【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華

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四章 夏本番、近付く距離

4‐04 ある人とのメッセージ

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「あれ、羚架も居るの珍しいな」

 龍冴の代わりに雅玖が問い掛ける。

「そう、かな。いつも先に帰ってるからかも」

 へらりと羚架が淡く笑う。

 羚架とは同じクラスだが、話すのは実に久しぶりだった。

 何度か話し掛けようとしてくれているものの、龍冴の周りには常に誰かが居るため、他の人間と話す時より遠慮しているらしい。

 あまり気を遣ってもらうほどではないが、羚架なりに思うことがあるらしかった。

 しっかりと顔を見て話すのはこれで二度か三度目で、どこか新鮮な気さえする。

「……実はね、龍冴さんに話があって」

「へ?」

 いつになく落ち着かない気持ちのまま、いそいそと帰りの準備をしていたところを話し掛けられ、龍冴は首を傾げる。

 雅玖との話を遮られた挙げ句、新たな火種が舞い込みそうな予感がした。

 メッセージアプリの既読はまだ付いていないが、大和が校門で待っているかもしれない。

 待たせる訳にはいかないという、半ば言い訳じみた感情に突き動かされていた。

「あ、今は」

「僕の方にこういうのが来たんだ。ちょっと前だけど」

 止めて欲しい、と言う前に羚架が被せ気味に言葉を切ると、羚架は携帯を取り出した。

(タイミングが悪過ぎる)

 昨日から散々だな、と自身の境遇に内心で苦笑した。

 しかし元来、困っている者が居ると放っとけない性分なためか、龍冴はそろりと羚架の携帯を覗き込む。

「ん……?」

 それは写真投稿アプリで、シンプルなメッセージ欄が視界に入った。

『可愛いね』

『話してみたいな』

 日付けはつい三日前、相手の方から話し掛けてきている。

「これ……」

 龍冴は携帯を手に取ると、まじまじと相手のアイコンを見た。

 全体はモノクロで男性の横顔の画像だが、鼻から下が袖で隠れている。

 目も閉じているため正確には分からないが、納得したようで『やっぱり』という言葉が出そうになった。

 それは椰一がメッセージアプリでも使っているものとよく似ていて──否、この写真は椰一本人の可能性が高いだろう。

 もしや、と思って相手の投稿欄を開くと何も無かった。

 かろうじてプロフィールに『受験生の日常』とだけ書かれており、これでは椰一だと断定するにはあまりに心もとない。

「さっき、永睦さんにどうしようか聞いてたんだ。そしたら、龍冴さんの方がよく知ってるかもって」

 羚架はちらりと背後で口角を上げて、こちらの会話を聞いている永睦を見た。

 その顔は『面白そうなネタが入った』と喜んでいるようで、実際は『早く椰一について教えろ』と催促している気がする。

(噂好きのお喋り野郎が……!)

 雅玖以外に椰一と付き合っている事を言っていないが、そもそも雅玖が永睦に何かしらの弱味を握られて話してしまった場合もある。

 こちらの事情に関係のない第三者を巻き込むのは嫌だったため、気心の知れる者以外には黙っていたのだが──そんな思いで、真正面に座る雅玖に視線を向けた。
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