみたく、ほら!兄さんが死んだって言わせたかったんでしょ!!」
彼女にとって、触れてはいけない傷だったのか。淀みという気持ちが詰まった風船が、弾ける。
テイル「どうしろって言うのよ……!私、兄さんに酷いことをしたかもしれないけど、こんなことって……どうして……!」
テイル「全部、私が悪いんでしょ……。私が悪い…私が…………」
今、彼女にとって"家族"というべき存在は誰もいなくなった。この広い王城、彼女は、もう、独り。
そんなテイルを慰めたい。落ち着かせたい気持ちが襲う。だけど、知ったような口ぶりで、他人に話されるのは何よりも最悪に思うかもしれない。
魔剣士「……つっても、俺もバカ野郎だからよ。同じことばっかだけどよ…!」
居た堪れない気持ちに、つい魔剣士はテイルを抱き寄せた。
それが正解だったのか分からないが、とにかく自分の気持ちを彼女にぶつける。
魔剣士「お前がそんなんでどうするんだ!何度も言わせるんじゃねぇよっ!!」
テイル「離して…よ……!!」
魔剣士「国民を率いるんだろ!それでいいのか!」
テイル「もう、そんな言葉じゃ納得なんかできない!聞きたくなかった!分かってたけど、アンタなんかに言われたくなかったの!!」
魔剣士「それは悪いと思ってる!だけど、俺がクローツの最期を看取った…、お前だって家族としてそれを知らなくちゃダメだろうが!」
テイル「そんなの分かってる!!分かってるけど、分かってる…けど……!」
魔剣士「先の想いはどこにいったんだよ!敵だと思って、だけど家族で、複雑なのはわかるけど受けとめることも大事だろうが!」
テイル「うるさい…、煩い、煩いッ……!」
届かない声。触れてはいけない繊細な心だった。
テイル自身、こんなことは言いたくなかっただろう。しかし、魔剣士の勢いに負けて"聞きたくなかった言葉"に、溢れてしまった想いでもう、止まらない。混乱、興奮は酷く、彼女を壊す。壊れていく。
テイル「分かったように言わないで…!言うな…言われたくない……!他人にそんな分かったようなこと……!」
魔剣士「仲間だろうがよ…!」
テイル「会って少し戦ったくらいで、分かったようなことを言っても嬉しくも何ともない!!」
魔剣士「こ、この分からず屋が……!」
テイル「もう、いい加減に離してぇっ!!」
"旋風ッ!"
突如、奥義を繰り出すテイルに、油断していた魔剣士は吹き飛ばされる。
魔剣士「ぬあっ!?」
勢いで、壁に強く打ち付けられる魔剣士。白姫は「魔剣士!」と近づいたが、その時、先に気絶させていた盗賊団"ミハリ"が目を覚まし、罵声を叫びながらテイルに襲い掛かった。
ミハリ「う、動くなコラァ!」
テイル「きゃあっ!?」
白姫「…テイルさん!?」
魔剣士「テイル!」
忍ばせていた短刀を首に突きつけ、テイルを人質として「動くんじゃない!」と幾度か繰り返す。
魔剣士「クソッ…!何してんだこの野郎!」
ミハリ「う、うるせぇ!人の頬ぶったたきやがったり、ぶん殴ったりしやがって!」
魔剣士「人のこと言えるかテメェ…。つーか、そんなことしてアサシンに殺されるんじゃねぇのか」
ミハリ「……ク、クハハッ!アサシン様は欲に素直な人間が好きなんだよ!俺は欲が強くて、弱くても本隊入りだ!そして俺の今の欲は、お前を殺してこの姫二人と楽しく過ごすことでね…!」
魔剣士「な、何だと……!テメェ、もう一度言ってみろ……!」
"白姫"の名に、眼つきを変える。
ミハリ「おっと、怖い眼を…!だが、指一本動くんじゃねぇ!お前が変な魔法を使う事は知ってんだよ!」
魔剣士「ッ!」
ミハリ「ククッ、俺が優勢だな……」
魔剣士「……クソが。テイル、お前だったらそいつ吹き飛ばせるだろ!旋風でも何でも浴びせろよ!」
問いかける魔剣士。だが、テイルは反応しない。
テイル「もう、色々ありすぎだよ…。疲れた…。どうでも、良い…かなって……」
魔剣士(そ、そんなに兄の死を伝え、認識させたことが…ダメだったのか……!?)
こんな相手一人、普段なら倒すのは訳ないだろうが、人質を取られている上に本人に助かる意志がない。闇魔法の動きも知られ、下手に動ける状況じゃないことに苛立ちを覚える。
ミハリ「くふっ…!ふふふっ……!」
魔剣士(一撃でぶっ飛ばせる相手だっつーのによ……!)
テイル「…」
白姫(……魔剣士が動けないんだったら)
それを見ていた白姫は、この状況を打破すべく、一つの案を思いつく。
白姫「だったら、私が!」
何を思ったか、何故か白姫がテイルのもとへと"一歩"近づいた。
魔剣士「ちょっ!?」
テイル「白姫ちゃん!?」
ミハリ「は…?」
想定外の出来事に三人が驚き、テイルも声を上げる。
魔剣士(……っと、好機じゃねぇか!)
気を取られたミハリに気づいた魔剣士は、無詠唱の氷結魔法を展開。
壁から伸びた氷によってミハリの背中側から片腕と足を瞬間的に凍結させた。
ミハリ「ちょっ、うおいっ!?」
魔剣士「動くな…、手足が取れるぜ!」
連続的に縮地。ミハリの腕を弾き飛ばし、テイルを抱え、一瞬のうちに距離を置き、そっとテイルを離した。
魔剣士「……テイル、怪我はねぇな」
テイル「…」
魔剣士「返事くらいしろよ……」
白姫「テイルさん…!」
テイル「…っ」
俯いたまま、返事はない。どうしたものだと困る表情を浮かべる二人。
しかし、これが油断。凍結を受けて動けないものと思っていたミハリが、凍結した肉を自ら切り裂いて、襲い掛かってきたのだ。
ミハリ「誇り高き盗賊団の俺に、こんなことをしやがってぇぇえっ!!」
魔剣士「何っ!?」
反応が遅れ、迎撃が間に合わない。だが、ミハリの傷ついた足は上手く動かず、魔剣士ではなくテイルの頭めがけて短刀が振り下ろされる――。
テイル(……えっ?)
魔剣士(やべっ……!)
白姫(テイル…さ……!)
ミハリを除く全員の眼には、辺りがスロ―モーションのように流れる。
そして、短刀はテイルへと突き刺さる――…と思った寸前。魔剣士は身を挺し、彼女の前に立ちふさがったのだった。
"……グシュッ…!"
酷く鈍い、妙な差し込んだ音がしたかと思うと、"魔剣士の右肩に刺さった"ソレは、肩筋を突き抜け、切り裂くかたちとなって鮮血が宙へと飛んだ。
魔剣士「あいっ…でぇぇええっ!!!」
白姫「ッ!!」
テイル「……ッ!」
筋を切り裂かれ、激痛が走る。ブチブチと繊維が切れる音が断続的に鳴り、血量はかなりのもので、庇ったテイルへと降り注ぎながら床一面を赤く染めていく。
魔剣士「くっそが……!」
魔剣士(……ヤベェ、右腕はダメか!?)
動かない右腕を認識し、即座に左腕をミハリに向けると、炎属性を蓄積。彼が再び短刀を構える前に、弾丸のような火炎魔法は額を捉え、顔面の爆発とともに吹き飛ばす。壁に全身を打ち付けられたミハリは有無も言わずに倒れ込んだのだった。
魔剣士「……ふぅ…!」
白姫「ま、魔剣士!」
魔剣士「触んないでくれ…!いってぇんだよ…くっそ!」
白姫「ご、ごめん!すぐに治すから!」
光魔法を唱え、魔剣士へ治癒魔法を施す。引いていく痛みに、一瞬でも「クソ」と怒鳴ってしまったことを反省し、「ゴメンな」と魔剣士は白姫の頭を優しく撫でた。
……一方、魔剣士の血に浴びたテイル。壁伝いにずりずりと腰を落として「どうして、庇ったの…」、魔剣士を見上げて小さく呟いた。
魔剣士「よーっ、怪我はないようで何よりだな。俺の血でまっかっかみてーだが、大丈夫か?」
テイル「……私を庇っても、良い事なんてないのに…」
魔剣士「んなこと言われても、勝手に動いちまったんだからしょうがねぇなぁ……。い、いてて……!」
テイル「…っ」
魔剣士「ま、一つ言うなら仲間ってことだ。お前は"独り"じゃねぇってことだよ」
テイル「ッ!」
魔剣士「……たかが数日、されど数日。他人だなんて寂しいこと言うなよ。喧嘩ばっかだったが命をかけて大地を歩んだ仲間同士…だろ?」
テイル「仲間…。独りじゃない……?」
魔剣士「勝手な解釈かもしれねえけど、俺はお前の話に心打たれて信頼はしてる。お前はもう、俺のことは信用できないか?」
テイル「……それは」
魔剣士「お前は独りじゃない。俺がそう思っちまったんだから、また危なかったらこうして意地でも守ってやるぜ」
テイル「ま、魔剣士……」
魔剣士「……ったく、目ぇ閉じろ」
テイル「ん……」
魔剣士は自分の薄着の汚れていない部分で、自分の血に染まったテイルの顔をそっと拭いた。彼女は抗う様子もなく、素直に応じる。
魔剣士「……急に話をして悪かった。まさか、そこまで傷つけるものだとは思わなかったんだ」
テイル「…」
魔剣士「だけど、また知った風なことと言われるかもしれないが、国に立つってのは辛いこともたくさんあるだろうし、こんな行動ばかりじゃダメだと思うんだ」
テイル「…」
魔剣士「何かあったらいつでも助けてやるからよ。仲間なんだから。独りじゃねぇ。……ほら、手を出してくれ」
片手を伸ばし、テイルを立ち上がらせるようフォローを行う。
テイル「…」
表情を変えることはなかったが、テイルはその手を強く握り、一気に立ち上がった。
そして、魔剣士とすれ違いざまに耳元で「ありがとう」と囁いた。
魔剣士「おっ……」
テイルの素直さに、魔剣士は思わずドキリとしたが、彼女は既に白姫の傍で別の話を始めていた。
テイル「……白姫ちゃん、取り乱しちゃって迷惑ばっかかけて…ごめんね」
白姫「そんな、全然気にしないで!」
テイル「助けてくれて有難う。本当に、私だけじゃ、こんな場所までこれなかったのに。連れてきてくれたのは白姫ちゃんたちだったのに、今は独りだなんて…仲間じゃないようなこと言って……」
白姫「ううん、そうなっちゃうのも仕方ないと思うから……。本当に、気にしないで♪」
テイル「白姫ちゃん…」
白姫「うんっ」
テイル「……一度、敵だって思っても、やっぱり家族なんだなって思う。本当に、本当に…辛くなった…から…」
白姫「…っ!」
セントラルの王、白姫の父親。それが脳裏によぎる。
白姫(……もしかしたら、私も敵だって思っていても、お父様って言う繋がりからきっとこうなっちゃったのかな)
白姫(でも、覚悟が必要だって気づかしてくれた。テイルさん……)
テイルの姿を見て、申し訳なさでいっぱいになりつつも、肉親を敵として見たとしても失った時の悲しみの大きさが、どれ程に値するかしっかりと胸に刻む白姫。また一つ、彼女は成長していく。
魔剣士「……とりあえず、俺らはオッサンのところへ急がないとな」
テイル「あ、うん……」
白姫「うん」
魔剣士「そうだ、テイル。アサシンの奴、闇魔法の使い手だったらしいんだよ」
テイル「…や、闇魔法!?」
魔剣士「お前の兄が残してくれた、この国を救うための秘密だよ。それさえ聞ければ、俺にもどうにかできる気がしてきたぜ」
テイル「に、兄さんが…国のために……」
魔剣士「ってなわけで、さっさと向かうぜ。オッサンがマジに危ねぇ状況くせぇからな」
テイル「……分かった」
白姫「うん、急ごう!」
三人は、アサシンのいる王室へと駆け出そうとした…の、だが。
"…トクン"
魔剣士「……うっ…?」
何か、違和感が襲う。
"…トクン"
魔剣士「……何だ」
白姫「…魔剣士?」
テイル「どうしたの?」
"トクン…、トクン……"
魔剣士「…」
"トクッ……"
心音が妙に高くなったような感覚。
魔剣士「……気のせいか」
白姫「ど、どうしたの?」
魔剣士「いや、何でもない。落ち着いたみたいだ」
テイル「何したのよ」
魔剣士「な、何でもねぇよ……」
テイル「…そう?」
魔剣士「と、とりあえず行くぞ!」
魔剣士は先頭を切って走り出す。
慌てて後ろを白姫、テイルがそれぞれ着いて行くが、王室へ辿りついて直ぐ、この違和感の正体を知ることになるのだった……。
…………
……
…
―――そして、王城、東の塔の廊下。
テイル「離して…よっ……!ふざける…なっ……!」
ミハリ「黒髪の嬢ちゃんが狙いだったが、お前で我慢してやるっつーんだから大人しくしろっての……!」
地下牢から階段を上がった最初の廊下で、先にアサシンのもとに向かっていたテイルは盗賊団の側近の一人"ミハリ"に捕まっていた。
ミハリ「そんな刺激的な格好で歩いててさぁ……、気になるじゃん…!」
テイル「ふざけ…!好きでこんな恰好してたんじゃない…!」
押し倒されてはいたが、身体に触れられないギリギリのラインで押し合いを続ける。
テイル「このッ…!」
膝を立てて蹴りを飛ばそうとするが、片腕でそれを止められ、薄着のまま足を無理やり拡げられる。
テイル「やっ…!」
ミハリ「おいおい、乗り気になってきたんですかァ!」
テイル「そんなんじゃ…!いい加減に……!!このォッ!!」
"パンッ!"
何とか振りほどいた片腕で、ミハリの頬を強く叩く。
すると、ミハリは「いてぇじゃねぇか、クソ女が…!殺すぞ!」怒りをあらわにし、より強く迫った。
テイル「あぐっ…!」
ミハリ「首を絞めると、締まるって話は本当なのか試してもいいなァ…!なァ……!!」
テイル「こ、の……!」
男と女、どうしても力の押し合いでは分が悪い。もう力が持たないと諦めかけた時、ミハリの後頭部に鈍い痛みが走った。
ミハリ「がぐっ!?」
彼の背後、地下牢から脱出した魔剣士が剣を構えて立っていた。
魔剣士「……残念。もっと一気にやっちまえばよかったのにな」
側面を振り下ろして打ち込んだ打撃に、ミハリはその衝撃で舌を噛み、目を回したのだった。
魔剣士「大丈夫かよ、何してんだこんなところで……」
白姫「テイルさん、大丈夫!?」
テイル「……ま、魔剣士!」
魔剣士の姿を見て、助かったとホッとするテイルだったが、その心に「あっ」と声を上げる。
テイル「あっ…!な、何よ!別に助けてなんて頼んでないじゃない!」
魔剣士「……素直に礼を言えよテメェ」
テイル「今から凄い技で吹き飛ばす予定だったの!」
魔剣士「……あっそ」
テイル「信じてないわね、その目」
魔剣士「……あっそ」
テイル「う、うぅ~……!」
緊迫している状況だというのに、こんな時でもこの二人は……。それを見た白姫、ふと笑いがこみ上げた。
白姫「あ…あははっ、もう、二人ってば!」
魔剣士「あ?」
テイル「うん?」
白姫「なんか二人って似てるなって…。魔剣士も同じ状況だったら、同じこと言いそうだなーって…!」
魔剣士「むっ……」
テイル「あっ……」
白姫「素直になることも大事だと思うよ!」
魔剣士「あー…」
テイル「うー…」
その言葉に、反論できない魔剣士。そうかもしれないと納得するテイル。ばつが悪そうに見つめ合う二人。
魔剣士「……ま、まぁ確かにそういうかもしれんが…」
テイル「ち、ちょっとだけは…助かったってお礼言ってあげてもいいかも……」
魔剣士「…おう」
テイル「あ、ありがと……」
魔剣士「どういたし…まして……?」
何とか素直になった二人に、白姫はまた「ふふっ」と微笑んだ。
どこかゆったりとした空気に包まれたが、魔剣士と白姫にとって、次に辛い現実を教えなければいけないのは心苦しかった。
魔剣士「……な、なぁテイル」
テイル「何よ。お礼ならもう言ったでしょ」
魔剣士「そうじゃねえよ!違うんだ、お前に話があるんだよ」
テイル「……お話?」
魔剣士「そうだ」
テイル「……こ、告白ならノーサンキューよ。助けたくらいで愛に落ちるなんて、そんな安い女じゃないから」
魔剣士「ちげぇよ!?そうじゃねえっての!」
テイル「フン、まぁ良いわ。どのみち話を聞く時間はないし、早くアサシンのもとに急ぐことが大事でしょ?」
魔剣士「そりゃそうなんだが、それより話を聞け」
テイル「時間がないのよ!猛竜騎士だってその部屋にいるんでしょ?」
魔剣士「そうかもしれねぇが、まずこっち向けっての!」
テイルの肩を掴み、無理やり目線を合わせる魔剣士。
テイル「……離してよ」
魔剣士「話があるんだっつってんだろ…!」
どうにも、テイルは話を聞こうとしない。こちらとて、それを伝えるのにどう言えばいいのか苦しんでいるというのに。
テイル「奥義、放つわよ」
魔剣士「それでも伝えることがあるんだよ」
テイル「……嫌」
魔剣士「話を聞け、頼むから……」
テイル「いいのよ…。聞く話なんかないから……」
魔剣士「いや、俺があるんだっての!」
目を逸らし、本当に嫌悪感のある表情を浮かべるテイル。どうしても話を聞く気はないらしい。
魔剣士は訴え、それを拒否するやり取りを数回続けた頃、白姫はようやく"気づく"。
白姫(どうしてテイルさん、話を聞くのを拒んで……)
白姫(…………もしかして…っ!)
考えてみれば簡単なことだった。
テイル「……分かってるのよ!」
魔剣士「うぉっ…!?」
テイル「どうせビショップ…、兄さんのことでしょ!!」
魔剣士「は……!」
白姫(やっぱり……ッ)
兄とともに王城で長い時間を過ごしてきたテイルは、地下牢にいた彼がどうなる運命だったのか、よく分かっていたのだ。
魔剣士「お前、知ってるの…か……」
テイル「あの地下牢の奥は、拷問牢、死刑牢…。人を蝕む魔力のカビで、二日と持たないから……!」
魔剣士「…!」
テイル「兄さんが死んだってことでしょ!分かってるから、もう…これ以上は……言わせないでよ……」
全て、知っていた。
もちろん、彼が妹テイルに想った気持ちのことも。
テイル「あ、あの姿を見てすぐに分かった!もう長くないんだって、兄さんが過ちを認めて、私に頑張れって言ってくれたことも!」
魔剣士「テイル…!」
テイル「だ、だからそこにいたくなんかなかった!見たくなかったの!」
魔剣士「落ち着け…!」
テイル「何よ、弱いって馬鹿にすればいいじゃない!いつもみたく、ほら!兄さんが死んだって言わせたかったんでしょ!!」
彼女にとって、触れてはいけない傷だったのか。淀みという気持ちが詰まった風船が、弾ける。
テイル「どうしろって言うのよ……!私、兄さんに酷いことをしたかもしれないけど、こんなことって……どうして……!」
テイル「全部、私が悪いんでしょ……。私が悪い…私が…………」
今、彼女にとって"家族"というべき存在は誰もいなくなった。この広い王城、彼女は、もう、独り。
そんなテイルを慰めたい。落ち着かせたい気持ちが襲う。だけど、知ったような口ぶりで、他人に話されるのは何よりも最悪に思うかもしれない。
魔剣士「……つっても、俺もバカ野郎だからよ。同じことばっかだけどよ…!」
居た堪れない気持ちに、つい魔剣士はテイルを抱き寄せた。
それが正解だったのか分からないが、とにかく自分の気持ちを彼女にぶつける。
魔剣士「お前がそんなんでどうするんだ!何度も言わせるんじゃねぇよっ!!」
テイル「離して…よ……!!」
魔剣士「国民を率いるんだろ!それでいいのか!」
テイル「もう、そんな言葉じゃ納得なんかできない!聞きたくなかった!分かってたけど、アンタなんかに言われたくなかったの!!」
魔剣士「それは悪いと思ってる!だけど、俺がクローツの最期を看取った…、お前だって家族としてそれを知らなくちゃダメだろうが!」
テイル「そんなの分かってる!!分かってるけど、分かってる…けど……!」
魔剣士「先の想いはどこにいったんだよ!敵だと思って、だけど家族で、複雑なのはわかるけど受けとめることも大事だろうが!」
テイル「うるさい…、煩い、煩いッ……!」
届かない声。触れてはいけない繊細な心だった。
テイル自身、こんなことは言いたくなかっただろう。しかし、魔剣士の勢いに負けて"聞きたくなかった言葉"に、溢れてしまった想いでもう、止まらない。混乱、興奮は酷く、彼女を壊す。壊れていく。
テイル「分かったように言わないで…!言うな…言われたくない……!他人にそんな分かったようなこと……!」
魔剣士「仲間だろうがよ…!」
テイル「会って少し戦ったくらいで、分かったようなことを言っても嬉しくも何ともない!!」
魔剣士「こ、この分からず屋が……!」
テイル「もう、いい加減に離してぇっ!!」
"旋風ッ!"
突如、奥義を繰り出すテイルに、油断していた魔剣士は吹き飛ばされる。
魔剣士「ぬあっ!?」
勢いで、壁に強く打ち付けられる魔剣士。白姫は「魔剣士!」と近づいたが、その時、先に気絶させていた盗賊団"ミハリ"が目を覚まし、罵声を叫びながらテイルに襲い掛かった。
ミハリ「う、動くなコラァ!」
テイル「きゃあっ!?」
白姫「…テイルさん!?」
魔剣士「テイル!」
忍ばせていた短刀を首に突きつけ、テイルを人質として「動くんじゃない!」と幾度か繰り返す。
魔剣士「クソッ…!何してんだこの野郎!」
ミハリ「う、うるせぇ!人の頬ぶったたきやがったり、ぶん殴ったりしやがって!」
魔剣士「人のこと言えるかテメェ…。つーか、そんなことしてアサシンに殺されるんじゃねぇのか」
ミハリ「……ク、クハハッ!アサシン様は欲に素直な人間が好きなんだよ!俺は欲が強くて、弱くても本隊入りだ!そして俺の今の欲は、お前を殺してこの姫二人と楽しく過ごすことでね…!」
魔剣士「な、何だと……!テメェ、もう一度言ってみろ……!」
"白姫"の名に、眼つきを変える。
ミハリ「おっと、怖い眼を…!だが、指一本動くんじゃねぇ!お前が変な魔法を使う事は知ってんだよ!」
魔剣士「ッ!」
ミハリ「ククッ、俺が優勢だな……」
魔剣士「……クソが。テイル、お前だったらそいつ吹き飛ばせるだろ!旋風でも何でも浴びせろよ!」
問いかける魔剣士。だが、テイルは反応しない。
テイル「もう、色々ありすぎだよ…。疲れた…。どうでも、良い…かなって……」
魔剣士(そ、そんなに兄の死を伝え、認識させたことが…ダメだったのか……!?)
こんな相手一人、普段なら倒すのは訳ないだろうが、人質を取られている上に本人に助かる意志がない。闇魔法の動きも知られ、下手に動ける状況じゃないことに苛立ちを覚える。
ミハリ「くふっ…!ふふふっ……!」
魔剣士(一撃でぶっ飛ばせる相手だっつーのによ……!)
テイル「…」
白姫(……魔剣士が動けないんだったら)
それを見ていた白姫は、この状況を打破すべく、一つの案を思いつく。
白姫「だったら、私が!」
何を思ったか、何故か白姫がテイルのもとへと"一歩"近づいた。
魔剣士「ちょっ!?」
テイル「白姫ちゃん!?」
ミハリ「は…?」
想定外の出来事に三人が驚き、テイルも声を上げる。
魔剣士(……っと、好機じゃねぇか!)
気を取られたミハリに気づいた魔剣士は、無詠唱の氷結魔法を展開。
壁から伸びた氷によってミハリの背中側から片腕と足を瞬間的に凍結させた。
ミハリ「ちょっ、うおいっ!?」
魔剣士「動くな…、手足が取れるぜ!」
連続的に縮地。ミハリの腕を弾き飛ばし、テイルを抱え、一瞬のうちに距離を置き、そっとテイルを離した。
魔剣士「……テイル、怪我はねぇな」
テイル「…」
魔剣士「返事くらいしろよ……」
白姫「テイルさん…!」
テイル「…っ」
俯いたまま、返事はない。どうしたものだと困る表情を浮かべる二人。
しかし、これが油断。凍結を受けて動けないものと思っていたミハリが、凍結した肉を自ら切り裂いて、襲い掛かってきたのだ。
ミハリ「誇り高き盗賊団の俺に、こんなことをしやがってぇぇえっ!!」
魔剣士「何っ!?」
反応が遅れ、迎撃が間に合わない。だが、ミハリの傷ついた足は上手く動かず、魔剣士ではなくテイルの頭めがけて短刀が振り下ろされる――。
テイル(……えっ?)
魔剣士(やべっ……!)
白姫(テイル…さ……!)
ミハリを除く全員の眼には、辺りがスロ―モーションのように流れる。
そして、短刀はテイルへと突き刺さる――…と思った寸前。魔剣士は身を挺し、彼女の前に立ちふさがったのだった。
"……グシュッ…!"
酷く鈍い、妙な差し込んだ音がしたかと思うと、"魔剣士の右肩に刺さった"ソレは、肩筋を突き抜け、切り裂くかたちとなって鮮血が宙へと飛んだ。
魔剣士「あいっ…でぇぇええっ!!!」
白姫「ッ!!」
テイル「……ッ!」
筋を切り裂かれ、激痛が走る。ブチブチと繊維が切れる音が断続的に鳴り、血量はかなりのもので、庇ったテイルへと降り注ぎながら床一面を赤く染めていく。
魔剣士「くっそが……!」
魔剣士(……ヤベェ、右腕はダメか!?)
動かない右腕を認識し、即座に左腕をミハリに向けると、炎属性を蓄積。彼が再び短刀を構える前に、弾丸のような火炎魔法は額を捉え、顔面の爆発とともに吹き飛ばす。壁に全身を打ち付けられたミハリは有無も言わずに倒れ込んだのだった。
魔剣士「……ふぅ…!」
白姫「ま、魔剣士!」
魔剣士「触んないでくれ…!いってぇんだよ…くっそ!」
白姫「ご、ごめん!すぐに治すから!」
光魔法を唱え、魔剣士へ治癒魔法を施す。引いていく痛みに、一瞬でも「クソ」と怒鳴ってしまったことを反省し、「ゴメンな」と魔剣士は白姫の頭を優しく撫でた。
……一方、魔剣士の血に浴びたテイル。壁伝いにずりずりと腰を落として「どうして、庇ったの…」、魔剣士を見上げて小さく呟いた。
魔剣士「よーっ、怪我はないようで何よりだな。俺の血でまっかっかみてーだが、大丈夫か?」
テイル「……私を庇っても、良い事なんてないのに…」
魔剣士「んなこと言われても、勝手に動いちまったんだからしょうがねぇなぁ……。い、いてて……!」
テイル「…っ」
魔剣士「ま、一つ言うなら仲間ってことだ。お前は"独り"じゃねぇってことだよ」
テイル「ッ!」
魔剣士「……たかが数日、されど数日。他人だなんて寂しいこと言うなよ。喧嘩ばっかだったが命をかけて大地を歩んだ仲間同士…だろ?」
テイル「仲間…。独りじゃない……?」
魔剣士「勝手な解釈かもしれねえけど、俺はお前の話に心打たれて信頼はしてる。お前はもう、俺のことは信用できないか?」
テイル「……それは」
魔剣士「お前は独りじゃない。俺がそう思っちまったんだから、また危なかったらこうして意地でも守ってやるぜ」
テイル「ま、魔剣士……」
魔剣士「……ったく、目ぇ閉じろ」
テイル「ん……」
魔剣士は自分の薄着の汚れていない部分で、自分の血に染まったテイルの顔をそっと拭いた。彼女は抗う様子もなく、素直に応じる。
魔剣士「……急に話をして悪かった。まさか、そこまで傷つけるものだとは思わなかったんだ」
テイル「…」
魔剣士「だけど、また知った風なことと言われるかもしれないが、国に立つってのは辛いこともたくさんあるだろうし、こんな行動ばかりじゃダメだと思うんだ」
テイル「…」
魔剣士「何かあったらいつでも助けてやるからよ。仲間なんだから。独りじゃねぇ。……ほら、手を出してくれ」
片手を伸ばし、テイルを立ち上がらせるようフォローを行う。
テイル「…」
表情を変えることはなかったが、テイルはその手を強く握り、一気に立ち上がった。
そして、魔剣士とすれ違いざまに耳元で「ありがとう」と囁いた。
魔剣士「おっ……」
テイルの素直さに、魔剣士は思わずドキリとしたが、彼女は既に白姫の傍で別の話を始めていた。
テイル「……白姫ちゃん、取り乱しちゃって迷惑ばっかかけて…ごめんね」
白姫「そんな、全然気にしないで!」
テイル「助けてくれて有難う。本当に、私だけじゃ、こんな場所までこれなかったのに。連れてきてくれたのは白姫ちゃんたちだったのに、今は独りだなんて…仲間じゃないようなこと言って……」
白姫「ううん、そうなっちゃうのも仕方ないと思うから……。本当に、気にしないで♪」
テイル「白姫ちゃん…」
白姫「うんっ」
テイル「……一度、敵だって思っても、やっぱり家族なんだなって思う。本当に、本当に…辛くなった…から…」
白姫「…っ!」
セントラルの王、白姫の父親。それが脳裏によぎる。
白姫(……もしかしたら、私も敵だって思っていても、お父様って言う繋がりからきっとこうなっちゃったのかな)
白姫(でも、覚悟が必要だって気づかしてくれた。テイルさん……)
テイルの姿を見て、申し訳なさでいっぱいになりつつも、肉親を敵として見たとしても失った時の悲しみの大きさが、どれ程に値するかしっかりと胸に刻む白姫。また一つ、彼女は成長していく。
魔剣士「……とりあえず、俺らはオッサンのところへ急がないとな」
テイル「あ、うん……」
白姫「うん」
魔剣士「そうだ、テイル。アサシンの奴、闇魔法の使い手だったらしいんだよ」
テイル「…や、闇魔法!?」
魔剣士「お前の兄が残してくれた、この国を救うための秘密だよ。それさえ聞ければ、俺にもどうにかできる気がしてきたぜ」
テイル「に、兄さんが…国のために……」
魔剣士「ってなわけで、さっさと向かうぜ。オッサンがマジに危ねぇ状況くせぇからな」
テイル「……分かった」
白姫「うん、急ごう!」
三人は、アサシンのいる王室へと駆け出そうとした…の、だが。
"…トクン"
魔剣士「……うっ…?」
何か、違和感が襲う。
"…トクン"
魔剣士「……何だ」
白姫「…魔剣士?」
テイル「どうしたの?」
"トクン…、トクン……"
魔剣士「…」
"トクッ……"
心音が妙に高くなったような感覚。
魔剣士「……気のせいか」
白姫「ど、どうしたの?」
魔剣士「いや、何でもない。落ち着いたみたいだ」
テイル「何したのよ」
魔剣士「な、何でもねぇよ……」
テイル「…そう?」
魔剣士「と、とりあえず行くぞ!」
魔剣士は先頭を切って走り出す。
慌てて後ろを白姫、テイルがそれぞれ着いて行くが、王室へ辿りついて直ぐ、この違和感の正体を知ることになるのだった……。
…………
……
…
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