物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

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物理系魔法少女、成長してない

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 「おはよう星夜さん」

 ボロい室内、ボロい布団⋯⋯穴が空いている。

 窓から見える景色も普段と何ら変わりない。

 そりゃあそうだろう。引っ越した訳では無い。

 故に、同棲というのをしている訳では決して、無いのだ。

 110。

 『こちら警察です。どうなさいましたか?』

 「家に最愛の人が居るんですけど、夢ですかね?」

 ツーツー、切られた。

 そっか。これは現実なのか。

 鍵は⋯⋯うん。ちゃんと机の上に置いてある。

 紗奈ちゃんを玄関まで見送りしたら、すぐに鍵を閉めている。

 鍵を盗まれた訳でもないし、鍵を閉め忘れた訳でも無いはずだ。

 「⋯⋯なぁ紗奈ちゃん」

 「はい?」

 「俺は合鍵を作った覚えが無いんだよ。不思議だとは思わないか?」

 「何がですか? それにしても、最愛の人って。えへへ」

 そうくねくねされるとね⋯⋯揺れているんっすよ。

 ふぅ。だいぶ眠気も収まったな。

 「それでね紗奈ちゃん。どうして俺の家に居るのかな?」

 「簡単な話だよ。合鍵を作ったのさ」

 親指を上げてドヤ顔を披露⋯⋯可愛い。じゃない!

 「それ、氷だよね?」

 「はい?」

 そんな当たり前って顔をしないでいただけますか?

 紗奈ちゃんの魔法の汎用性が高すぎる。

 つーか、いつやったし。

 「それ、犯罪じゃない?」

 「星夜さん。⋯⋯バレなきゃ犯罪じゃ無いんですよ」

 「⋯⋯まぁ、俺が許可をしたって事で」

 紗奈ちゃんの美味しい朝ごはんを食べて、ギルドに向かう。

 昨日の分も含めて、そこそこの金は貯まった。

 「明日は休みだよね?」

 「はい」

 「そっか。俺は明日布団を買ってくるよ」

 「もちろん一緒だよね? 拒否権は無いから。⋯⋯と言うか、結婚目標資金とか同棲のためのお金とか、ちゃんと考えてるよね? 星夜さんのわがままをこっちは聞いているんだよ?」

 「分かってるよ。あそこまで言わせて⋯⋯逃げないって決めたからね。⋯⋯でもさ、やっぱりこの年であの布団はきついんだよ」

 「⋯⋯分かった。一緒ならどこでも行くよ」

 紗奈ちゃんの笑顔が一番可愛い。

 ちなみに今日は配信する予定だ。あと数日で審査結果が来る。

 広告が付けれるようになれば、収益の効率が上がる。その代わりに動画を頑張らないといけない。

 俺って結構配信サボってるからね。頑張らんとならん。

 「それじゃ星夜さん。また」

 「うん。行ってら」

 さて、紗奈ちゃんが受付に来るまでに、俺はショップでも見てこようかな。

 別に買う訳じゃない。むしろ今日の動画には武器は要らん。

 防具は無駄だしね。変身しちゃうから。

 今回見るのはポーション類だ。

 「粉砕した骨とかも治ってたしな」

 ミズノのアレを見てしまったら、かなり欲しくなってしまう。それに俺はアンデッドに好かれてるからな。

 その対抗策として欲しい。

 アンデッド特攻の武器は⋯⋯と言うか何かしらの能力持ちの武器は高額なので手が出せん。

 「ポーションにお困りなら、こちらの復活液がオススメですよ」

 出たな煽りロリ職員。

 どこにでも居るのかね?

 「⋯⋯え、今凄い事さらって言ってません? そんな代物知りませんけど」

 「そりゃあ極秘の富裕層向けに直々に用意している特注品だからね」

 ⋯⋯何故俺に?

 「⋯⋯参考までにいくらですか?」

 「10億」

 ポーションポーチと下級回復薬を二つ購入した。

 リュックの中に入れておく。

 「おーい、無視するなー」

 「億って、探索者でそこまで稼げる人いるんですか?」

 「レベル7の人は大抵そのくらい稼いでいるし⋯⋯クランマスターもそのくらいはね。⋯⋯知っている中では120人くらい?」

 「夢のある職業な事で」

 「そのうちの二割は死んじゃったけど」

 「殺伐な職業な事で」

 「元々紗奈ちゃんもその一人だよ」

 「最愛の人が敬愛の人になりそうな発言をどうもありがとう」

 「反射的に答えてる?」

 一階に降りたら、彼女は消えていた。

 紗奈ちゃんの受付に行くと、顔を赤らめていた。

 「どったの?」

 「あ、いえ! べ、別に、し、しし、支部長に催眠薬とか、貰ってませんから!」

 「おい待てなんだその不吉な予感を漂わせる内容は!」

 ごほん、と話を流すような咳払いをされてどこに行くかを聞かれる。

 「古代の庭って言うダンジョン」

 「レベル2推奨のダンジョンですね。そこは中立の魔物も居るので、きちんとしてくださいね」

 「分かってるよ」

 ゲートを通り、ダンジョンの中に入る。

 長く細い木が多く、大きな恐竜として有名なブロントサウルスが目に入る。

 ダンジョンってよりも過去にタイムスリップして来た感覚になる『古代の庭』ダンジョン。

 難易度的には中レベルとソロではそこそこ危険であり、恐竜関連を研究する人や観光としても扱われる珍しいダンジョンだ。

 そのため開拓の進んだエリアがあり、レベル5を平均とした自衛隊が警備する、『安全地帯』が存在する。

 ゲート付近にいる自衛隊も最低レベル3だと聞く。

 少し離れて、カメラを動かしてスマホの設定をする。

 「ふっ。俺も成長したモノだ。最初の配信以降、あんな恥さらしのうっかりはしていない」

 前回と同じ流れで設定をしていく。

 まずは今日のタイトルコールだな。

 これは編集してドドーンっ的な何かを付けたいと思い、録画だ。

 「今日は、俺がツルハシを使ったらどうなるのか、検証してみたいと思います! 本気で振るっちゃうと武器が壊れるんですが、ご安心を! こちらご愛用のご都合ステッキなら問題ありません!」

 それじゃ、やってみるか。

 俺の全力のスイミングに突起物のある武器。これは最高のシナジーを発揮するのでは無いだろうか?

 突く攻撃はしっかりと反映される。斬る攻撃も反映して欲しいぜ。

 「⋯⋯台本作ってくるべきだったな。これじゃ説明口調過ぎるし⋯⋯もう少し考えるか」

 それから五分ほど、タイトル説明を試行錯誤していた。



 『本編まだ?』
 『ゲリラライブ?』
 『二度目のうっかりは詐欺と思いたい』

 『思いたいw』
 『アカツキちゃん分かりやすくって良いよね~今日は検証動画の撮影か』
 『ノーカットの映像をリアルタイムで見れるって最高かよ』

 『これは⋯⋯なんなのだ』
 『二度目はうっかりじゃなくて狙ってんのよ⋯⋯だから本編始めようよ。録画前提で動くんじゃありません』
 『成長したと思ったか。油断している時に最悪な敵が現れるモノだろ!』
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