【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華

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Prologue 二つ上の先輩

0ー02 女子生徒

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 たった一度だけ、ストーカー一歩手前の事をされたため、今から会うのが同性でも少し怖い自分が居る。

 それは高校に入学する半年ほど前で、相手は上級生──今年の春に高校を卒業したようだが──の女子だった。

 発端としては、オープンスクールで龍冴を含めた他の生徒を構内へ案内している時だったように思う。

 女子生徒の説明がもたついた時、後になって一言二言ほどアドバイスした。

 もっとも、こうしたら多少は気持ちが落ち着く、という至極どこにでもある手法を教えただけなのだが。

 その後、その女子生徒はどういう訳か中学までやってきた。

 お礼をしたくて、という理由だけで来たらしく、大したことはしてないと断った。

 しかし『それでは嫌』と今にも泣きそうな表情をされたため、無難にゲームセンターへ行ったのだ。

 といっても半ば強行されたというのが正しく、プリクラを撮って終わりというだけなのだが。

 ただ、それが駄目だった。

 遊びに行ってしばらくしてから女子生徒に週に二度、校門の前で待ち伏せされるようになった。

 曜日は決まっておらずバラバラだったため、さすがに恐怖と受験へのストレスとで、つい声を掛けてしまったのがもっと駄目だったように思う。

『あの、なんで今日も居るんですか』

 そう問い掛ければ、女子生徒は頬を染めて喜色満面で言った。

 ──龍冴くんを待ってたの!

 ──高校、こっちに来るんでしょう? 入試問題ちょっと難しいし、勉強教えたいなぁって思って。今日さ、時間があったらファミレス行かない?

 聞いてもいないのにペラペラとよく喋る口も、きんきんと高い女子特有の声も、なにもかもが耳障りだった。

 幸い、校門に集まって駄弁っていた雅玖や他の友人らがいち早く異変に気付いてくれ、女子生徒との間に入ってくれた。

 お陰で大事にならずに済んだが、それでも恐怖を拭えない日が続いたのを覚えている。

 雅玖や他の友人が何を言ったのかまでは聞いていなかったが、それ以降しばらくは異性に苦手意識を覚えた。

 けれどその女子生徒が卒業する頃には会う事もなくなり、また誰かが常に龍冴の傍に一人は居た。

 その時は過保護だなと思ったが、今にして思えば憔悴し切っていたのは事実で、図らずも軽く笑いが漏れる。

(まぁ話すのは楽しかったからいいけど)

 こうして一人で過ごすのは実に久しぶりで、やや浮足立っている自分にまた笑う。

 端から見ればおかしい人間だと思うが、楽しい事でも考えようと意識を切り替える。
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