19 / 19
結婚したのか……俺以外の奴と
⑬完結
しおりを挟む
みんなの視線が怖くて俯くと正面からくすくすと聞こえてきて、ギョッとして顔を上げた。
「あっはっはっはっ!!!!!うぃ、ウィル、私を笑わせているのか!!!
あっ、あれ……ぐっ……あっははっはっは!!!!だめだ……はらが……」
涙を流しながら大きな声で今にも笑い転げそうな父上に悲壮感も怒気も削がれ、意表をつかれ黙り込んだ。
「レオ、俺はウィルバートが何を言っているのか分からない……」
「ぐふっ……うぃ、ウィリアム!お前まで笑わすな!!あはっ……はははははっ!!」
「別に笑わせていないぞ」
「だかっ……はははは!!!」
テーブルに突っ伏して笑い転げていると表現しても問題ない程声を上げて体を震わせている父上を呆然と見つめる。
「にぃには俺のメイド服が見たい……。
俺の…………くっ」
真剣な顔で自身の身体を見下ろしているアレックスに羞恥から俯いて頭を抱える。
「アレックス、いいから忘れて」
「は~……ふっ…ふふ……だめだ、面白すぎる。アレックス、着てみればいいじゃないか」
「「え?!」」
予想外の発言に漏れ出た声は想定外にパパと重なった。
その声の主を見ると驚愕と言って差し障りのない顔をしていてこちらが逆に冷静になってしまったが、黙り込んだままのアレックスを見ると放心しているようで焦りが沸き上げてくる。
「ウィルが騎士が好きだと言ったから騎士になるような男だ。
皆も今更アレックスがウィルバートの為にメイド服を着ようが、セーラー服?とやらを着ようが驚きもせんよ」
「さすがに驚くが。少なからず俺は」
パパの言葉に父上は意表をつかれたような顔をしている。
「む?そうか。でもほら、ウィルバートが見たがっているのだし、せっかくなら着てみたらどうだ」
「こらこら、もうその辺にしておけ。レオ、悪癖が出ている」
「はっは!すまない」
楽しげな父上と疲労をにじませた様子のパパ。よく他人からは『ご子息を溺愛し過ぎが故の公爵の様子を見ていると奥方の苦労が伺える』と言われるが、実際の我が家のバーサーカーは父上である。
基本的にはまともであるし、公私をわきまえるので親バカも露呈していないが近くにいると父上の方が変わり者だとわかる。
「ところでウィルはどうしてアレックスにそんな面白い格好をさせようと思ったんだ?」
「面白い?」
「ああ、いや、間違えた。なんだったかな。可愛い。そう、可愛い格好をさせようと思ったんだい?」
面白いとはどういうことなのかとじとりと目を細めた僕に気がついた父上は後付けのように言い直して僕に問いかけてくる。
全く。
面白いなんて失礼な。
アレックス程どんな服でも着こなしてしまうポテンシャルを持っている人間などいないに違いないのに。
「思ったといいますか……。普通のことでは?」
「ふっ…………く、くくくくっ」
「いいかい?ウィル、大半の趣向の人間は常人の2倍程ありそうな太腿や、腕を持ち、シックスパックどころの騒ぎではないごついアルファの男にメイド服を着せようとは思わないんだよ」
「そうなのですか……?パパも似合いそうですが」
王家譲りの華やかな金髪で精悍だがぱっちりと大きな二重を持っているお父様は美形だ。
身体ももちろん大きくてアレックスほどでは無いにしても鍛えていて五十路に近くともかなり筋肉があってかっこいい。
なので間違いなく似合うと思いながら首を傾げた。
「ならば着よう」
「あっはっは!!!ちょ……っと、まってく……しぬ……」
とうとうギブアップと言わんばかりにテーブルを叩いている父上を見ていると我が家が王家に次ぐ権力のある公爵家だとは到底思えなくなってくる。
「にぃに、公爵であるお義父様にメイド服着せようとするのはやめよう。俺が着るから」
「俺、が、着る……!!!」
「自分だけ褒められようとしているな?そうはさせない。
ウィル~♡ウィルが喜ぶならパパはメイド服だって着るよ」
父上の高笑い気味の爆笑を聞きながら二人の大男の間に挟まれて僕は思案する。
話の終着点が分からなくなってしまった。
メイド服の話を広げすぎたかもしれない。
「ごほっ……ごほっ…………あー笑った笑った。
全く君たちは血が繋がっていないのにウィルバートの事になると正気を失うところがそっくりだ」
「正気ですが」
「正気なんだが」
「さぁさ、ダーリン、息子ばかり構っていないで私にも構っておくれ」
「……っああ!!レオ!勿論だ!君が1番だよ。あぁ、いやウィルも愛しているが」
途端に掌を返して父上にメロメロな様子のパパと、それを当然のように受けとって適当に受け流している父上の手腕に驚く。
まるで主人とペットである。
ペットを上手くあしらう主人にも見えるし、はたまたペットに振り回される主人のようにも見えるが、恐らく体感的には前者の方が近い気がする。
父上のおかげで混沌としていた空気が落ち着きを取り戻してきた。
「それにしてもお前は随分特殊な趣味に目覚めたんだなぁ……アルファの番に軍服を着せたいというオメガは多いが、まさかメイド服を求めるなんて」
「軍服……」
それは騎士学校時代から毎日のようにアレックスの騎士服を見ている自分には当たり前の光景すぎるが、確かに騎士服を着ているアレックスは最高にかっこいい。
胸元の張りのある湾曲や、広い肩幅と、しっかりしていてもしなやかに見える男らしいくびれは最高に格好いい。
太ももに回るベルトなんて何故かよく分からないが色気を感じる。
がしかし、仕事は仕事。
国家を守る騎士を邪な目で見てはいけない。
騎士は勇気、礼儀、名誉を重んじる気高く誇り高い、国家の守護神なのだ。
「騎士服は勿論格好いいですが……仕事着ですし、何より清らかであるべきものだと思うのです。
それに男は番にはメイド服着てほしいものだと……聞いたのですが」
その言葉で三人がそれぞれ納得したような表情を浮かべた。
「なるほど……ウィルバートは凄く真っ当に育ったらしい」
「ああ……それほど真っ当だったのに結論がアレックスのメイド服に落ち着くところがなおウィルらしいな。
そんな所も可愛い」
「ふっ……くく……だから、笑わせるな……」
「笑わせていない」
真面目な声音のパパと終始笑いだしそうな様子で堪えているのが伺える父上の声を聞きながらアレックスを見ると、彼は何故だか幼い子を見る様な目でこちらを見ていて、目があった途端取り繕うように愛想良く笑った。
精悍な顔立ちが甘く解れてとても良い。
その笑顔は花丸に可愛いので誤魔化されることにする。
「にぃに」
「どうしたんだい?アレックス?」
今日初めてアレックスの特技【僕を籠絡する甘え声】を発動して呼ばれたものだから瞬間的に満面の笑みを浮かべると身を乗り出して僕の耳元に顔を寄せようとした。
それを察して左耳を差し出すとアレックスの呼吸を感じて咄嗟に動きを止める。
「朝食が終わったら俺のいかがわしくて恥ずかしい格好、見せてあげるね」
「...............なっ!?なな……」
挑発するようにそう囁いて口元に笑みを浮かべるアレックスに顔を真っ赤にして固まってしまう。
アレックスの端正でかっこよくて、でも笑顔を浮かべると、とっても可愛い顔から如何わしいセリフが飛び出してきた。
「あぁ間違えた、お胸の真ん中にハートマークの空いたメイド服、だっけ?……ってさすがに今日用意は難しいか」
「アレックス!にぃにをからかわないの!」
真っ赤になって怒っても説得力はないと分かっていてもしっかりと怒らなければならない時は怒るしかない。
冗談でもそんな如何わしいことを安易に言ったら色んな人に誤解されるかもしれないのに。
外で言わないように教育しなければ。
その使命感だったが、口からついてでたのはそう聞こえない言葉だった。
「ん~?……からかってないよ?」
「か、からかってる!それくらい僕にもわかるんだからね!他の人には言っちゃダメだからね!」
その言葉にアレックスは目を見開いて少々意地悪げな笑顔をうかべる。
最近時々見るその表情に心臓がドギマギする。
「……そう?ああ、そうだ。
俺のオススメは騎士服だけど…そっち見る?
実は騎士服って上着を脱ぐと胸元が........ああ、今は食事中だった」
「……脱ぐと!?脱ぐとなんなの!!」
変な所で話を終わらすものだから妙に気になって問いかけると妙に上擦った声が出て、部屋に響く。
「ウィル?人前で如何わしい話はしないよってパパ教えたよね?!」
「僕じゃありません!アレックスが!」
「子どもみたいなこと言わない!」
ムッとしてアレックスを睨みつけるが等の本人は何処吹く風でベーコンを口に運んでいる。
全く。
僕が甘やかしたせいかアレックスは大人になってもいたずらする悪い子に育ってしまっているらしい。
「……にしても朝からそれ食べてるの?」
「身体が資本だからね」
「サラダにスクランブルエッグにベーコン。それにパスタと…何その大きなステーキ……」
「肉食だからね」
「そりゃあ人間はお肉も食べるけど……」
「美味しく食べるよ」
「ならいいけど……全部食べ切るんだよ?」
「勿論」
僕の顔よりも大きいステーキを美しい所作で切り分け、優美な動作で口に運ぶ。
その完成された貴族としての高貴さに目を奪われた。
「食べないの?」
「え?いや...たべるよ」
視線に気がついたアレックスが小首を傾げ問いかけるのを見て僕は慌ててサラダを口に運んだ。
アレックスはテーブルにあったそれを物の二十分程で食べきって口元を拭い、まだ食事中の僕を見て微笑む。
「ね?余裕だった」
「さすがだね……ちゃんとお腹いっぱいになった?」
「まだ」
「じゃあ追加を……」
「いいんだ。他に食べたいものが俺たちの部屋に戻ればあるから」
「そう?……何かあったかな…」
「あるよ」
自信満々にそう告げるアレックスは、何が楽しいのか朝食を摂る僕をお行儀悪く肘を着いて僕を眺めていた。
END
「あっはっはっはっ!!!!!うぃ、ウィル、私を笑わせているのか!!!
あっ、あれ……ぐっ……あっははっはっは!!!!だめだ……はらが……」
涙を流しながら大きな声で今にも笑い転げそうな父上に悲壮感も怒気も削がれ、意表をつかれ黙り込んだ。
「レオ、俺はウィルバートが何を言っているのか分からない……」
「ぐふっ……うぃ、ウィリアム!お前まで笑わすな!!あはっ……はははははっ!!」
「別に笑わせていないぞ」
「だかっ……はははは!!!」
テーブルに突っ伏して笑い転げていると表現しても問題ない程声を上げて体を震わせている父上を呆然と見つめる。
「にぃには俺のメイド服が見たい……。
俺の…………くっ」
真剣な顔で自身の身体を見下ろしているアレックスに羞恥から俯いて頭を抱える。
「アレックス、いいから忘れて」
「は~……ふっ…ふふ……だめだ、面白すぎる。アレックス、着てみればいいじゃないか」
「「え?!」」
予想外の発言に漏れ出た声は想定外にパパと重なった。
その声の主を見ると驚愕と言って差し障りのない顔をしていてこちらが逆に冷静になってしまったが、黙り込んだままのアレックスを見ると放心しているようで焦りが沸き上げてくる。
「ウィルが騎士が好きだと言ったから騎士になるような男だ。
皆も今更アレックスがウィルバートの為にメイド服を着ようが、セーラー服?とやらを着ようが驚きもせんよ」
「さすがに驚くが。少なからず俺は」
パパの言葉に父上は意表をつかれたような顔をしている。
「む?そうか。でもほら、ウィルバートが見たがっているのだし、せっかくなら着てみたらどうだ」
「こらこら、もうその辺にしておけ。レオ、悪癖が出ている」
「はっは!すまない」
楽しげな父上と疲労をにじませた様子のパパ。よく他人からは『ご子息を溺愛し過ぎが故の公爵の様子を見ていると奥方の苦労が伺える』と言われるが、実際の我が家のバーサーカーは父上である。
基本的にはまともであるし、公私をわきまえるので親バカも露呈していないが近くにいると父上の方が変わり者だとわかる。
「ところでウィルはどうしてアレックスにそんな面白い格好をさせようと思ったんだ?」
「面白い?」
「ああ、いや、間違えた。なんだったかな。可愛い。そう、可愛い格好をさせようと思ったんだい?」
面白いとはどういうことなのかとじとりと目を細めた僕に気がついた父上は後付けのように言い直して僕に問いかけてくる。
全く。
面白いなんて失礼な。
アレックス程どんな服でも着こなしてしまうポテンシャルを持っている人間などいないに違いないのに。
「思ったといいますか……。普通のことでは?」
「ふっ…………く、くくくくっ」
「いいかい?ウィル、大半の趣向の人間は常人の2倍程ありそうな太腿や、腕を持ち、シックスパックどころの騒ぎではないごついアルファの男にメイド服を着せようとは思わないんだよ」
「そうなのですか……?パパも似合いそうですが」
王家譲りの華やかな金髪で精悍だがぱっちりと大きな二重を持っているお父様は美形だ。
身体ももちろん大きくてアレックスほどでは無いにしても鍛えていて五十路に近くともかなり筋肉があってかっこいい。
なので間違いなく似合うと思いながら首を傾げた。
「ならば着よう」
「あっはっは!!!ちょ……っと、まってく……しぬ……」
とうとうギブアップと言わんばかりにテーブルを叩いている父上を見ていると我が家が王家に次ぐ権力のある公爵家だとは到底思えなくなってくる。
「にぃに、公爵であるお義父様にメイド服着せようとするのはやめよう。俺が着るから」
「俺、が、着る……!!!」
「自分だけ褒められようとしているな?そうはさせない。
ウィル~♡ウィルが喜ぶならパパはメイド服だって着るよ」
父上の高笑い気味の爆笑を聞きながら二人の大男の間に挟まれて僕は思案する。
話の終着点が分からなくなってしまった。
メイド服の話を広げすぎたかもしれない。
「ごほっ……ごほっ…………あー笑った笑った。
全く君たちは血が繋がっていないのにウィルバートの事になると正気を失うところがそっくりだ」
「正気ですが」
「正気なんだが」
「さぁさ、ダーリン、息子ばかり構っていないで私にも構っておくれ」
「……っああ!!レオ!勿論だ!君が1番だよ。あぁ、いやウィルも愛しているが」
途端に掌を返して父上にメロメロな様子のパパと、それを当然のように受けとって適当に受け流している父上の手腕に驚く。
まるで主人とペットである。
ペットを上手くあしらう主人にも見えるし、はたまたペットに振り回される主人のようにも見えるが、恐らく体感的には前者の方が近い気がする。
父上のおかげで混沌としていた空気が落ち着きを取り戻してきた。
「それにしてもお前は随分特殊な趣味に目覚めたんだなぁ……アルファの番に軍服を着せたいというオメガは多いが、まさかメイド服を求めるなんて」
「軍服……」
それは騎士学校時代から毎日のようにアレックスの騎士服を見ている自分には当たり前の光景すぎるが、確かに騎士服を着ているアレックスは最高にかっこいい。
胸元の張りのある湾曲や、広い肩幅と、しっかりしていてもしなやかに見える男らしいくびれは最高に格好いい。
太ももに回るベルトなんて何故かよく分からないが色気を感じる。
がしかし、仕事は仕事。
国家を守る騎士を邪な目で見てはいけない。
騎士は勇気、礼儀、名誉を重んじる気高く誇り高い、国家の守護神なのだ。
「騎士服は勿論格好いいですが……仕事着ですし、何より清らかであるべきものだと思うのです。
それに男は番にはメイド服着てほしいものだと……聞いたのですが」
その言葉で三人がそれぞれ納得したような表情を浮かべた。
「なるほど……ウィルバートは凄く真っ当に育ったらしい」
「ああ……それほど真っ当だったのに結論がアレックスのメイド服に落ち着くところがなおウィルらしいな。
そんな所も可愛い」
「ふっ……くく……だから、笑わせるな……」
「笑わせていない」
真面目な声音のパパと終始笑いだしそうな様子で堪えているのが伺える父上の声を聞きながらアレックスを見ると、彼は何故だか幼い子を見る様な目でこちらを見ていて、目があった途端取り繕うように愛想良く笑った。
精悍な顔立ちが甘く解れてとても良い。
その笑顔は花丸に可愛いので誤魔化されることにする。
「にぃに」
「どうしたんだい?アレックス?」
今日初めてアレックスの特技【僕を籠絡する甘え声】を発動して呼ばれたものだから瞬間的に満面の笑みを浮かべると身を乗り出して僕の耳元に顔を寄せようとした。
それを察して左耳を差し出すとアレックスの呼吸を感じて咄嗟に動きを止める。
「朝食が終わったら俺のいかがわしくて恥ずかしい格好、見せてあげるね」
「...............なっ!?なな……」
挑発するようにそう囁いて口元に笑みを浮かべるアレックスに顔を真っ赤にして固まってしまう。
アレックスの端正でかっこよくて、でも笑顔を浮かべると、とっても可愛い顔から如何わしいセリフが飛び出してきた。
「あぁ間違えた、お胸の真ん中にハートマークの空いたメイド服、だっけ?……ってさすがに今日用意は難しいか」
「アレックス!にぃにをからかわないの!」
真っ赤になって怒っても説得力はないと分かっていてもしっかりと怒らなければならない時は怒るしかない。
冗談でもそんな如何わしいことを安易に言ったら色んな人に誤解されるかもしれないのに。
外で言わないように教育しなければ。
その使命感だったが、口からついてでたのはそう聞こえない言葉だった。
「ん~?……からかってないよ?」
「か、からかってる!それくらい僕にもわかるんだからね!他の人には言っちゃダメだからね!」
その言葉にアレックスは目を見開いて少々意地悪げな笑顔をうかべる。
最近時々見るその表情に心臓がドギマギする。
「……そう?ああ、そうだ。
俺のオススメは騎士服だけど…そっち見る?
実は騎士服って上着を脱ぐと胸元が........ああ、今は食事中だった」
「……脱ぐと!?脱ぐとなんなの!!」
変な所で話を終わらすものだから妙に気になって問いかけると妙に上擦った声が出て、部屋に響く。
「ウィル?人前で如何わしい話はしないよってパパ教えたよね?!」
「僕じゃありません!アレックスが!」
「子どもみたいなこと言わない!」
ムッとしてアレックスを睨みつけるが等の本人は何処吹く風でベーコンを口に運んでいる。
全く。
僕が甘やかしたせいかアレックスは大人になってもいたずらする悪い子に育ってしまっているらしい。
「……にしても朝からそれ食べてるの?」
「身体が資本だからね」
「サラダにスクランブルエッグにベーコン。それにパスタと…何その大きなステーキ……」
「肉食だからね」
「そりゃあ人間はお肉も食べるけど……」
「美味しく食べるよ」
「ならいいけど……全部食べ切るんだよ?」
「勿論」
僕の顔よりも大きいステーキを美しい所作で切り分け、優美な動作で口に運ぶ。
その完成された貴族としての高貴さに目を奪われた。
「食べないの?」
「え?いや...たべるよ」
視線に気がついたアレックスが小首を傾げ問いかけるのを見て僕は慌ててサラダを口に運んだ。
アレックスはテーブルにあったそれを物の二十分程で食べきって口元を拭い、まだ食事中の僕を見て微笑む。
「ね?余裕だった」
「さすがだね……ちゃんとお腹いっぱいになった?」
「まだ」
「じゃあ追加を……」
「いいんだ。他に食べたいものが俺たちの部屋に戻ればあるから」
「そう?……何かあったかな…」
「あるよ」
自信満々にそう告げるアレックスは、何が楽しいのか朝食を摂る僕をお行儀悪く肘を着いて僕を眺めていた。
END
273
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
可愛い♥
ブラコンを装う腹黒イケメンがぽやぽやオメガを囲っちゃうんですね♥
番外編…もっと結婚してからの二人を見たかったりします
_|\○_オネガイシヤァァァァァス!!
コメントありがとうございます♡
とんだブラコンの皮を被った狼でしたね……。
近々番外編をあげる予定です。
期待に応えられるかは分かりませんが、見てみてくださいね〜!