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BACK TO THE ・・・・・・
00029話「紳士とニセ紳士」
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引っ越しを終えた翌日。
俺とカレンは約束通り、商店街の裏にある古道具屋を訪ねていた。
「ようやっと来たか、お前たち!」
「来たか、じゃねえよ。こんな朝っぱらから呼びつけやがって。」
「話は後じゃ、とにかく出るぞ。」
いそいそと立ち上がった爺さんは、この間よりもちゃんとした服を身に着けている。
こうして見るとお金持ちの老紳士に見えなくもない。
爺さんは俺たちを店から追い出すと、さっさと店じまいしてしまった。
「えっと、どこへ行くんですか?」
「博物館じゃ。」
そういえば博物館の館長を紹介してくれるんだったな。
しかし、いきなり訪ねても大丈夫なのか?
俺の懸念の表情を読み取った爺さんが答える。
「報せはこの間のうちに出しておるから安心せい。」
歩き出した爺さんの後ろについて歩く。
「カレンさん、博物館ってどこにあるんですか?」
「う~ん・・・・・・そもそもそんなのあったか?」
カレンに聞いたのが間違いだったか。
バスに揺られ、見知った景色の場所で降りる。
「ここ、図書館の・・・・・・。」
「ム、知っとるのか。」
「はい、図書館にはこの間行きました。」
「博物館はもう少し歩いたところじゃな。」
図書館の前を過ぎ、いくつかの角を曲がると、大きく荘厳な建物が見えてきた。
建物の前にある俺の背丈よりも大きい看板には、テルナ博物館と書かれている。
爺さんは入口から入らず、迂回して建物の裏側へスタスタと歩いていく。
爺さんが関係者用の扉から中に入ると、博物館の職員と思われる男性がとんできた。
「お客様こちらは・・・・・・って、セルジャンさんでしたか。」
「先生はおられますかな?」
「えぇ、お話は伺っていますよ。こちらへどうぞ。」
セルジャンって、爺さんの名前か。
職員に応接室へと案内され少し待っていると、セルジャン爺さんよりもさらに歳を重ねている老人が入ってきた。
だが彼の背筋はシャンと伸びており、セルジャン爺さんよりも若々しい。
身なりも嫌味なく整えられ、まさに紳士という言葉が相応しい。
彼に比べたらセルジャン爺さんは良いとこエセ紳士だろう。
「おい、娘っ子。なんじゃその目は。」
彼の後ろについてきていた職員が、俺たちにお茶と茶菓子を置いて部屋を後にすると、彼は俺とカレンに向かってスッと頭を下げた。
「どうも、お嬢様方。プロストル・ピザンと申します。お見知りおきを。」
「アリューシャ・シュトーラです。」
ポカンとしている隣のカレンを肘で小突く。
「あ、あぁ・・・・・・アタシはカレン。カレン・シュトーラだ。」
俺たちの挨拶が終わると、セルジャン爺さんが口を開く。
「お久しぶりですじゃ、プロストル先生。」
「えぇ、お久しぶりですね、セルジャン。御変わりはありませんか?」
しばし歓談をした後、プロストルさんが真っすぐこちらに目を向けてくる。
「さて、それでは本題に参りましょうか。何かワタクシにお見せ頂ける物があるとか?」
「ほれ、娘っ子。アレを出さんか。」
言われて俺は布に包まれたままの金貨をプロストルさんに手渡す。
「お預かりいたします。」
受け取ったプロストルさんがゆっくり包みを解いていくと、みるみる険しいものに変わっていく。
「こ、これは・・・・・・っ。しょ、少々お待ちください。」
席を立って部屋を出たプロストルさんが、大きな本を抱えて戻ってくる。
どうやらセルジャン爺さんが持っていた図鑑のもっと凄いやつのようだ。
プロストルさんは図鑑を広げると、渡した金貨とページを見比べ始める。
俺とカレンはお茶を飲みながらその様子を見守った。あ、美味しい。
「セルジャン・・・・・・これはまさか・・・・・・。」
「プロストル先生の見立てでも、やはりそうですか?」
「えぇ・・・・・・本物、ですね。」
二人の会話に首をかしげるカレン。
「金貨は金貨だろ? ちょっと模様が違うだけじゃねーか。」
カレンの言葉を聞いて二人は深いため息を吐いた。
そして無駄だと思ったのか、カレンの言葉に意見することはなかった。
「それで、買い取ってもらえるんでしょうか?」
「そういえばそういうお話でしたね。あまりの衝撃に抜け落ちておりました。査定に少々お時間を頂けますかな?」
どうせ時間が掛かるなら、もう少し稼いでおこうか。
「あの、他の種類のもあるんですけど。」
「な、何じゃと!? 聞いとらんぞ!?」
いやだって、セルジャン爺さんに言うと面倒そうだったし・・・・・・。
「今、お持ちなのですか?」
プロストルさんの問いに頷いて答える。
「お見せ頂いても。」
「はい、どうぞ。」
机の上に他の種類の硬貨を並べていく。
「あ、コラ! 素手で触るなと言ったじゃろ!」
そう言われても金貨を包んでた布は渡しちゃったしな。
仕方無いので服の裾を無理やり伸ばして硬貨をつまんで取り出していく。
そうして、机の上には大小の金、銀、銅貨が並べられた。
「おぉ・・・・・・こんな素晴らしい状態のものが全て揃っているとは・・・・・・っ!!」
そう言ってプロストルさんは咽び泣きはじめた。えぇ・・・・・・。
「じ、時間はどれくらい掛かりそうですか?」
「す、すみません、あまりの感動につい・・・・・・。お時間は少し・・・・・・と言いたいところですが、一筋縄ではいきそうにありませんので、館内の見物でもされてお過ごし願えますか?」
確かに、ここでジッと待ってても仕方がないか。
カレンも退屈そうだし。
「分かりました、そうさせてもらいます。」
「えぇ、是非。職員の者に案内させましょう。」
こうして俺たちは博物館内を見て回ることとなった。
俺とカレンは約束通り、商店街の裏にある古道具屋を訪ねていた。
「ようやっと来たか、お前たち!」
「来たか、じゃねえよ。こんな朝っぱらから呼びつけやがって。」
「話は後じゃ、とにかく出るぞ。」
いそいそと立ち上がった爺さんは、この間よりもちゃんとした服を身に着けている。
こうして見るとお金持ちの老紳士に見えなくもない。
爺さんは俺たちを店から追い出すと、さっさと店じまいしてしまった。
「えっと、どこへ行くんですか?」
「博物館じゃ。」
そういえば博物館の館長を紹介してくれるんだったな。
しかし、いきなり訪ねても大丈夫なのか?
俺の懸念の表情を読み取った爺さんが答える。
「報せはこの間のうちに出しておるから安心せい。」
歩き出した爺さんの後ろについて歩く。
「カレンさん、博物館ってどこにあるんですか?」
「う~ん・・・・・・そもそもそんなのあったか?」
カレンに聞いたのが間違いだったか。
バスに揺られ、見知った景色の場所で降りる。
「ここ、図書館の・・・・・・。」
「ム、知っとるのか。」
「はい、図書館にはこの間行きました。」
「博物館はもう少し歩いたところじゃな。」
図書館の前を過ぎ、いくつかの角を曲がると、大きく荘厳な建物が見えてきた。
建物の前にある俺の背丈よりも大きい看板には、テルナ博物館と書かれている。
爺さんは入口から入らず、迂回して建物の裏側へスタスタと歩いていく。
爺さんが関係者用の扉から中に入ると、博物館の職員と思われる男性がとんできた。
「お客様こちらは・・・・・・って、セルジャンさんでしたか。」
「先生はおられますかな?」
「えぇ、お話は伺っていますよ。こちらへどうぞ。」
セルジャンって、爺さんの名前か。
職員に応接室へと案内され少し待っていると、セルジャン爺さんよりもさらに歳を重ねている老人が入ってきた。
だが彼の背筋はシャンと伸びており、セルジャン爺さんよりも若々しい。
身なりも嫌味なく整えられ、まさに紳士という言葉が相応しい。
彼に比べたらセルジャン爺さんは良いとこエセ紳士だろう。
「おい、娘っ子。なんじゃその目は。」
彼の後ろについてきていた職員が、俺たちにお茶と茶菓子を置いて部屋を後にすると、彼は俺とカレンに向かってスッと頭を下げた。
「どうも、お嬢様方。プロストル・ピザンと申します。お見知りおきを。」
「アリューシャ・シュトーラです。」
ポカンとしている隣のカレンを肘で小突く。
「あ、あぁ・・・・・・アタシはカレン。カレン・シュトーラだ。」
俺たちの挨拶が終わると、セルジャン爺さんが口を開く。
「お久しぶりですじゃ、プロストル先生。」
「えぇ、お久しぶりですね、セルジャン。御変わりはありませんか?」
しばし歓談をした後、プロストルさんが真っすぐこちらに目を向けてくる。
「さて、それでは本題に参りましょうか。何かワタクシにお見せ頂ける物があるとか?」
「ほれ、娘っ子。アレを出さんか。」
言われて俺は布に包まれたままの金貨をプロストルさんに手渡す。
「お預かりいたします。」
受け取ったプロストルさんがゆっくり包みを解いていくと、みるみる険しいものに変わっていく。
「こ、これは・・・・・・っ。しょ、少々お待ちください。」
席を立って部屋を出たプロストルさんが、大きな本を抱えて戻ってくる。
どうやらセルジャン爺さんが持っていた図鑑のもっと凄いやつのようだ。
プロストルさんは図鑑を広げると、渡した金貨とページを見比べ始める。
俺とカレンはお茶を飲みながらその様子を見守った。あ、美味しい。
「セルジャン・・・・・・これはまさか・・・・・・。」
「プロストル先生の見立てでも、やはりそうですか?」
「えぇ・・・・・・本物、ですね。」
二人の会話に首をかしげるカレン。
「金貨は金貨だろ? ちょっと模様が違うだけじゃねーか。」
カレンの言葉を聞いて二人は深いため息を吐いた。
そして無駄だと思ったのか、カレンの言葉に意見することはなかった。
「それで、買い取ってもらえるんでしょうか?」
「そういえばそういうお話でしたね。あまりの衝撃に抜け落ちておりました。査定に少々お時間を頂けますかな?」
どうせ時間が掛かるなら、もう少し稼いでおこうか。
「あの、他の種類のもあるんですけど。」
「な、何じゃと!? 聞いとらんぞ!?」
いやだって、セルジャン爺さんに言うと面倒そうだったし・・・・・・。
「今、お持ちなのですか?」
プロストルさんの問いに頷いて答える。
「お見せ頂いても。」
「はい、どうぞ。」
机の上に他の種類の硬貨を並べていく。
「あ、コラ! 素手で触るなと言ったじゃろ!」
そう言われても金貨を包んでた布は渡しちゃったしな。
仕方無いので服の裾を無理やり伸ばして硬貨をつまんで取り出していく。
そうして、机の上には大小の金、銀、銅貨が並べられた。
「おぉ・・・・・・こんな素晴らしい状態のものが全て揃っているとは・・・・・・っ!!」
そう言ってプロストルさんは咽び泣きはじめた。えぇ・・・・・・。
「じ、時間はどれくらい掛かりそうですか?」
「す、すみません、あまりの感動につい・・・・・・。お時間は少し・・・・・・と言いたいところですが、一筋縄ではいきそうにありませんので、館内の見物でもされてお過ごし願えますか?」
確かに、ここでジッと待ってても仕方がないか。
カレンも退屈そうだし。
「分かりました、そうさせてもらいます。」
「えぇ、是非。職員の者に案内させましょう。」
こうして俺たちは博物館内を見て回ることとなった。
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