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がっこうにいこう!
85.5話「姉妹」
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春の暖かい風に頬をくすぐられ、ふと目が覚めた。
風に撫でられた草木が揺れ、ざわざわと音を立てる。
此処は学院の敷地内にある空き地で、皆がよく訓練などに使っている場所だ。
ぼーっとする頭に、聞き覚えのある声が響く。
「・・・・・・リーフおねえちゃんが目を覚ましたよ、アリス。」
私を心配そうに覗き込む顔は、声と同じフィーのものだ。
頭にある小さな枕も、どうやら彼女の膝らしい。
「大丈夫、リーフ?」
もう一つ小さな顔が覗き込んでくる。
フィーの妹のアリスだ。
その顔を見て、この状況になるに至った経緯を思い出し、嘆息する。
「ごめんなさい。私、また・・・・・・。」
こうして溜め息を吐く自分も情けなく思えてくる。
「・・・・・・大丈夫だよ、リーフおねえちゃん。」
「でも、貴女たちに迷惑をかけ通しだわ・・・・・・。」
「気にしないでよ、私のお姉ちゃんもそんな感じだったしさ。」
「・・・・・・ばかアリス。」
「ふふっ、仲が良いのね、二人とも・・・・・・っ・・・・・・!!」
身体を起き上がらせると、ズキズキと重い痛みが頭に走った。
しかし、上手く力が入らず倒れそうになったところをフィーに抱き留められる。
「・・・・・・リ、リーフおねえちゃん!?」
「大丈夫・・・・・・。少し、力が入らなかっただけだから。」
「もう少しで陽も落ちるし、今日は終わりにして横になってなよ。」
「じゃあ、あと少し・・・・・・だけ。」
フィーが力の入らない私を手伝って、もう一度膝の上に寝かせてくれた。
「ねぇ、アリス。フィーの時はどれくらい時間が掛かったのかしら。」
「うーん、どれくらいかは覚えてないなぁ・・・・・・。気付いたら魔力が暴走しなくなってた感じだし。」
「そう・・・・・・。」
魔力の暴走。それが私の倒れた原因だ。
魔力が増えたのは良かったが、それをまだ使いこなせずにいる。
その為の練習で制御が出来ずに、また魔力の暴走を引き起こしてしまったのだ。
「そんなに気落ちせずにさ、焦らず気楽にやろうよ。」
「そうは言うけれど、どうして良いのか分からないもの・・・・・・。学校だってもうすぐ始まるのに。」
「焦っても余計に失敗するだけだよ?」
「そう、だけれど・・・・・・。ねぇ、フラムはどうなの? あの子も以前魔力を暴走させたのでしょう?」
「そういえばそうだったけど・・・・・・、特に問題は無かったかな。火の魔法を使うのが得意だから制御もすぐに出来ちゃうのかも。」
「はぁ・・・・・・私、やっぱり向いていないのかしら。」
「そんな事はないと思うけど・・・・・・。うーん、もしかしたら練習方法が不味いのかも?」
「練習方法?」
「お姉ちゃんもフラムも、初級魔法ばかり使っていたからね。リーフは中級魔法とか、上級魔法を使ってるでしょ?」
「え、えぇ・・・・・・だって、せっかく魔力が増えたのだし。」
「まずは、いつも使っている氷の矢の魔法で練習すれば良いんじゃないかな。」
「・・・・・・それで、良いのかしら?」
「私が思うに、リーフはまだ蛇口の開け方が上手くないんだよ。」
「えっと・・・・・・それはどういう事?」
「今まではずっと威力を抑えて魔法を使ってきたでしょ?」
「えぇ、そうしないとすぐに息切れしてしまっていたもの。」
威力を抑えて魔法を使えば、消費される魔力も抑えられて魔法が使える回数は増える。
それは魔法を使う者にとっては当たり前の知識であるし、必要最低限の力で魔法を発動させるのは必須の技術だ。
例えば、焚火を熾すだけなら小さな火種だけで十分で、森を焼き尽くすような火炎魔法は必要ない。
しかし、魔術科では当然ながら魔法の威力も評価対象なのだ。
そしてそれは大きく私の成績に響いている。
「そっちは完璧なんだけど、その逆・・・・・・つまり威力を上げるのは全くの初心者ってこと。」
「そう、ね。今までそんな練習は出来なかったし・・・・・・。」
「だからまずは初級魔法で威力を上げる練習をすれば良いんじゃないかな。いきなり上級魔法じゃなくてさ。」
そう言われると、確かに私は焦っていたのかも知れない。
魔術科ではもう初級魔法の授業は終わっているため、中級魔法や上級魔法の練習に時間を費やしていたのだ。
「・・・・・・分かったわ。次からは貴女の言う通りにやってみる。」
「うん、明日も同じ時間で良いかな?」
「でも、ずっと付き合わせてしまっているし・・・・・・。」
春休み前も、春休みに入ってからも、ほぼ連日。
忙しいだろうに、時間が空けばこうして付き添ってくれている。
「大丈夫だよ。その代わり、絶対に私の側以外で練習しないで。でないと”妹”が心配して泣いちゃうよ。ね、お姉ちゃん?」
フィーが心配そうにじっと私の目を見つめる。
「わ、分かってるわよ! 大丈夫よ、フィー。ちゃんと約束は守るから、心配しないで?」
「・・・・・・うん。」
「あ、あの・・・・・・アリス。」
「ん? どうしたの?」
「その・・・・・・あ、ありがとう。」
「いいよ、気にしないで。」
「フィーも、いつも付き合ってくれてありがとう。」
「・・・・・・う、ううん。リーフおねえちゃんのためだし・・・・・・。」
「さ、さて! そろそろ帰りましょう。夕食の支度もしないといけないものね。」
「身体の方はもう平気なの?」
「えぇ、少しふらつくけれど、これくらいなら問題ないわ。それに、今日の当番は私なんだし、これ以上休んでいたら夕食が遅れてしまうわよ?」
その言葉に反応し、フィーの小さなお腹が催促するようにくぅーっと鳴った。
「ぁぅ・・・・・・ご、ごめんなさい。」
顔を赤くして俯いてしまったフィーを抱きしめ、頭を撫でる。
「私もお腹が空いてしまったし、急いで戻りましょうか。でも買い物も済ませた方が良いかしら?」
「その方が良いね。食材も足りないだろうし。」
「きっと皆もお腹を空かせているものね。それじゃあ行きましょう、フィー。」
フィーの手を取り、街の方へ向かって足を進める。
「・・・・・・アリスも。」
フィーが空いている手でアリスの手を取った。
長さの違う影を眺めると、彼女たちと本当の姉妹になれたような気がした。
風に撫でられた草木が揺れ、ざわざわと音を立てる。
此処は学院の敷地内にある空き地で、皆がよく訓練などに使っている場所だ。
ぼーっとする頭に、聞き覚えのある声が響く。
「・・・・・・リーフおねえちゃんが目を覚ましたよ、アリス。」
私を心配そうに覗き込む顔は、声と同じフィーのものだ。
頭にある小さな枕も、どうやら彼女の膝らしい。
「大丈夫、リーフ?」
もう一つ小さな顔が覗き込んでくる。
フィーの妹のアリスだ。
その顔を見て、この状況になるに至った経緯を思い出し、嘆息する。
「ごめんなさい。私、また・・・・・・。」
こうして溜め息を吐く自分も情けなく思えてくる。
「・・・・・・大丈夫だよ、リーフおねえちゃん。」
「でも、貴女たちに迷惑をかけ通しだわ・・・・・・。」
「気にしないでよ、私のお姉ちゃんもそんな感じだったしさ。」
「・・・・・・ばかアリス。」
「ふふっ、仲が良いのね、二人とも・・・・・・っ・・・・・・!!」
身体を起き上がらせると、ズキズキと重い痛みが頭に走った。
しかし、上手く力が入らず倒れそうになったところをフィーに抱き留められる。
「・・・・・・リ、リーフおねえちゃん!?」
「大丈夫・・・・・・。少し、力が入らなかっただけだから。」
「もう少しで陽も落ちるし、今日は終わりにして横になってなよ。」
「じゃあ、あと少し・・・・・・だけ。」
フィーが力の入らない私を手伝って、もう一度膝の上に寝かせてくれた。
「ねぇ、アリス。フィーの時はどれくらい時間が掛かったのかしら。」
「うーん、どれくらいかは覚えてないなぁ・・・・・・。気付いたら魔力が暴走しなくなってた感じだし。」
「そう・・・・・・。」
魔力の暴走。それが私の倒れた原因だ。
魔力が増えたのは良かったが、それをまだ使いこなせずにいる。
その為の練習で制御が出来ずに、また魔力の暴走を引き起こしてしまったのだ。
「そんなに気落ちせずにさ、焦らず気楽にやろうよ。」
「そうは言うけれど、どうして良いのか分からないもの・・・・・・。学校だってもうすぐ始まるのに。」
「焦っても余計に失敗するだけだよ?」
「そう、だけれど・・・・・・。ねぇ、フラムはどうなの? あの子も以前魔力を暴走させたのでしょう?」
「そういえばそうだったけど・・・・・・、特に問題は無かったかな。火の魔法を使うのが得意だから制御もすぐに出来ちゃうのかも。」
「はぁ・・・・・・私、やっぱり向いていないのかしら。」
「そんな事はないと思うけど・・・・・・。うーん、もしかしたら練習方法が不味いのかも?」
「練習方法?」
「お姉ちゃんもフラムも、初級魔法ばかり使っていたからね。リーフは中級魔法とか、上級魔法を使ってるでしょ?」
「え、えぇ・・・・・・だって、せっかく魔力が増えたのだし。」
「まずは、いつも使っている氷の矢の魔法で練習すれば良いんじゃないかな。」
「・・・・・・それで、良いのかしら?」
「私が思うに、リーフはまだ蛇口の開け方が上手くないんだよ。」
「えっと・・・・・・それはどういう事?」
「今まではずっと威力を抑えて魔法を使ってきたでしょ?」
「えぇ、そうしないとすぐに息切れしてしまっていたもの。」
威力を抑えて魔法を使えば、消費される魔力も抑えられて魔法が使える回数は増える。
それは魔法を使う者にとっては当たり前の知識であるし、必要最低限の力で魔法を発動させるのは必須の技術だ。
例えば、焚火を熾すだけなら小さな火種だけで十分で、森を焼き尽くすような火炎魔法は必要ない。
しかし、魔術科では当然ながら魔法の威力も評価対象なのだ。
そしてそれは大きく私の成績に響いている。
「そっちは完璧なんだけど、その逆・・・・・・つまり威力を上げるのは全くの初心者ってこと。」
「そう、ね。今までそんな練習は出来なかったし・・・・・・。」
「だからまずは初級魔法で威力を上げる練習をすれば良いんじゃないかな。いきなり上級魔法じゃなくてさ。」
そう言われると、確かに私は焦っていたのかも知れない。
魔術科ではもう初級魔法の授業は終わっているため、中級魔法や上級魔法の練習に時間を費やしていたのだ。
「・・・・・・分かったわ。次からは貴女の言う通りにやってみる。」
「うん、明日も同じ時間で良いかな?」
「でも、ずっと付き合わせてしまっているし・・・・・・。」
春休み前も、春休みに入ってからも、ほぼ連日。
忙しいだろうに、時間が空けばこうして付き添ってくれている。
「大丈夫だよ。その代わり、絶対に私の側以外で練習しないで。でないと”妹”が心配して泣いちゃうよ。ね、お姉ちゃん?」
フィーが心配そうにじっと私の目を見つめる。
「わ、分かってるわよ! 大丈夫よ、フィー。ちゃんと約束は守るから、心配しないで?」
「・・・・・・うん。」
「あ、あの・・・・・・アリス。」
「ん? どうしたの?」
「その・・・・・・あ、ありがとう。」
「いいよ、気にしないで。」
「フィーも、いつも付き合ってくれてありがとう。」
「・・・・・・う、ううん。リーフおねえちゃんのためだし・・・・・・。」
「さ、さて! そろそろ帰りましょう。夕食の支度もしないといけないものね。」
「身体の方はもう平気なの?」
「えぇ、少しふらつくけれど、これくらいなら問題ないわ。それに、今日の当番は私なんだし、これ以上休んでいたら夕食が遅れてしまうわよ?」
その言葉に反応し、フィーの小さなお腹が催促するようにくぅーっと鳴った。
「ぁぅ・・・・・・ご、ごめんなさい。」
顔を赤くして俯いてしまったフィーを抱きしめ、頭を撫でる。
「私もお腹が空いてしまったし、急いで戻りましょうか。でも買い物も済ませた方が良いかしら?」
「その方が良いね。食材も足りないだろうし。」
「きっと皆もお腹を空かせているものね。それじゃあ行きましょう、フィー。」
フィーの手を取り、街の方へ向かって足を進める。
「・・・・・・アリスも。」
フィーが空いている手でアリスの手を取った。
長さの違う影を眺めると、彼女たちと本当の姉妹になれたような気がした。
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