【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華

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四章 夏本番、近付く距離

4‐01 自責の念に駆られる

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「……終わった」

 心の底から息を吐き出し、龍冴りょうがは机に突っ伏した。

 ほぼ勉強していなかった二日目の試験が無事に終わったからか、また今朝方大和やまとに放った言葉を思い出したからか、もしくは両方から来た脱力かもしれない。

 ──俺が早く会いたいんです。

 同性というのを抜きにしても、つい最近まで顔を合わせる事はもちろん話した事のなかった先輩だ。

 互いに共通点がある訳ではなく、ただ『助けてもらった』から話すようになったに過ぎない。

 どちらかが少しでも嫌悪感を持てば、そこですっぱりと関係は途切れるという、あまりにも壊れやすい繋がりだろう。

 もはや自分が何を考えているのか分からず、それ以前にこのなんとも言えない感情を抱えたまま試験があと三日もあるのだと思うと、二重で嫌になってくる。

「あーーーー! 何考えてんだ俺は!」

 つい先程帰りのホームルームが終わり、大和へメッセージを送った。

『ちょっとだけ待っててください』

 すぐに教室を出ると言ったものの、いざ終わってみれば段々と緊張で胃が痛くなってくる。

 加えて胸の高鳴りが今朝の比にならないほどで、どこか気持ちが悪い。

 幸い携帯を見ていないのか、すぐに既読は付かなかったため、友人らと談笑でもしているのだろう。

 早く返して欲しいが待たせてしまうのは逆に申し訳なく、かといって先に大和を待っているのも、それはそれで緊張する。

 大和と話すようになってからまだ一週間も経っていないのに、ここまで気になるのはなぜなのか。

 加えて大和に対して湧き上がってくる気持ちが、どういう意味の好意なのか、答えを出すにはあまりに恋愛経験が足りなかった。

 そもそもしっかりと付き合うようになったのは椰一やいちが初めてで、けれどそんな彼が最初に女子生徒と歩いている場面を見てから、一切の返信がこなくなった。

 どこの大学を受験するのか知らないが、試験期間中はメッセージアプリを開かない性分なのかもしれない。

 もちろん完全にそうだと言い切れないものの、どこかで龍冴が別れたがっているのに気付いていて、あえて様子を見ているのではないか。

(押して駄目なら引いてみろ、ってやつか……?)

 恋愛の駆け引きはよく分からないが、周囲でよく聞く言葉だった。

 ただ、浮気している方がそういう行動を取る事自体、根本的に見ればおかしいとすぐに分かる。

 元々返信は少ない方だったが、音沙汰が無くなるにしてはあまりにタイミングが良過ぎるのだ。

 学年ごとに校舎が違うため、どちらかが教室に向かうか移動教室や合同授業でもない限り会話をするのはごくわずかだろう。

 あとは学校の行事やそれ以外のきっかけで仲良くなるしかないが、段々と『なぜ椰一が選んだ相手が自分だったのか』という疑問が生じる。

 椰一ほどのルックスであれば女子はもちろん、男子からも学年問わず人気だろう。

(まぁ俺は告白されるまで存在すら知らなかったけど)

 今一度考えてみても、一部で噂されている話が本当だとして必ずどこかで情報が漏れるだろう。

 それが今の今まで一切なく、また椰一に『浮気された』や『捨てられた』という話は一つも聞かない。

 あるのは『佐野先輩が卒業するまでに一度くらい話したい』という、芸能人よろしくそういう話を同学年の女子が仲間内でしているくらいだ。
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