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激おこ……?
しおりを挟むぽーっと涼真を見あげた遥斗は、うっとりしてしまって、りょーくんが激おこっぽいことに、しばらく経ってから気づいた。
いつも無口で表情が動かないからわかりにくいけれど、たぶんこれ、危険な激おこだ……!
あわあわ遥斗は、涼真の腕に囲まれたなか、涼真の香りとぬくもりに包まれて、きゅんきゅんしてしまう胸で夜空の瞳を見あげる。
「あ、あの、りょーくん、かっこいー……♡……じゃなかった! え、えと、えと、あの……」
オンライン小説を読んでるって言う? 正直に?
嘘をつく?
だいすきな、りょーくんに?
そんなの絶対、絶対だめ──!
「あ、あの、最近、オンラインで小説を読むのに、はまっちゃって……」
もごもご打ち明けたら、涼真の瞳がまるくなる。
「……どれ?」
壁ドンのまま、スマホをのぞきこむ涼真の、かっこよすぎる顔が、近い近い近い──!
きゃ──ぁ──あ──!
くねくねしそうになった遥斗は、あわあわ燃える頬でアプリのアイコンを見せた。
「こ、これ」
夜空の瞳が、瞬いた。
「……何、読んでる?」
りょーくんに、嘘はつきたくない。
でも幼なじみが終わっちゃうのは、もっとダメ──!
とてもとても後ろめたい、さみしい気もちで、遥斗はそうっと口を開く。
「ふ、ふぁんた、じー……」
「ああ」
納得したように涼真はうなずいた。
うそつきをごまかすみたいに、遥斗の口はほんとうを連ねる。
「か、感想を書いたらね、返信してくれたの! それがうれしくて、返信してくれたかな、お話、更新してくれたかなって、ついスマホを見ちゃうようになって……ごめんね。せっかくりょーくんと一緒に帰ってるのに」
ちょっとうつむいた涼真は、首をふった。
夜空の髪が、遥斗の頬をなでるように、さらさら揺れる。
うっとりしかけた遥斗は、息をのむ。
わかりにくいけれど、涼真はしょんぼりしているみたいだった。
な、なんてこと……!
だいすきな、だいすきなりょーくんを、遥斗がしょんぼりさせてしまうだなんて……!
電車に乗る前、乗ってる間にちょこっと、信号待ち、とか、時々開くくらいで、そんなに見ていたと思っていなかったのだけれど、スマホばっかり気にしてるように見えたかも!
せっかく一緒に登下校しているのに、そんな相手といっしょなら、いやな気もちになるに決まっている!
「ほ、ほんとに、ほんとにごめんなさい……!
なんか夢中になっちゃってて、これからはもう見ないようにするから!」
泣きそうになる遥斗の手をにぎって、涼真はこくりとうなずいてくれた。
壁についていた涼真の腕が、離れてゆく。
涼真のぬくもりが、離れてゆく。
わずかにうつむいたままの涼真から、さみしさが香りたつようだった。
だいすきなりょーくんを傷つけてしまった自分が情けなくて、涙がにじむ。
ぎゅうっと唇を噛んだ遥斗は、涼真の手をにぎる。
ぎゅうぎゅう、にぎる。
「ごめんね、りょーくん。
僕、あんぽんたんだった」
涼真は首をふった。
遥斗の手を、握りかえしてくれた。
それでも涼真の髪が、しょんもりしていること、幼なじみ歴10年の遥斗にはわかってしまう……!
涼真といる時間が、遥斗にとって、一番たいせつで、かけがえのない時間なのに。
自分でぶち壊してしまうだなんて、最低だ……!
涙目で猛省した遥斗は決意した。
オンライン小説を読むのは、スマートフォンをいじるのは、自分の部屋の中だけにしようと。
「もう絶対、絶対、りょーくんの前で、スマホを開かない!」
宣言する遥斗に、涼真はこっくりうなずいてくれた。
ぎゅうぎゅう涼真の手をにぎる遥斗の手を、にぎってくれた。
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