DTガール!

Kasyta

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BACK TO THE ・・・・・・

00046話「定食屋での戦い」

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 闇に包まれた街のどこからともなく悲鳴が上がった。
 耳にこびりつく叫びを振り払うように路地裏を駆け抜ける。
 ここを抜ければ定食屋はもう目の前だ。

「マズいッス、店が囲まれてるッスよ!」

 やっとの思いでたどり着いた定食屋には、ゴブリンたちが群がっていた。
 だがまだ占拠されてはいないようだ。店の中からは悲鳴交じりの怒号と、銃声が聞こえてくる。
 同時に、美味しそうな匂いが漂ってきた。おそらくウチと同じで夜食でも作ろうとしたのだろう。

「さっさと助けに行くぞ、ゼスタ!」
「ま、待ってくださいよカレンさん! あれじゃあ近寄れないッスよ!」

 時折、店の中で放たれた魔力弾が窓を突き破り、俺たちのすぐ傍の壁に小さな穴を作る。
 幸い銃を持ったゴブリンは居ないようだが、不用意に突っ込めばフレンドリーファイアの餌食になってしまいそうだ。

「嬢ちゃん、流れ弾をどうにかしたらヤツらをやれるか?」
「そうですね。銃を持ったヤツは居ないみたいですから、流れ弾が飛んでこなければ大丈夫です。」

 俺が答えを聞いたカレンが納得いかなさそうに、ガムア隊長に非難の声を上げる。

「お、おい、ガムア隊長!」
「そ、そうッスよ、子供に任せるなんて・・・・・・!」

「うるせぇ、それが最善だってことくらいお前らにも分かってるだろ! それともお前ら嬢ちゃんより強ぇのか?」
「ぐっ、でもよぉ・・・・・・。」「そりゃあ、そうッスけど・・・・・・。」

 ガムア隊長の反論に、二人は二の句を継げなくなる。
 俺としては二人には援護に回って欲しいので、ありがたい申し出なのだが。

「すまねぇな嬢ちゃん。状況が状況だ、頼まれてくれるか?」
「私なら大丈夫ですから、任せて下さい。」

「でも、流れ弾なんてどうやって止めるんッスか、ガムア隊長?」
「こうするんだよ! どりゃああああ!!」

 言葉と同時に、ガムア隊長が身をかがめながら店に向かって突撃していく。

「ちょっ、隊長ぉ!?」

 魔力弾が頭上を掠めるも、怯まずに突撃していくガムア隊長。
 なんとか無事に店まで近づくと、ガムア隊長はゴブリンたちの鳴き声に負けじと声を張り上げた。

「聞こえるかバルドー、ガムアだ!!! 援軍を連れてきた!!! 外のヤツらは任せろ!!! 流れ弾は寄越すなよ!!!」

 な、何とも強引な・・・・・・。だがその強引な方法が功を奏したようだ。
 店の中からまたデカい声で返事が返ってくる。

「任せたぞ、ガムア!!!」

 店のオヤジさんの声だ。マレルが怒鳴られる時の様子が頭に浮かび、思わず口元がニヤついてしまう。

「って、あんな声出すから魔物に気付かれたッスよ!」
「クソッ、隊長を助けるぞ!」

 飛び出そうとした二人を慌てて触手で押さえつける。

「うぉ、何だこりゃ!?」
「二人はそこで援護をお願いします!」

 二人の代わりに飛び出し、今にも取り囲まれそうなガムア隊長のもとへ駆けつける。
 強化した俺の脚なら、ガムア隊長が走った距離程度なら一足飛びだ。

「隊長さんを喰っても不味いよ、たぶん!」
「ガッハッハ! 儂の筋肉は硬くて不味いぞ、魔物ども!」

 剣と触手で殺到するゴブリンたちを斬り、貫いて死体を積み上げていく。

「ガムアさんは二人のところまで下がってください!」
「スマンな、嬢ちゃん!」

 後退をはじめたガムアとは逆に、俺は前へと歩みを進める。
 俺の姿を捉えたゴブリンたちが、美味しそうに見えたのかこちらへと矛先を変えてくる。
 丁度良い、自分を囮にしてしまうのが楽そうだ。
 襲い来るゴブリンたちを倒しながら、未だ店を囲んでいるゴブリンへ向かって魔法で水の玉をぶつけ、こちらへ注意を向けてやる。

「ほらほら、私の方が美味そうだろ!?」

 何体かのゴブリンは、俺に近づくことすら出来ず、援護射撃によって討ち取られていく。
 ただ、もうちょっと時間は掛かりそうだな。

*****

「よしっ、これで最後かな。」

 十分ほど続いた戦闘も、最後の一体を斬り捨て終了した。剣にこびりついた血を振り落とす。

「アリスちゃん!」

 店に隠れていたマレルが飛び出してくる。
 怪我も無く元気そうだ。

「マレルさんも無事でしたか、良かったです。」
「無事でしたか、じゃないでしょ! アリスちゃんこそ大丈夫なの!? こんな子を戦わせるなんて・・・・・・怪我は無い!?」

「これくらいなら慣れてますから、大丈夫ですよ。」
「な、慣れてるって・・・・・・アリスちゃんて一体・・・・・・。」

 俺たちの隣では、ガムア隊長と店のオヤジさんが再開を喜び合っている。
 店の中には他にも近所の人が結構な人数避難していたようだ。武装してるのは傭兵団の人たちだろう。

「それでガムア。他のヤツらは何処だ?」
「他のヤツら?」

「援軍を連れてきたんだろ?」
「そこに居るだろうが。今しがた大活躍した援軍がよ。防衛隊も形無しだな!」

 そう言ってガムア隊長が俺を指す。

「そ、それは見てたが・・・・・・本当にお前らだけなのか?」
「そうだ。他に寄り道もしなかったしな。結果的には正解だったみたいだ。」

「相変わらずだな、ガムア。だがもう此処は使えそうにないぞ。」

 オヤジさんが、先の戦闘でボロボロになった店構えを見上げる。
 店に立て籠もるには損傷が激しい。もう一度でも襲撃があれば倒壊する可能性もあるだろう。もっとしっかりとした場所を拠点にしたいところである。

「そうよ! 魔物のせいで私たちのお店がめちゃくちゃに・・・・・・グスッ。」
「泣くなマレル。建て直せばいい。」

「ガッハッハ、そうだな! 命があったんだからもっと喜ばんかい!」
「い、痛いわよガムアさん!」

 ガムア隊長の無遠慮でゴツい手がマレルの背中をバンバンと叩く。

「それで、これからどうするんッスか、ガムア隊長?」
「人数もおるし、もっと広くてしっかりところを拠点にしたいな。心当たりはあるか?」

「アタシらに聞かれてもな・・・・・・。」

 頭を捻る彼らに、手を挙げて答える。

「私の通ってる学校はどうですか?」
「学校か・・・・・・確かに広くて頑丈だが、窓が多いな。守るにしても銃が足りんぞ。」

 店のオヤジさんが冷静に答える。彼の言う通り窓から数で攻められると一溜りもないか・・・・・・。
 守り切れるほどの戦力があれば別だろうが、それだけの戦力は俺から見ても無さそうだ。

「なら、博物館はどうじゃ? そこらの建物より頑丈に出来とるし、窓も少ないぞ。 ちと遠いがの。」

 次に提案してきたのは、古銭を売った時に世話になった古道具屋のお爺さんだった。

「ジイさん、生きてたのか!?」
「勝手に殺すな! それで、どうじゃ?」

「悪くはないが・・・・・・魔力の残りが心もとないな。」
「心配し過ぎだぞバルドー、何とかなるだろ! それに、いつまでもここでジッとしてるわけにもいかんしな。準備を整えたら出発するぞ。」

 ガムア隊長が決めてしまったが、オヤジさんも反論は無いようだ。
 下手にその辺りを建物を拠点にしても、此処の二の舞になってしまうだろう。
 これからの方針は決まったようだが、俺は・・・・・・。

「あの~、私はしばらく別行動しても良いですか?」
「な、なに言ってるんッスか、危ないッスよ! それにアリスちゃんが居なかったら・・・・・・。」

 確かに俺が抜ければ大幅な戦力ダウンになってしまうが、簡単にやられることはないはずだ。

「ゼスタは黙ってろ。何か理由があんのか、アリス?」
「えっと・・・・・・友達の様子を見に行きたくて。」

 彼らなら頼めば一緒に行ってくれるだろうが、俺一人なら素早く動くことが出来る。その早さが明暗を分けることもあるだろう。
 それに、街の様子も調べておきたい。

「そうか。隊長、聞いた通りアリスは別行動だ。良いな?」
「まぁ、嬢ちゃんなら大丈夫だろう。友達んとこ行ってやりな。こっちは大丈夫だからよ。」

「ほ、本当に良いんですか?」
「ガッハッハ! いつまでも嬢ちゃんにおんぶに抱っこってわけにはいかんだろう、なぁカレン!」

「ほら、さっさと行ってきな。心配なんだろ?」
「あ、ありがとうございます! それじゃあ、行ってきます!」

 返事を聞くや、魔力で強化した足で大地を蹴った。
 自分で考えていたよりも気が逸っていたらしい。
 かくして、今度は一人で闇に包まれた街へと飛び出した。
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