DTガール!

Kasyta

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がっこうにいこう!

160話「水着が無ければ」

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 溶岩の河に囲まれた部屋の中央に、丸い岩から六本の足が生えた魔物が佇んでいる。
 破裂岩虫ハレツイワムシという名の魔物で、バッタの様に発達した二本の後ろ足で跳躍し、体当たりで攻撃してくるという話だ。
 そしてその名の通り、ある程度ダメージを与えると破片を撒き散らしながら爆発するらしい。
 あまり相手にしたくないタイプの魔物である。

 ギリリ・・・・・・。
 弓がしなり、悲鳴を上げる。

 ――バヒュンッ!!

 豪快に放たれた矢は一直線に飛び、目標がよろめく程の衝撃で直撃したが、岩のような外皮を穿つ事が出来ず弾かれた。
 怒りを露わにした魔物がこちらを振り向く。

「・・・・・・当たったよ、リーフお姉ちゃん!」
「い、今は逃げるわよ、フィー!」

 リーフがフィーの手を取り、俺たちの待っていた通路の奥へと引き返してきた。
 身体能力的には逆だと思うのだが・・・・・・フィーは嬉しそうだし、まぁいいか。

 二人の後ろからは破裂岩虫がピョンピョンと跳ねながら迫ってくる。
 速くはないが跳躍力が高いため、移動能力も高い。
 リーフの脚力では追いつかれてしまいそうだが、通路に入った途端、魔物の動きが急速に鈍くなってくる。

 魔物の外皮が矢の当たった部分からパカッと裂け、中からマグマのような血がドロリと滴り落ちた。
 ピクピクと痙攣しながら懸命にもがくが、もはや虫の息。
 最後は動かなくなり、その身体は消滅した。

「ふぅ・・・・・・何とかなったわね。」
「しかし、通路に誘い込んだだけで倒せてしまうというのは・・・・・・いささか物足りぬな。」

「でも、ヒノカだってここの魔物にはあまりお近づきになりたくないでしょ。」
「それは・・・・・・そうなのだが。」

 この迷宮に現れるのは炎や火山を象徴した魔物ばかりで、大体が近づいただけで熱い。
 流石のヒノカも難儀しているようだ。

 ただ、熱さに適応していることの弊害か、それらの魔物は通路へ入ると温度差で異常をきたして急激に弱体化したり、酷いものは先ほどのように死んでしまうのである。
 そこで通路側から釣ろうという話になり、ついでに皆でリーフに弓の扱い方を教えて貰っている訳だ。

「とにかく、先へ急ぎましょう。今の魔物のおかげで暑くなってきたわ。」

 溶岩部屋との空気が遮断されているとはいえ、マグマみたいな血を流すような魔物を連れて来てしまえば、当然周囲の温度は上がってしまう。
 胸元をパタパタと仰ぐリーフだが、薄いボロ布は汗でじっとりと肌に貼りつき、効率は良くないように見える。
 他の皆も同様、何とか体温を下げようと悪戦苦闘している。

「そうだね・・・・・・早いとこ移動しよう。新しい通路ならまだマシだろうし。」

*****

「あった! 聖域の部屋だよ、アリス!」
「溶岩に囲まれた部屋ではないみたいね。ようやく一息つけそうだわ。」

 聖域の中に駆け込むと、皆が崩れ落ちる様に座り込んだ。
 色んな意味で疲れたからな・・・・・・。

「じゃ、早めに野営の準備を・・・・・・。」

 言いかけて止める。
 少し休憩したほうが良さそうだ。
 かくいう俺も暑さのせいでボーっとして頭が回らない。
 てか動きたくねえ。
 ・・・・・・って駄弁ってても仕方ないか。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・よし!
 疲れた身体に鞭を打って立ち上がり、荷車を端に避けるようキシドーに指示する。

「えー、もう準備するのぉ?」
「いや・・・・・・けど少し端に寄ってもらえる、みんなも。」

 続けて皆の持っている土の装備と荷車に載せていた予備の土を回収し、更には荷車まで解体して持ち込んだ全ての土を一つに集めた。

「ちょっと、何する気よ?」
「まぁ見てて。」

 ありったけの土を使い、広くて大きな箱を作った。
 そしてその中になみなみと水を注ぐ。

「水浴び・・・・・・するでしょ?」

*****

「わーーーい!」

 ざっぱーん!
 大泥棒三世も顔負けの脱ぎっぷりで着水するニーナ。
 他の元気な子たちも負けじと飛び込み、次々に水柱が上がる。

「ひゃぅ・・・・・・っ、つ、つめたい。」

 端に作った階段から足を少し浸して縮こまるフラム。

「じゃあ少しずつ身体にかけて慣らしていこう。ほら、こうやって。」

 フラムの隣にしゃがみ、水を掬ってぱしゃぱしゃと自分の身体にかけていく。

「う、うん・・・・・・ありがとう。・・・・・・ひゃっ・・・・・・ひぅっ!」

 俺に倣い水をかけ始めたが、その度に小さな悲鳴を上げるフラム。
 でも少し楽しそうだ。

「ね、ねぇ・・・・・・ちょっと!」

 リーフの声に後ろへ振り向く。

「どうしたの?」
「その・・・・・・ほ、本当に裸で入るの?」

「そりゃまぁ・・・・・・水着なんて持って来てないし。お風呂と同じと思えばいいんじゃない?」
「それは、そうだけれど・・・・・・。」

 先に飛び込んだ子たちは勿論、隣のフラムも裸になっている。

「フ、フラムは嫌ではないの?」

 リーフに言われ、フラムが頬を少し赤くして答えた。

「へ、平気・・・・・・ア、アリスも一緒、だから・・・・・・。」
「聞いた私が馬鹿だったわ・・・・・・。」

「そこまで深くないんだし、服着たまま入れば?」
「そ、そういう訳にもいかないわよ。」

 水浴びしたいという欲求と羞恥心がグラグラとせめぎ合う天秤が俺にも見えてきそうだ。
 まぁ、ポンポン脱ぎ散らかして飛び込むのも女の子としてどうかと思うが・・・・・・。

 ――バシャア!!

 その時、盛大な水飛沫がリーフを襲った。

「・・・・・・リーフお姉ちゃん、びしょびしょ。えへへ。」

 ポタポタと雫を滴らせながら、ワナワナと震えるリーフ。

「もう・・・・・・っ! 分かったわよ! 脱げば良いんでしょう、脱げば!!」

 脱ぎ捨てた。豪快に。

「こら! フィー!」

 しかし飛び込もうとした瞬間、リーフがピタリと足を止める。

「あれ・・・・・・どうしたの、リーフ?」

 身体を隠しながら、自身が脱ぎ散らかした服を畳み始めた。
 こんなところでも真面目だなぁ・・・・・・。
 そして周囲の惨状を見渡し、溜め息を漏らす。

「はぁ・・・・・・まったく、しょうがないんだから。」

 他の子が脱ぎ捨てた服を拾い集め、リーフが丁寧に畳んでいく。
 ちなみに俺とフラムのはちゃんと畳んで端に寄せてある。

「・・・・・・リーフお姉ちゃん、入らないの?」
「服を全部畳んでからね。フィーはそこで待っていて。・・・・・・お仕置きするんだから。」

「・・・・・・うん、待ってるね。」

 あの様子ならリーフも大丈夫そうだ。
 そう思っていると、いきなり隣で水飛沫が上がった。

「ちょっ・・・・・・フラム大丈夫!?」

 頭から落ちていたフラムを慌てて引き上げる。
 足でも滑らせたか。

「ぐずっ・・・・・・ア、アリスぅ~・・・・・・。」

 ・・・・・・まぁ、大きな問題は無いようだ。

「ぷっ・・・・・・フフッ・・・・・・じゃあ、私も入ろうかな。」

 そろそろ我慢できなくなっていた俺も、皆と同じように水の中へ飛び込んだ。
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