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四章 夏本番、近付く距離
4‐02 既読が付かない理由
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(どうしよう、これ)
龍冴はメッセージアプリを何とはなしに見る。
先頭に表示されている大和から五つ下には椰一のアイコンがあり、それは龍冴が送った文章で止まっている。
昨日帰宅してすぐに送ったもので、『話したい』という至極短いものだが、未だ既読は付いていない。
そもそもその前に十以上『忙しい?』や『ワガママでごめん』といった、安否を確認するものや己を自虐するものをほぼ一日ごとに送っているのだが。
(あ、先輩と話すようになったのもこの日からか)
意味もなくスクロールしていると、丁度ビル内にある書店で椰一と女子生徒と鉢合わせそうになった日で、その後大和とぶつかってしまった時の日付けが目に入る。
実に二週間近く椰一から返信が来ていなかったのが分かり、けれどなんの感情も湧かなかった。
その代わり大和と話すようになったのは次の日で、以降はほとんど椰一のメッセージ欄を開いていない事も自覚する。
しかし昨日だけは鬼のようにメッセージを送ったため、最後と昨日送った文章の間に送信取り消しをした文面が薄く表示されていた。
さすがにすべてを消すのは面倒だったためそのままにしていたが、中には『なんで浮気したんだ』という文も送っていた。
それでも返信はなかったため見ていないのだと思うが、多少椰一のことは気になるものの、すぐに返信が欲しいと思わない自分に驚く。
たとえ『あれは妹』というメッセージが送られたとしても、もはやそれは苦しい言い訳だ。
昨日確かにそういう場面に近いものを見てしまって、十分過ぎるほど傷付いたのだ。
同時にこれ以上椰一と付き合っているのも無駄と感じ、しかし問い詰めるのは今ではない。
仮にも今は試験期間で、喧嘩をしてしまえば立ち直れなくなるのはどう足掻いてもこちらだ。
他の友人に比べて口が上手い訳ではないため、少し責められでもしたら以降の試験勉強すら手につかないのは必至だ。
仮に今日のどこかで椰一からメッセージが来たとしても、返信は早くても明日の試験が終わった後になるかもしれない。
龍冴の中で椰一の優先順位は既に下位で、下手をすれば桜雅と拮抗するほどになっているだろう。
「ん……?」
物思いに耽っているうちに一つ二つと増えていく数字は、昨日と同じ『迎えに来た』という桜雅からの愛ある言葉かもしれない。
気乗りしないものの、履歴を見ると案の定増加しているのは桜雅のメッセージだった。
『待ってるね』
ハートに加えて投げキッスをしている顔文字が見えて、段々と頬が引き攣る。
「よし、ミュート」
小さく唱えながら、素早く桜雅の通知を消した。
ほんの一時的にではあるが、通知欄から兄の文章がこれでもかと送られてくるのを見ないで済む。
そもそも通知が来るたびに携帯の充電がもったいなく、それを分かっているのかと呆れそうになった。
「どうせ車つけてるだろ、多分」
昨日は龍冴に気を遣ってくれたのか、わざわざ駐車場へ停めて迎えに来てくれたのだ。
しかし情報がしっかりと伝達されないのは、いかがなものかと思う。
(先輩と帰る約束してるし)
やはり今返信するべきか、けれどもし言うことを聞いてくれなくて、大和に面倒な兄が居ると思われるのは避けたい。
龍冴はメッセージアプリを何とはなしに見る。
先頭に表示されている大和から五つ下には椰一のアイコンがあり、それは龍冴が送った文章で止まっている。
昨日帰宅してすぐに送ったもので、『話したい』という至極短いものだが、未だ既読は付いていない。
そもそもその前に十以上『忙しい?』や『ワガママでごめん』といった、安否を確認するものや己を自虐するものをほぼ一日ごとに送っているのだが。
(あ、先輩と話すようになったのもこの日からか)
意味もなくスクロールしていると、丁度ビル内にある書店で椰一と女子生徒と鉢合わせそうになった日で、その後大和とぶつかってしまった時の日付けが目に入る。
実に二週間近く椰一から返信が来ていなかったのが分かり、けれどなんの感情も湧かなかった。
その代わり大和と話すようになったのは次の日で、以降はほとんど椰一のメッセージ欄を開いていない事も自覚する。
しかし昨日だけは鬼のようにメッセージを送ったため、最後と昨日送った文章の間に送信取り消しをした文面が薄く表示されていた。
さすがにすべてを消すのは面倒だったためそのままにしていたが、中には『なんで浮気したんだ』という文も送っていた。
それでも返信はなかったため見ていないのだと思うが、多少椰一のことは気になるものの、すぐに返信が欲しいと思わない自分に驚く。
たとえ『あれは妹』というメッセージが送られたとしても、もはやそれは苦しい言い訳だ。
昨日確かにそういう場面に近いものを見てしまって、十分過ぎるほど傷付いたのだ。
同時にこれ以上椰一と付き合っているのも無駄と感じ、しかし問い詰めるのは今ではない。
仮にも今は試験期間で、喧嘩をしてしまえば立ち直れなくなるのはどう足掻いてもこちらだ。
他の友人に比べて口が上手い訳ではないため、少し責められでもしたら以降の試験勉強すら手につかないのは必至だ。
仮に今日のどこかで椰一からメッセージが来たとしても、返信は早くても明日の試験が終わった後になるかもしれない。
龍冴の中で椰一の優先順位は既に下位で、下手をすれば桜雅と拮抗するほどになっているだろう。
「ん……?」
物思いに耽っているうちに一つ二つと増えていく数字は、昨日と同じ『迎えに来た』という桜雅からの愛ある言葉かもしれない。
気乗りしないものの、履歴を見ると案の定増加しているのは桜雅のメッセージだった。
『待ってるね』
ハートに加えて投げキッスをしている顔文字が見えて、段々と頬が引き攣る。
「よし、ミュート」
小さく唱えながら、素早く桜雅の通知を消した。
ほんの一時的にではあるが、通知欄から兄の文章がこれでもかと送られてくるのを見ないで済む。
そもそも通知が来るたびに携帯の充電がもったいなく、それを分かっているのかと呆れそうになった。
「どうせ車つけてるだろ、多分」
昨日は龍冴に気を遣ってくれたのか、わざわざ駐車場へ停めて迎えに来てくれたのだ。
しかし情報がしっかりと伝達されないのは、いかがなものかと思う。
(先輩と帰る約束してるし)
やはり今返信するべきか、けれどもし言うことを聞いてくれなくて、大和に面倒な兄が居ると思われるのは避けたい。
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