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馬車が修道院の門の前に停まる。
「ここ?」
「そうだ」
高い塀に鉄柵の門、中に長方形の建物がいくつか見える。背の高い建物と建物を繋ぐように一階建の建物があり、手前には礼拝堂があるようだ。
「大きな修道院なのね」
ダグラスに手を取られて、雪の道に降りる。
「北方では一番規模の大きい修道院だな」
「ここにマリが…」
門から先には女性しか入る事ができない。
マリこと、マリーナには面会制限が掛かっているので、まずは王宮に勤めていた事のあるシスターを呼び出す。そのシスターには秘密裏にパリヤの遣いが訪れる事を知らせてあるので、こっそりとマリーナを呼び出してくれる手筈になっていると言う。
「じゃあ行って来るわ」
オリビアが両手を握りしめてながら言うと
「ああ。頼む」
とダグラスは笑った。
その時
塀の前に植えられた植え込みから黒い影が飛び出した。
影はオリビアを捉えようとする。
「オリビア!」
が、一瞬早くダグラスがオリビアの手を取って引き寄せた。
「きゃあ」
黒い影は後ろへ飛び去って、剣を構えた。
いつの間にか、ジルとルイが、オリビアの肩を抱いたダグラスと黒い影との間に立っていた。
「諦めの悪い男だな」
剣を構えたジルが言うと、男は
「…いつも邪魔しやがって」
と吐き捨てるように言った。
あの男…あの男が私を拐った…。
ガクガクと震えるオリビアの肩を、ダグラスがグッと強く自身に引き寄せる。
「大丈夫だ」
ダグラスももう一方の手に剣を持っている。ルイも剣を構えていた。
ダグラスの持った剣に太陽の光が反射し、ダグラスに光が当たる。
男が、ハッとすると驚愕の表情を見せた。
「お前…その紫の瞳、まさか…」
ダグラスは剣を地面に刺すと、眼鏡を外し、後ろへ放り投げる。そして、顎を上げて不遜な笑顔を作ると、ゆっくりと言った。
「そうだ。だが残念だったな。オリビアは王太子妃になりたいんだ。つまりは……私の物だ」
ダグラスは男に見せつけるかのように、オリビアを抱き寄せる。
あの男、ダグラスを殿下だと勘違いしているんだわ。
そう悟ったオリビアは、ダグラスに抱き着く。
「殿下…お会いしたかった…」
うっとりとダグラスを見つめた。
「やめろぉぉぉ!」
男が低い声を出し、剣を振り上げて駆け出した。ルイの剣とぶつかる金属音が響く。
「その女はぁ、俺の、獲物だぁぁぁ!」
ルイと剣を交えながら男は叫ぶ。
「俺が、オリビアを縊り殺すんだぁぁ」
震えるオリビアにダグラスが耳打ちする。
「オリビアは門の中まで走れ」
馬鹿力にルイの剣が弾かれる。肩で息をしながら男がダグラスへ向き合った。
ダグラスがオリビアを後ろに庇いながら剣を構える。
「…いや」
呟いたオリビアの側にいつの間にかジルがいた。
「オリビア様、走りますよ」
人一人が通れるくらいの隙間で門が開いている。ジルが開けていたらしい。
ジルに肩を抱えられるようにして走るオリビアの視界の端に剣を交えるダグラスと男が映る。
男は門に入ろうとするオリビアを認めると、ダグラスの剣を擦り抜け、オリビアの方へ向かって来た。
「てめえぇぇぇ!」
ジルはオリビアを押すように門の隙間に押し込むと、自分も滑り込むように門を潜った。
ダグラスが男の後ろから切り掛かり、背中を切られた男が仰け反った所にルイが体当たりをして血飛沫を撒きながら二人が倒れる。
ガシャン!と音を立てて、ジルが門を閉めた。
雪の中に倒れ込んだオリビアは、ダグラスが剣の血を振り払うのを見ながら意識を失った。
「ぐわぁぁ」
ダグラスが男の背中を踏んで抑え込む。
呻く男を横目にルイが立ち上がり、ジルに向かって
「ジルはそのまま、オリビア様と共に」
と言う。ジルは頷くと、意識のないオリビアを抱いて建物へ向かって走って行った。
ダグラスが半ば呆然とその様子を見ていると、ルイは無表情で男に縄を掛けながら言った。
「ジルは女です」
馬車が修道院の門の前に停まる。
「ここ?」
「そうだ」
高い塀に鉄柵の門、中に長方形の建物がいくつか見える。背の高い建物と建物を繋ぐように一階建の建物があり、手前には礼拝堂があるようだ。
「大きな修道院なのね」
ダグラスに手を取られて、雪の道に降りる。
「北方では一番規模の大きい修道院だな」
「ここにマリが…」
門から先には女性しか入る事ができない。
マリこと、マリーナには面会制限が掛かっているので、まずは王宮に勤めていた事のあるシスターを呼び出す。そのシスターには秘密裏にパリヤの遣いが訪れる事を知らせてあるので、こっそりとマリーナを呼び出してくれる手筈になっていると言う。
「じゃあ行って来るわ」
オリビアが両手を握りしめてながら言うと
「ああ。頼む」
とダグラスは笑った。
その時
塀の前に植えられた植え込みから黒い影が飛び出した。
影はオリビアを捉えようとする。
「オリビア!」
が、一瞬早くダグラスがオリビアの手を取って引き寄せた。
「きゃあ」
黒い影は後ろへ飛び去って、剣を構えた。
いつの間にか、ジルとルイが、オリビアの肩を抱いたダグラスと黒い影との間に立っていた。
「諦めの悪い男だな」
剣を構えたジルが言うと、男は
「…いつも邪魔しやがって」
と吐き捨てるように言った。
あの男…あの男が私を拐った…。
ガクガクと震えるオリビアの肩を、ダグラスがグッと強く自身に引き寄せる。
「大丈夫だ」
ダグラスももう一方の手に剣を持っている。ルイも剣を構えていた。
ダグラスの持った剣に太陽の光が反射し、ダグラスに光が当たる。
男が、ハッとすると驚愕の表情を見せた。
「お前…その紫の瞳、まさか…」
ダグラスは剣を地面に刺すと、眼鏡を外し、後ろへ放り投げる。そして、顎を上げて不遜な笑顔を作ると、ゆっくりと言った。
「そうだ。だが残念だったな。オリビアは王太子妃になりたいんだ。つまりは……私の物だ」
ダグラスは男に見せつけるかのように、オリビアを抱き寄せる。
あの男、ダグラスを殿下だと勘違いしているんだわ。
そう悟ったオリビアは、ダグラスに抱き着く。
「殿下…お会いしたかった…」
うっとりとダグラスを見つめた。
「やめろぉぉぉ!」
男が低い声を出し、剣を振り上げて駆け出した。ルイの剣とぶつかる金属音が響く。
「その女はぁ、俺の、獲物だぁぁぁ!」
ルイと剣を交えながら男は叫ぶ。
「俺が、オリビアを縊り殺すんだぁぁ」
震えるオリビアにダグラスが耳打ちする。
「オリビアは門の中まで走れ」
馬鹿力にルイの剣が弾かれる。肩で息をしながら男がダグラスへ向き合った。
ダグラスがオリビアを後ろに庇いながら剣を構える。
「…いや」
呟いたオリビアの側にいつの間にかジルがいた。
「オリビア様、走りますよ」
人一人が通れるくらいの隙間で門が開いている。ジルが開けていたらしい。
ジルに肩を抱えられるようにして走るオリビアの視界の端に剣を交えるダグラスと男が映る。
男は門に入ろうとするオリビアを認めると、ダグラスの剣を擦り抜け、オリビアの方へ向かって来た。
「てめえぇぇぇ!」
ジルはオリビアを押すように門の隙間に押し込むと、自分も滑り込むように門を潜った。
ダグラスが男の後ろから切り掛かり、背中を切られた男が仰け反った所にルイが体当たりをして血飛沫を撒きながら二人が倒れる。
ガシャン!と音を立てて、ジルが門を閉めた。
雪の中に倒れ込んだオリビアは、ダグラスが剣の血を振り払うのを見ながら意識を失った。
「ぐわぁぁ」
ダグラスが男の背中を踏んで抑え込む。
呻く男を横目にルイが立ち上がり、ジルに向かって
「ジルはそのまま、オリビア様と共に」
と言う。ジルは頷くと、意識のないオリビアを抱いて建物へ向かって走って行った。
ダグラスが半ば呆然とその様子を見ていると、ルイは無表情で男に縄を掛けながら言った。
「ジルは女です」
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