物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

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人気受付嬢、アメリカ出張その4

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 「人間よ、我に平伏しろ」

 私は無言で氷龍を振り下ろす。

 私が振るった刃はその先に氷の断崖ができる。

 しかし、相手は空を飛ぶのでそんなのは全く意味がない。

 それにスピードもとても速い。

 「危ないっ」

 「ほう。防ぐか」

 爪の突き刺しを刀で防ぎ、その隙に彼女が攻撃をしかける。

 二人が一瞬で移動した先で連撃の打ち合いが始まった。互いに両手と二刀流。

 弾け飛ぶ火花はまるで花火だ。

 「あのアメリカの人達全員引かせて正解だったな」

 本当に連携が取れなくて、危なくなるところだった。

 心を落ち着かせて、刀に集中し、何も無い虚空に振り下ろす。

 私の斬撃は空間を凍らせながら刃を形成し、ドラゴンに直接命中する。

 「なんだ!」

 「余所見は禁物だよ! 加速」

 彼女の魔法は身体能力の強化じゃない。動きの時間を加速させているのだ。

 スピードが上がった様に見えるだけ。

 「くだらぬ」

 口からブレスを放つ。瞬間転移で避ける。

 「ふんっ!」

 凍った腕に力を込めて、私の氷を砕いた。

 「やっぱりさ、私の亜空切断パクるの辞めてくれない? 本部長に空間魔法のエキスパートと言われた私が泣くよ?」

 「それは良いね。今後は多用するよ」

 「我を前に口喧嘩とは、人間がっ!」

 大量の魔力弾が飛んで来る。

 地面に手を触れて氷の壁を作り出す。

 「分厚いが、背後ががら空きだ!」

 「私が居るっての!」

 背後に瞬間的に移動して攻撃をするが、彼女が防いでくれる。

 脇を通して相手に刃を突き立てる。

 「空に飛ぶの卑怯でしょ!」

 「私の魔法で空間をねじ曲げれば⋯⋯いや、止めておこう。逆利用されそう」

 そうか。なら止めておこう。

 足場を作る余裕は無いし、⋯⋯しかたない。

 私も飛ぶか。

 「服が破けるから嫌なんだよな」

 私の背中から氷の翼が生える。

 別に魔法を利用して翼が作れない訳では無い。飛べない訳では無いのだ。

 ただ面倒だし不便だし邪魔なので、普段は足場を作って移動している。

 「ほう。我のスピードについて来れるか?」

 「私、そんなに速く無いしっ!」

 私が空間を凍らせて広げていく。彼女が広がった氷を使ってドラゴンに攻撃をする。

 同タイミングで私も攻める。

 「ふんっ!」

 爪で防がれる。

 「爪で、私の攻撃が止められるかあああああ!」

 爪ごと凍らせて砕き散る。

 「これは危険だな」

 彼女を蹴ろうとしたが転移で回避、私に近距離で魔法が飛んで来ようとするので、魔法陣を凍らせた。

 「ッ!」

 次にブレスが来るので、放たれる前に凍らせた。

 「一秒の時間で凍らせるのだな」

 「分かったところで!」

 私の氷を溶かせるくらいの体温を常に溜まって来るのが嫌になる。

 高速の死闘を体感三時間行った。

 実際の時間は三分程度だろう。

 「中々に粘るな」

 「クソクソ! 今日中に帰りたいのに!」

 「ちょ、紗奈落ち着いて」

 ネックレスの宝石が視界に入る。

 あ、彼女の亜空間に入れてもらうの忘れていた。

 貰ってから、ずっと身につけているのだ。

 風呂の時も寝る時も⋯⋯ずっと星夜さんと一緒だから。

 「大丈夫だよ。今日の晩御飯は絶対に作るから?」

 「おーい紗奈。自分の世界に入るなー」

 おっといけない。

 あ、なんか凄い魔法を使いそうだ。凍らせるのも間に合わないか。

 「消え去れ、龍帝爆殺砲ドラゴンノバ!

 巨大なブレス⋯⋯と言うか魔法か。

 「紗奈、あの魔法を一旦上に上げるよ!」

 空間を曲げて魔法を上に行かせようとする⋯⋯だが、彼女の魔法を貫通して迫って来る。

 厄介な。

 「一旦時間止めて!」

 「了解。時間停止クロノス

 時間停止空間では本来使用者しか動けない。例外として同じ魔法を使える存在だ。

 だが、私もやろうと思えばこの世界には介入できる⋯⋯ぶっ壊してしまうけど。

 だから数秒だけしか私はこの世界を使えない。

 「でも充分、凍結世界ニヴルヘイム!」

 魔法を全て凍らせる。

 「ちょ、もう二秒しか持たないよ!」

 「せめて三秒!」

 「残念だが、貴様は終わりだ」

 「「ッ!」」

 なんでドラゴンがこの世界で動けているの?

 「我に時間操作の魔法がないと思ったか?」

 私の胸に奴の爪が突き刺さる。

 時間停止の世界が砕け、ドラゴンの放った魔法も消失した。

 私の腹を貫く手。背中まできちんと貫通している。

 「これで終わりだな」

 「⋯⋯プレゼントが」

 「ん?」

 「星夜さんが初めてくれたアクセサリーのプレゼントがあああ!」

 ダメだ。もう良いや。

 ダンジョン? 他国の資産?

 知らない。もう良い。どうでも良い。

 全部凍らせて終わらせる。その後はまぁ、支部長に怒られる程度だろう。

 「紗奈がブチ切れた。逃げよ」

 近場に私達だけが残る。逃がさないように手を両手でがっしり捕まえる。

 「もう怒ったかんな? 許さないかんな?」

 私は『限界突破』のスキルを発動させ、凍らせていたスキルを発動させた。

 凍らせたスキルはステータスカードにすら表記されない。

 私の背後にでかい紋章が浮かび上がり、髪の毛が自分の身長よりも長くなる。

 「な、なんだ⋯⋯この魔力は」

 「『限界突破』はアクティブスキルでもありパッシブスキルでもあるんだよ。限界が無くなった私の魔力が食っちゃ寝するだけで無限に増えるんだ」

 その結果が今の私だよ。

 さぁ、人間の紗奈としての本気は終わりだ。

 今からは、氷の魔神として相手してやるよ⋯⋯数秒で終わると思うがな。

 「さぁ冥府といざなおう」

 ◆

 「ひぇ。紗奈が怒った。自分の腹貫かれたよりも、プレゼント壊された方がキレるって頭おかしいんじゃないの?」

 本部長の秘書さんは皆の元に転移した。出入口の目の前なので、ドラゴンは目に入らない。

 レベル9の強さ故か、回復魔法があまり効いてないようで、治りが遅い。

 「まぁ良いや。ダンジョンから逃げますよ~」

 「待ってくれ、核兵器が⋯⋯」

 アメリカ政府の発言に唾をかけそうになってしまう。

 「しかたない。⋯⋯目覚めろ龍の心臓ドラゴンハート

 ドラゴンのような鱗が身体中にでき、翼が生える。顔や体格、節々さえドラゴンに寄って行く。

 「ば⋯⋯」

 「黙れ」

 殺意により一括して、魔法を展開する。

 「空間転移エリアテレポーテーション

 兵器ごと、全ての人員を陸地に転移させた。

 すぐに人型に戻る。そして倒れる。

 「酔った⋯⋯転移酔い。気持ち悪い」

 「だ、大丈夫か?」

 「ごめんなさいね。レベル9の人達に集まってもらったのに、日本人ばかりでしゃばっちゃって」

 「あ、いや」

 「別に私だってね。本当はアナタ達の事弱いとか思ってないんだよ。もしろ強いって普通に思ってるし! ただ周りが化け物集団でさぁ。なんだよユニークスキルってさ、もっと平等にしろー!」

 「あ、あのー」

 それから秘書さんはグチグチと文句を言い続けた。

 凍り始めた海を背に。

 (これは今日中に帰れないな。帰ろうかな? 助けて本部長)

 「無理」

 日本人の助っ人の一人が小さくそう呟いた。
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