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涼真
てんし
しおりを挟む涼真は、かわいいものが大すきだ。
リボン、フリル、レース、ぬいぐるみ、お菓子、遥斗。
そう、世界でいちばん可愛い天使は、遥斗だとおもう。
3歳のころのことを、涼真はとてもよく覚えている。
遥斗と出逢ったときだからだ。
お話するのが苦手な涼真は、前の幼稚園で孤立していた。
こっくりうなずくか、ふるふる首をふるしか、できないからだ。
何を話しかけても、こっくりか、ふるふるかの子と、話したいとは誰も思ってくれない。
両親が念願の一戸建てを購入し、引っ越すと聞いたときも、自分の部屋を造ってくれると聞いたときも、特に何の感慨もなかった。
どこに行っても同じだと思っていたからだ。
どこに行っても孤立する。
どこに行っても、ひとりぽっちだ。
そう思っていたのに。
桜の花びらの舞い散る日だった。
車から降りたら、天使がいた。
ふわふわの栗色の髪も、おおきな栗色の瞳も、まるきり天使だ。
髪に天使のわっかが見える。
あたりまえだ、天使なんだから。
びっくりした。
ほんとうに、ほんとうに、びっくりした。
だって、天使は童話のなかの存在だと思っていたのに、目の前にいる──!
「さくら、はると、5さいです!」
世界でいちばん可愛い声がした。
当たり前だ、天使なんだから。
「さくら、はるとだよ。5さい。よろしくね、りょーくん」
天使が、名前を呼んでくれた──!
舞いあがった涼真は、こくんとうなずくので、精一杯だった。
差しだしてくれた手を、自分がにぎっていいとは思えなかった。
だって、天使だ。
そうっと影から見つめられたら、しあわせだ。
そう思っていたのに。
毎日、遥斗は涼真といっしょに幼稚園に通ってくれるようになった。
幼稚園のことを、教えてくれる。
涼真にできることは、こくんとうなずくことと、ふるふる首をふること。
なのに遥斗は、あきれることなく、涼真にやさしくしてくれた。
天使の手をにぎるなんて、もったいなくてできなくて、しょんぼりする涼真といっしょに、遥斗もしょんぼりしているみたいで、くるしくて。
でも、天使に、自分がさわっていいと思えなかったんだ。
運動会で、天使がころんでしまうまで。
びっくりした。
あわてて駆け戻った。
天使なのに、ころんで、血が出てる。
人間なのかもしれないと思った。
涼真と同じ、人間。
はるか高みにまします天使ではなく、地上に舞い降りた天使──いや、ええと、人間っぽい天使?
ころんだ遥斗は泣きだしそうで、涼真にできることは、天使を支えることだ。
勇気を、ふりしぼる。
それでも
「ん」
言うのが、せいいっぱいだった。
懸命にのばした手を、遥斗がにぎってくれた。
熱い手だった。
天使の手だ。
足が痛むのだろう、よろける遥斗を支えて、いっしょに歩いた。
夢みたいだった。
ちがう、夢じゃ、いやだ。
遥斗が、天使じゃ、いやだ。
おなじ人間でいてください。
どうか、飛んでゆかないで。
地上に引きとめるように、涼真は遥斗に手を差しだすようになった。
だって、手をつないでいる間は、遥斗は涼真の傍にいてくれる。
だれよりも、そばに。
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読んでくださって、ほんとうにありがとうございますー!
完結したのに、インスタでありがとうございますって申しあげたのに、閲覧ポイント30倍の誘惑に負けて(笑)更新してしまいましたー!(笑)
もちょっとするかも!(笑)
もしよかったら、楽しんでくださったら、とてもうれしいですー!
こんなの見たいとかあられたら、おきがるにどうぞです!
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