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番外編 5
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5
リリアの泣き腫らした顔を誰にも見せたくなくて、ハリジュは薬学研究所の来客室へリリアを招き入れた。
リリアは泣き止んだが、まだ赤い眼をしてハリジュの淹れた紅茶を一口飲む。
「殿下は」
「名前で呼んで」
そう言うと、リリアは少し頬を赤くする。
「…ハリジュ様は先程、私の事『そういう眼で見られない』っておっしゃられてましたよね」
「ちょっと意味が違うな。『そういう眼で見る事はできない』って言ったんだよ。ああ、畏まった話し方しなくて良いよ」
「意味が…?違うんですか?」
リリアは小首を傾げる。
「いつかのお茶会で、セルダが通った所をじっと見ていたろう?だから、リリアはまだセルダを好きなんだろうと思ったんだ。リリアが私に懐いているのはセルダと顔立ちが似ているからで恋愛感情などじゃないんだろうし、だから…リリアがセルダとまた婚約するのなら、私がリリアをそういう眼で見てはいけないな。と、思っていたんだ」
「…あの時は『リネットは良いなあ』と思って見てました。それはセルダ殿下に愛されたい訳じゃなく、ただ誰かに一途に愛されて…それが羨ましいなあって」
リリアは俯く。
「それに、セルダ殿下とハリジュでんっ、あの、ハリジュ様は似てませんよ」
「そうかな?」
「私は似ていると思った事はありません。それに私は…あの…ハリジュ様が、好き…なんです…よ」
俯いたまま語尾が段々小さくなる。ハリジュはリリアの俯いた頬や、耳が赤くなるのが見えて微笑む。
「先に言わせてごめんね。…私もリリアが好きだよ」
「はいはいはいはい。上手く話がまとまったようで何よりですが、殿下!棚卸しに戻ってくださ~い」
リリアが赤くなった顔をパッと上げ、ハリジュと目が合った所で来客室へダドリーが入って来る。
「えっあの、聞いて…?」
リリアが赤くなった頬を両手で抑える。ハリジュはガックリと膝に手を突いた。
「ダドリー…せめてあと五分…」
「殿下、色呆けするなら仕事終わってからにしてください!ってゆーか、羨ましいので邪魔します!」
ダドリーは腰に手を当てて言い切った。
-----
「セドリック殿が妹を溺愛する気持ちがわかるな…」
王宮のハリジュの自室の厨房で、ハリジュは自作のクロテッド・クリームとブルーベリージャム、スコーンを皿に並べながらながら呟いた。
「ハリジュ様!?」
ポットにティーコゼーを掛け、砂時計を返したリリアが驚いてハリジュを見る。
「セドリック殿とリリアが言い争ってるとヒマラヤンとペルシャが喧嘩しているみたいだよね」
ハリジュはそう言いながらスコーンの乗ったお皿をワゴンに置く。
「子供扱いの次は猫扱いですか?」
リリアが紅茶のカップを準備しながらハリジュを軽く睨む。
「ふふふ。今日は天気も良いし、テラスでお茶にしよう」
「…まあ子供扱いでも猫扱いでも良いですが…妹扱いだけはやめてくださいね」
リリアがワゴンにシュガーポットを置きながら「兄は一人で充分です」と言うと、ハリジュが後ろからリリアの腰に手を回す。ハリジュの背が高いのでリリアをすっぽり抱き込む形になる。
「ハリジュ様!?」
リリアが赤くなりながらハリジュを見上げるように振り向くと、ハリジュはリリアの額にキスをする。
「妹とは結婚できないものね」
テラスのテーブルでリリアは紅茶を一口飲むと「渋い…」と呟いた。
「スコーンにジャムをたっぷり付ければちょうど良いよ」
ハリジュが言うと、リリアはハリジュを軽く睨んでから顔を背ける。
「ハリジュ様が離してくれないから時間が経ちすぎたんですよ。折角リネットに習って美味しい紅茶を淹れる練習してるのに」
「それはすまない。でも、リリアがかわいいから仕方ない」
ハリジュが真顔で言うと顔を赤くしながら「もう」と言う。
「リネット嬢と言えば、セドリック殿とリネット嬢はまだ結婚しないの?」
「地方へ学校を作るお話が何個も重なっているみたいで、兄様が忙し過ぎるらしいです」
「…このままじゃ、私たちの方が先に結婚しそうだね」
ハリジュがテーブルに肘を着き、頬に手を当ててリリアを見る。また赤くなるリリアがかわいい。
「春から4年生だね。リリアが卒業したらすぐに結婚できるように、これから色々と段取りをしないとね」
ハリジュは楽しそうに笑った。
ハリジュとリリアが婚約して二年が経つ。
その間に、セルダと少し遠い国の王女との婚約が整い、準備期間を経てこの夏前には婚礼の儀が行われることとなっていた。
セルダは「王女と一緒に『真実の愛』を築いていく」と言っている。仲は良好だ。
ちなみにリリア曰く「ジャグリングのボールの素材はメイドのエプロンの生地が一番」らしく、今では四個同時に投げられるようになったそうだ。
ーーFin
リリアの泣き腫らした顔を誰にも見せたくなくて、ハリジュは薬学研究所の来客室へリリアを招き入れた。
リリアは泣き止んだが、まだ赤い眼をしてハリジュの淹れた紅茶を一口飲む。
「殿下は」
「名前で呼んで」
そう言うと、リリアは少し頬を赤くする。
「…ハリジュ様は先程、私の事『そういう眼で見られない』っておっしゃられてましたよね」
「ちょっと意味が違うな。『そういう眼で見る事はできない』って言ったんだよ。ああ、畏まった話し方しなくて良いよ」
「意味が…?違うんですか?」
リリアは小首を傾げる。
「いつかのお茶会で、セルダが通った所をじっと見ていたろう?だから、リリアはまだセルダを好きなんだろうと思ったんだ。リリアが私に懐いているのはセルダと顔立ちが似ているからで恋愛感情などじゃないんだろうし、だから…リリアがセルダとまた婚約するのなら、私がリリアをそういう眼で見てはいけないな。と、思っていたんだ」
「…あの時は『リネットは良いなあ』と思って見てました。それはセルダ殿下に愛されたい訳じゃなく、ただ誰かに一途に愛されて…それが羨ましいなあって」
リリアは俯く。
「それに、セルダ殿下とハリジュでんっ、あの、ハリジュ様は似てませんよ」
「そうかな?」
「私は似ていると思った事はありません。それに私は…あの…ハリジュ様が、好き…なんです…よ」
俯いたまま語尾が段々小さくなる。ハリジュはリリアの俯いた頬や、耳が赤くなるのが見えて微笑む。
「先に言わせてごめんね。…私もリリアが好きだよ」
「はいはいはいはい。上手く話がまとまったようで何よりですが、殿下!棚卸しに戻ってくださ~い」
リリアが赤くなった顔をパッと上げ、ハリジュと目が合った所で来客室へダドリーが入って来る。
「えっあの、聞いて…?」
リリアが赤くなった頬を両手で抑える。ハリジュはガックリと膝に手を突いた。
「ダドリー…せめてあと五分…」
「殿下、色呆けするなら仕事終わってからにしてください!ってゆーか、羨ましいので邪魔します!」
ダドリーは腰に手を当てて言い切った。
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「セドリック殿が妹を溺愛する気持ちがわかるな…」
王宮のハリジュの自室の厨房で、ハリジュは自作のクロテッド・クリームとブルーベリージャム、スコーンを皿に並べながらながら呟いた。
「ハリジュ様!?」
ポットにティーコゼーを掛け、砂時計を返したリリアが驚いてハリジュを見る。
「セドリック殿とリリアが言い争ってるとヒマラヤンとペルシャが喧嘩しているみたいだよね」
ハリジュはそう言いながらスコーンの乗ったお皿をワゴンに置く。
「子供扱いの次は猫扱いですか?」
リリアが紅茶のカップを準備しながらハリジュを軽く睨む。
「ふふふ。今日は天気も良いし、テラスでお茶にしよう」
「…まあ子供扱いでも猫扱いでも良いですが…妹扱いだけはやめてくださいね」
リリアがワゴンにシュガーポットを置きながら「兄は一人で充分です」と言うと、ハリジュが後ろからリリアの腰に手を回す。ハリジュの背が高いのでリリアをすっぽり抱き込む形になる。
「ハリジュ様!?」
リリアが赤くなりながらハリジュを見上げるように振り向くと、ハリジュはリリアの額にキスをする。
「妹とは結婚できないものね」
テラスのテーブルでリリアは紅茶を一口飲むと「渋い…」と呟いた。
「スコーンにジャムをたっぷり付ければちょうど良いよ」
ハリジュが言うと、リリアはハリジュを軽く睨んでから顔を背ける。
「ハリジュ様が離してくれないから時間が経ちすぎたんですよ。折角リネットに習って美味しい紅茶を淹れる練習してるのに」
「それはすまない。でも、リリアがかわいいから仕方ない」
ハリジュが真顔で言うと顔を赤くしながら「もう」と言う。
「リネット嬢と言えば、セドリック殿とリネット嬢はまだ結婚しないの?」
「地方へ学校を作るお話が何個も重なっているみたいで、兄様が忙し過ぎるらしいです」
「…このままじゃ、私たちの方が先に結婚しそうだね」
ハリジュがテーブルに肘を着き、頬に手を当ててリリアを見る。また赤くなるリリアがかわいい。
「春から4年生だね。リリアが卒業したらすぐに結婚できるように、これから色々と段取りをしないとね」
ハリジュは楽しそうに笑った。
ハリジュとリリアが婚約して二年が経つ。
その間に、セルダと少し遠い国の王女との婚約が整い、準備期間を経てこの夏前には婚礼の儀が行われることとなっていた。
セルダは「王女と一緒に『真実の愛』を築いていく」と言っている。仲は良好だ。
ちなみにリリア曰く「ジャグリングのボールの素材はメイドのエプロンの生地が一番」らしく、今では四個同時に投げられるようになったそうだ。
ーーFin
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