物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

文字の大きさ
175 / 179

物理系魔法少女、変わらぬ結果

しおりを挟む
 シロエさんに向かってバットを振り下ろす一瞬、空間が僅かにだが歪んだ。

 現れたミカエルが手を伸ばすと、俺の攻撃は完璧に弾かれた。

 「なんだ、それっ!」

 一瞬で出て来て、ただ手を伸ばしただけだと言うのに、俺の攻撃を完璧に弾きやがった。

 そんな事が可能なのか? いや、今は関係ない。

 「どうしてお前が出張って来るんだ!」

 怒りのままに叫ぶ。

 それに警戒する様子も怯む様子もなく、ただ事実と言わんばかりにミカエルは言葉を出す。

 「不穏分子の処分に来た。早急に処分するべきだと判断したのだ」

 「ミカエル様。ここはわたくしにおまかせ⋯⋯」

 「あくまで手助けだ。確実に処分する」

 「⋯⋯分かりましたわ。それでは、助力お願いします」

 厄介な相手に凶悪な相手が合わさってしまった。

 だけど俺に引く選択肢なんてない。

 クロエさんを自分の都合の良い状態になるまでリセットする? その工程のために何回もクロエさんを殺してる。

 殺しては食ってを繰り返している、双子の姉をだ。

 そんなシロエさんは歪んでいる。

 「どんな道理であれ、殺人は許容できない。ミカエル、お前だけは⋯⋯天使全てを俺は否定する」

 「くだらんな」

 ミカエルがゆっくりと俺に向かって歩いて来た。

 対して俺は全力で走る。

 一撃に感情を乗せて、殺意と怒りで気持ち的に増したスイングをお見舞する。

 天使はそれを躱す事はせず、手で受け流そうとする。

 「うがっ」

 違った。

 受け流すのではなく弾いたのだ。

 その衝撃が全身に周り、麻痺った感覚に陥る。

 その一瞬の隙を許してはくれない。

 間髪入れずに繰り出される追撃の一手。

 腹にミカエルの手のひらが触れるだけで、俺は面白いように吹き飛んだ。

 その先上空に広がる白い魔法陣から雨のような闇の槍が落ちて来る。

 「くっそ」

 バックステップで回避する。

 「苦しみを得た子供を自分達の都合で道具のように利用する。俺はそんなやり方を否定する。だからお前を、一発殴る!」

 「この世界は腐っている。全てをやり直さなければ修復は不可能だ。そのための礎だと思え」

 「思えるか! 人間は短い人生の中で一人一人が生きているんだ! 天使の役目のために差し出せってのがおかしいんだよ!」

 「くだらんな。その怒りがあるなら、そんな道具は使わずに拳でかかって来たらどうだ? 喧嘩と言うのはそうだろう?」

 なんか挑発に聞こえなくもないが、腹が立っているのは事実だし、殴りたいのもその通りだ。

 だから俺はステッキに見た目を戻して、懐にしまった。

 「行くぞ!」

 俺は地面を強く蹴った。加速した拳をミカエルに伸ばす。

 対してミカエルも俺に向かって拳を突き出す。

 ああ、一緒だ。

 前の時と同じ展開。前は俺が一方的に吹き飛ばされてボロボロになっただけだ。

 だけど、今の俺はレベルアップしてスキルのレベルも上がっている。

 「くらえやああああ!」

 さすがに一方的な戦いにはならないだろう。

 そう思った。

 「がああああ!」

 俺は一方的に吹き飛ばされた。

 相手には一切のダメージが入っておらず、俺にだけダメージが存在する。

 パンチの技術なのかなんなのか。

 殴るために突き出した右手が肩までボロボロになってしまった。

 血を流しながらも、歯を食いしばり立ち上がる。

 「あらあら。これはもう終わりでしょうね」

 シロエさんから変幻自在の闇の刃が伸びて来る。

 それを左手と蹴りを利用したがら破壊し、ミカエルの魔法を紙一重で回避する。

 直線的な光の魔法攻撃。単純だが火力と速度が高い。

 だけど、魔法陣を展開する動作があるために、回避は可能だ。

 「なんだこの違和感は」

 前と全く同じように俺だけ吹き飛ばされた。

 相手の殴る力はそんなに強いのかと、その時は思ったが今はそれに違和感を感じる。

 俺はレベルが上がって数値的には強くなっているはずなのだ。

 だと言うのに、全く同じ展開に⋯⋯それがおかしいんだ。

 なんで全く同じ展開になるんだ。

 相手の強さが変わった感じはしない。

 前は手加減していたって事も無いだろう。

 ならばなぜ、前と全く持って同じ結果になるのだろうか?

 「ああ、なるほど」

 わかったぞカラクリが。

 俺が強くなったけど、同じようなダメージを受けた理由が。

 攻撃が高くなった分、防御も強くなる。

 そして、ミカエルがパンチを繰り出すから力で負けたのかと錯覚していた。

 「物理攻撃反射をパンチに合わせていたんだな。殴って来いと挑発したのも、この状態に持ち込ませるため」

 バットを手のひらで弾かれた時の衝撃も、今考えたら物理攻撃反射だったのだろう。

 くっそ。厄介な力を持ってやがる。

 「分かったからなんだと言うのだ」

 「そうですわね」

 「分かったら、対策ができんだよ!」

 俺は足で地面を抉るように蹴り飛ばし、地面のブロックがミカエルに飛ぶ。

 ミカエルが魔法で砕こうとする前にシロエさんが魔法で破壊した。

 「反射攻撃への対策は知っておりますわよ?」

 「ああ、そうかい」

 だったら、俺は前に進む。

 ミカエルは大量の魔法陣を顕現して魔法を放つ。俺はステッキを鉄板にしてそれを防ぐ。

 シロエさんも魔法を飛ばすが、それは蹴りで破壊する。

 「また目の前に迫って来たぜ」

 「だからどうしたと言うのだ」

 俺とミカエルは同時に拳を伸ばす。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...