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五章 離れたくない、そう思った
5‐08 グループ内の画像
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「──あ、そういやこれ知ってる?」
すると永睦が思い出したように携帯を手に取り、いそいそと画面に指を滑らせる。
「ん……?」
「なになに、面白い話?」
龍冴は気だるげに永睦の方を見つめ、反して仁は携帯を覗き込むようにしてやや上擦った声で興味深そうに言った。
「なんと! あの佐野さんが四股してましたー!」
パンパカパーン、と効果音でも付きそうな笑顔で見せてきたのはメッセージアプリで、『極秘のお話』という名前のグループルームだった。
見せてきたのはグループ内で共有されている画像らしく、赤いフォントで『速報、あの先輩の裏の顔!』という、大々的な文字が最初に目に入る。
その下には名前は伏せられているものの、椰一らしき高校生が一人で歩いている写真と、誰かと笑っている横顔の写真が小さく添付されていた。
(盗撮じゃん)
そう言ってしまいたいのをぐっと堪え、龍冴が気になったのは永睦の言葉で、何より画像の内容だった。
そっと永睦の元までにじり寄り、やや後ろから携帯を覗き込む。
「あ、っ……」
そこに書いてあったのは赤裸々なもので、とてもではないが空いた口が塞がらない。
高校へ入学した頃から最近まで、椰一の付き合ってきた人間が箇条書きにされていたのだ。
正確な日付けは分からないが、学年ごとで付き合ったという人間が細かくリストアップされている。
毎月のように男女問わずに声を掛けては付き合い、短期間で捨ててきた、というのが画像を送ってきた生徒の推理らしい。
中には龍冴の名前があり、なぜか名前の横に星のスタンプがあった。
「……これ、なに」
よくよく見れば複数人、それこそ永睦が言った通り四人にある。
「同じ時期に付き合ってた、って感じ。ま、予想だからもっと増えてるかもだけど」
永睦が携帯をテーブルに置き、龍冴の方を見ながら曖昧に微笑む。
それはこちらに気を遣っていて今まで言えなかったようで、けれど完全に椰一と別れたのをどこかで聞き付けたらしかった。
同時に龍冴の好きな相手が既に移り変わっているのも、きっと永睦はもちろん仁にすら気付かれているだろう。
だからか仁の声がどこかぎこちなく、永睦に至っては会話の糸口にわざとらしさがあったのだと合点がいった。
「──ってかここまで集めるの、みんな苦労したんだぜ。中には他校の奴も居るみたいだしさぁ」
あろうことか椰一の相手は別な高校まで伸びていて、果ては福岡から会いに来たという人間も居るらしい。
どこからどこまで知っているのか、そもそも情報網や偵察力が他の者に比べて段違いなのか、永睦を含めた生徒たちには圧倒される。
それと同じくして、これほど椰一が誰彼構わず声を掛けているのは納得する部分もあった。
「……このリストに書かれてる人たちのほぼ全員、あいつが振ったんだよな」
ぼそりと呟いた言葉は、やけに大きく部屋の中に響く。
「俺の時みたいに適当なこと言って、依存させて。そっから捨てて……何がしたいんだか」
はは、と自然に乾いた笑いが漏れる。
椰一には既に好意などなく、あるのは呆れと憐憫だけだ。
疑問もあるにはあるが、真相を知りたいかどうかと言われれば否に近い。
なのに怒りがふつふつと湧き上がり、誰にも向けたかも定かではない笑顔を収めた写真すら腹立たしいのはなぜなのか。
すると永睦が思い出したように携帯を手に取り、いそいそと画面に指を滑らせる。
「ん……?」
「なになに、面白い話?」
龍冴は気だるげに永睦の方を見つめ、反して仁は携帯を覗き込むようにしてやや上擦った声で興味深そうに言った。
「なんと! あの佐野さんが四股してましたー!」
パンパカパーン、と効果音でも付きそうな笑顔で見せてきたのはメッセージアプリで、『極秘のお話』という名前のグループルームだった。
見せてきたのはグループ内で共有されている画像らしく、赤いフォントで『速報、あの先輩の裏の顔!』という、大々的な文字が最初に目に入る。
その下には名前は伏せられているものの、椰一らしき高校生が一人で歩いている写真と、誰かと笑っている横顔の写真が小さく添付されていた。
(盗撮じゃん)
そう言ってしまいたいのをぐっと堪え、龍冴が気になったのは永睦の言葉で、何より画像の内容だった。
そっと永睦の元までにじり寄り、やや後ろから携帯を覗き込む。
「あ、っ……」
そこに書いてあったのは赤裸々なもので、とてもではないが空いた口が塞がらない。
高校へ入学した頃から最近まで、椰一の付き合ってきた人間が箇条書きにされていたのだ。
正確な日付けは分からないが、学年ごとで付き合ったという人間が細かくリストアップされている。
毎月のように男女問わずに声を掛けては付き合い、短期間で捨ててきた、というのが画像を送ってきた生徒の推理らしい。
中には龍冴の名前があり、なぜか名前の横に星のスタンプがあった。
「……これ、なに」
よくよく見れば複数人、それこそ永睦が言った通り四人にある。
「同じ時期に付き合ってた、って感じ。ま、予想だからもっと増えてるかもだけど」
永睦が携帯をテーブルに置き、龍冴の方を見ながら曖昧に微笑む。
それはこちらに気を遣っていて今まで言えなかったようで、けれど完全に椰一と別れたのをどこかで聞き付けたらしかった。
同時に龍冴の好きな相手が既に移り変わっているのも、きっと永睦はもちろん仁にすら気付かれているだろう。
だからか仁の声がどこかぎこちなく、永睦に至っては会話の糸口にわざとらしさがあったのだと合点がいった。
「──ってかここまで集めるの、みんな苦労したんだぜ。中には他校の奴も居るみたいだしさぁ」
あろうことか椰一の相手は別な高校まで伸びていて、果ては福岡から会いに来たという人間も居るらしい。
どこからどこまで知っているのか、そもそも情報網や偵察力が他の者に比べて段違いなのか、永睦を含めた生徒たちには圧倒される。
それと同じくして、これほど椰一が誰彼構わず声を掛けているのは納得する部分もあった。
「……このリストに書かれてる人たちのほぼ全員、あいつが振ったんだよな」
ぼそりと呟いた言葉は、やけに大きく部屋の中に響く。
「俺の時みたいに適当なこと言って、依存させて。そっから捨てて……何がしたいんだか」
はは、と自然に乾いた笑いが漏れる。
椰一には既に好意などなく、あるのは呆れと憐憫だけだ。
疑問もあるにはあるが、真相を知りたいかどうかと言われれば否に近い。
なのに怒りがふつふつと湧き上がり、誰にも向けたかも定かではない笑顔を収めた写真すら腹立たしいのはなぜなのか。
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