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三章 優しくしないで
3‐11 もう少し時間が欲しかった
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「──と、まぁこんな感じ」
ごめんな、と大和が小さく謝る。
「先輩が謝る必要無いです」
(全部俺が悪いんで)
ごく自然な流れで謝罪され、それが耳に入った瞬間龍冴は半ば被せ気味に否定する。
そして、心の中で付け足した言葉は紛れもない自分に向けたものだ。
見せてもらった写真は確かに目鼻立ちが似ており、笑った顔はそっくりだった。
大和が嘘を言っているようにはとても思えず、けれどまだかすかな苛立ちがあるのは否めない。
恋人ではなく身内だと分かってよかったと思う反面、すぐに行動に移さなかった自分が惨めになる。
それもこれもすべては己の弱さから来るもので、大和に悪気は無いと理解している。
龍冴はそろりと手を握り締め、溢れそうになる思いを呑み込んだ。
「……けど嫌だったんだろ、相手が誰か分かんねぇから」
「っ!」
不意に放たれたそれは自分の心を読まれたかのようで、龍冴は反射的に隣りを歩く大和に視線を向けた。
なんともいえない表情は、見方を変えれば困惑しているようにも取れる。
大和も大和で龍冴を傷付けないように、精一杯言葉を選んで話してくれているのだ。
それを頭では分かっていても尚、胸が締め付けられるように苦しくて、嫌になるほど腹が立つのはなぜなのか。
(……あ、そうか)
ふと心に浮かんだ感情に、妙な納得をしてしまう。
仮に相手が身内であっても、大和を取られた気がして嫌だったのだ。
優しくする相手が龍冴以外にも居ると分かって、けれどそれはあくまで『兄』だからに過ぎない。
自分にも兄弟が居るというのに、そう思ってしまうほど普段よりも周りが見えなくなっている節があった。
けれどただの後輩にここまでお節介を焼いてくれるのは普通ではなくて、そもそも話してから短期間でこんな考えを持つ己こそおかしいのだが。
「……あの」
こちらの思い違いでもいいから、なぜここまでしてくれるのか聞いてみたい。
昨日の今日で一緒に学校へ行こうと誘ってくれた理由も、この際だから聞いておきたかった。
意を決して口を開こうとするが、わずかに遅かったようだ。
「あ、ほんと……ですね」
この時間であればそろそろ登校ピークに入り、昇降口は生徒でごった返すだろう。
ごめんな、と大和が小さく謝る。
「先輩が謝る必要無いです」
(全部俺が悪いんで)
ごく自然な流れで謝罪され、それが耳に入った瞬間龍冴は半ば被せ気味に否定する。
そして、心の中で付け足した言葉は紛れもない自分に向けたものだ。
見せてもらった写真は確かに目鼻立ちが似ており、笑った顔はそっくりだった。
大和が嘘を言っているようにはとても思えず、けれどまだかすかな苛立ちがあるのは否めない。
恋人ではなく身内だと分かってよかったと思う反面、すぐに行動に移さなかった自分が惨めになる。
それもこれもすべては己の弱さから来るもので、大和に悪気は無いと理解している。
龍冴はそろりと手を握り締め、溢れそうになる思いを呑み込んだ。
「……けど嫌だったんだろ、相手が誰か分かんねぇから」
「っ!」
不意に放たれたそれは自分の心を読まれたかのようで、龍冴は反射的に隣りを歩く大和に視線を向けた。
なんともいえない表情は、見方を変えれば困惑しているようにも取れる。
大和も大和で龍冴を傷付けないように、精一杯言葉を選んで話してくれているのだ。
それを頭では分かっていても尚、胸が締め付けられるように苦しくて、嫌になるほど腹が立つのはなぜなのか。
(……あ、そうか)
ふと心に浮かんだ感情に、妙な納得をしてしまう。
仮に相手が身内であっても、大和を取られた気がして嫌だったのだ。
優しくする相手が龍冴以外にも居ると分かって、けれどそれはあくまで『兄』だからに過ぎない。
自分にも兄弟が居るというのに、そう思ってしまうほど普段よりも周りが見えなくなっている節があった。
けれどただの後輩にここまでお節介を焼いてくれるのは普通ではなくて、そもそも話してから短期間でこんな考えを持つ己こそおかしいのだが。
「……あの」
こちらの思い違いでもいいから、なぜここまでしてくれるのか聞いてみたい。
昨日の今日で一緒に学校へ行こうと誘ってくれた理由も、この際だから聞いておきたかった。
意を決して口を開こうとするが、わずかに遅かったようだ。
「あ、ほんと……ですね」
この時間であればそろそろ登校ピークに入り、昇降口は生徒でごった返すだろう。
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