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五章 離れたくない、そう思った
5‐11 意外な一面
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「……あの、本当に入るんですか?」
大和の先導で駅を出て、近くのビルの中へ入ってしばらく。
ビルの中には可愛らしい雑貨に始まり、甘い香りのするコスメやレディースの夏服がところ狭しとあった。
けれど『そこ』に入る者は恋人や友達同士が多く、中には家族連れも居た。
大和の後ろを一定の感覚で歩いていると、視界に入ってきたのは白とピンクで内装された、いかにも写真映えしそうな景観の店だったのだ。
(なんだろう、あんまり想像できなかったというか……)
入り口にあるポップには、『期間限定』や『今日のオススメ』と丸みのある可愛らしい筆記で書かれている。
今日のオススメはシャインマスカットをふんだんに使ったパフェで、大きいためシェアも出来るらしかった。
「あ、もしかして甘いの嫌いだった?」
あまり気乗りしない声に、大和が申し訳なさそうに眉根を寄せる。
「嫌い、って訳じゃ……ない、ですけど」
ちらりと店の景観と大和とを交互に見つめ、すぐに視線を逸らす。
誘われない限り友人同士でこうした店に来ないのはもちろん、大和とスイーツとがあまり結び付かない。
そもそも甘いものは何かと桜雅から貰うくらいで、率先して食べようとは思わなかった。
ただ、人並みに好きなものでもあるため、普段よりもわくわくしているのは事実だ。
(先輩と出掛けてるからかもしれないけど)
ほかでもない大和が誘ってくれ、こうしてどこへ行くのか考えてくれたのだと思うと嬉しい。
ただ、メッセージをしていても待ち合わせ場所と時間を言うくらいで、他は何も知らなかった。
だからどんな服装で行くのか、ぎりぎりまで悩んでしまったのも無理からぬことだろう。
目的の場所が分からないため、歩いている時にそれとなく聞いても『内緒』と言うだけで、どこかやきもきしながら後ろを着いて行って十分ほど。
今この時になって、大和の言わんとしていた事がようやく分かった。
途中で龍冴が『嫌だ』と言う可能性もあって、それではせっかく誘った意味がなくなってしまうと思ったのだろう。
(可愛い、かも……しれない)
こうして自分のために色々と考えてくれた事も、甘いものが好きだという事も。
告白紛いの事をしておいて尚、こうして誘ってくれて気遣ってくれるだけでも、今の龍冴には十分過ぎるほどだった。
「うん……?」
すると目線の先に、きらきらと一際輝いているものが映った。
オススメであるシャインマスカットよろしく、これでもかと赤い果実──イチゴが乗せられている。
おまけにホイップクリームにチョコレート、バナナやましゅまといった龍冴が好きなもので溢れていた。
「……おいしそう」
無意識に呟いたのとほとんど同時に、大きな手の平がぽんと肩に触れた。
「んじゃ、入ろうぜ」
な、と大和の眩しい笑みを誘われるまま、龍冴はこくりと頷いた。
大和の先導で駅を出て、近くのビルの中へ入ってしばらく。
ビルの中には可愛らしい雑貨に始まり、甘い香りのするコスメやレディースの夏服がところ狭しとあった。
けれど『そこ』に入る者は恋人や友達同士が多く、中には家族連れも居た。
大和の後ろを一定の感覚で歩いていると、視界に入ってきたのは白とピンクで内装された、いかにも写真映えしそうな景観の店だったのだ。
(なんだろう、あんまり想像できなかったというか……)
入り口にあるポップには、『期間限定』や『今日のオススメ』と丸みのある可愛らしい筆記で書かれている。
今日のオススメはシャインマスカットをふんだんに使ったパフェで、大きいためシェアも出来るらしかった。
「あ、もしかして甘いの嫌いだった?」
あまり気乗りしない声に、大和が申し訳なさそうに眉根を寄せる。
「嫌い、って訳じゃ……ない、ですけど」
ちらりと店の景観と大和とを交互に見つめ、すぐに視線を逸らす。
誘われない限り友人同士でこうした店に来ないのはもちろん、大和とスイーツとがあまり結び付かない。
そもそも甘いものは何かと桜雅から貰うくらいで、率先して食べようとは思わなかった。
ただ、人並みに好きなものでもあるため、普段よりもわくわくしているのは事実だ。
(先輩と出掛けてるからかもしれないけど)
ほかでもない大和が誘ってくれ、こうしてどこへ行くのか考えてくれたのだと思うと嬉しい。
ただ、メッセージをしていても待ち合わせ場所と時間を言うくらいで、他は何も知らなかった。
だからどんな服装で行くのか、ぎりぎりまで悩んでしまったのも無理からぬことだろう。
目的の場所が分からないため、歩いている時にそれとなく聞いても『内緒』と言うだけで、どこかやきもきしながら後ろを着いて行って十分ほど。
今この時になって、大和の言わんとしていた事がようやく分かった。
途中で龍冴が『嫌だ』と言う可能性もあって、それではせっかく誘った意味がなくなってしまうと思ったのだろう。
(可愛い、かも……しれない)
こうして自分のために色々と考えてくれた事も、甘いものが好きだという事も。
告白紛いの事をしておいて尚、こうして誘ってくれて気遣ってくれるだけでも、今の龍冴には十分過ぎるほどだった。
「うん……?」
すると目線の先に、きらきらと一際輝いているものが映った。
オススメであるシャインマスカットよろしく、これでもかと赤い果実──イチゴが乗せられている。
おまけにホイップクリームにチョコレート、バナナやましゅまといった龍冴が好きなもので溢れていた。
「……おいしそう」
無意識に呟いたのとほとんど同時に、大きな手の平がぽんと肩に触れた。
「んじゃ、入ろうぜ」
な、と大和の眩しい笑みを誘われるまま、龍冴はこくりと頷いた。
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