【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ

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おまけのお話

しゅわしゅわ

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 * * *


「うーん……」

 ねむねむな、冬の朝……!

 しかし、寒い……!
 ベッドで布団をかぶって二度寝した俺は、目覚ましアラームに起こされた。

「……がっこー……」

 ああ、そうだ、学校に行くということは、真紀ちゃんに逢える!

 元気に布団から這い出ようとしたけど、さっぶ……!

 そうして、気づく。

 音が、しない。
 朝が静かで、明るくて、カーテンを開けたら真っ白だった。

「わあ──!」

 ベッドから跳びあがった俺は、窓を開ける。吹きこむ冷たい風が、栗色の髪を揺らした。

 積もってる。
 学校も会社も、たぶんお休みだ。

 真紀ちゃんに逢える──!


『真紀ちゃん♡ 雪だるま、つくろー♡』

 パジャマのままメッセージを送った。

 ……子どもっぽいって思われるかな。

 心配したのは、送ってしまった後だった。


 きらわれないかな。
 いやがられないかな。
 うざいって思われないかな。

 心配する気もちと、やさしい真紀ちゃんを信じる気もちで、どきどきする。


 ららぽるん!

 真紀ちゃんの返信の合図に跳びあがる。

『わかった。どこで?』

 とくん

 鼓動が跳ねる。

『俺の家?』

 ららぽるん!

『……ご、ご両親に、ごあいさつ、を……?』


 ……!

 そ、そういうこともあるんだね……!
 そ、そうか、俺たち、つきあってた──!

 きゃ──!

 わたわたする俺に

 ららぽるん!

 メッセージが届く。

『雪で、菓子折り、持っていけないかも』

 菓子折りを持って、あいさつしようとしてくれてる……!


 家族に、打ち明ける。

 それは俺にとっても、真紀ちゃんにとっても、壮大な冒険だ。

 つきあいはじめたばかりなのに、真紀ちゃんに負担をかけたくない。

 でも、真紀ちゃんの気もちは、泣きたくなるくらい、うれしい。

 返信を打つ指が、ふるえた。


『気にしないでいいのに! えと、じゃあ、公園にする?』

 何でもないみたいに返す。

 ほっとしてくれたらいい。
 ……でもちょっと、さみしい。

 ほんとうは、両親に紹介したい。
 俺の彼氏は、こんなにやさしい人なんだって。


 いつか。

 もうちょっと俺が大人になって。
 真紀ちゃんと肩を並べられるようになって。

 胸を張って、真紀ちゃんと一緒に生きていくと言えるようになったときは。

 きっと。


 どきどきの胸でメッセージを送る。

『真紀ちゃんと、雪だるまと、雪うさぎを作りたいの!』

 ららぽるん!

『わかった。すぐ行く。愛希も、転ばないように気をつけておいで』

 いつもやさしい真紀ちゃんが、だいすき。

 思ったら、送ってた。

『わーい! ありがとう、真紀ちゃん! だいすき!』


 ららぽるん!

『あいしてる、愛希』


 どうしよう。

 真紀ちゃんが、だいすき過ぎて、溶けちゃいそうです。







 公園で待ちあわせて、ふたりで雪だるまをつくった。

 めちゃくちゃ楽しくて、めちゃくちゃ冷たかった!

「さっぶ!」

「きゃ──!」

 真っ赤になってしまう手に、ふたりで笑って、ふたりで雪まみれになって、おっきな雪だるまをつくりました!

「かわい──!」

 はしゃぐ俺を、真紀ちゃんが抱っこしてくれる。

 とろける頬で、おっきな雪だるまと一緒に写真を撮った。


「宝物にするね」

 真紀ちゃんを見あげて、冷たい風のなか熱い頬で笑う。


 あなたと一緒にいられるなら

 どんなときも輝いて

 あなたしか見えなくなってゆくのです。




「さっぶーい! おぜんざい食べよう! 俺がおごってあげるから!」

 かっこよく胸をたたいて、真紀ちゃんを近くの甘味処に引っぱってきたら

「塩こんぶちょうだい」

 塩こぶだけ奪われました!

「待って、真紀ちゃん! おぜんざいと、塩こんぶのタッグがいいんだよ!
 おぜんざいだけだと、ちょっとしょんぼりなんだよ!」

 あわあわする俺に、真紀ちゃんが笑う。


「愛希、かわいー♡」

 とろけるように笑ってくれたら、塩こんぶの切なさも、しゅわしゅわ溶けてゆくのです。










 ────────────────


 ずっと読んでくださる方、BLoveさまで応援してくださる方、アルファポリスさまで応援してくださる方、ほんとうにありがとうございます!

 書こうと思ったら、するする書ける愛希ちゃんと真紀ちゃん!(笑)

 ちょこっとでも楽しんでくださったら、ふたりといっしょに、とても、とてもうれしいです!




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