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おまけのお話
雪だよ!
しおりを挟む大寒波が来て、雪が降った。
豪雪地域の方々には、ほんとうに申しわけないのだが、社会人の俺にとって雪は、祝いの日だ。
雪が毎日降る地域の方々からすると信じられないと思うが、滅多に雪が降らない地域は雪の備えが、何にもない。雪が降って積もると、電車が止まる。道路が通行止めになる。
出勤できない = 休日!
ひゃっは──! な日になる。
外に出ると、すべって転ぶので、雪でも歩ける靴なんて持っていないので、おとなしく家で、おこたでぬくぬく、みかんを食べるに限る。
……おこた、ないけど。電気ストーブだけど。みかんは、あるよ!
そうして雪の日の、しあわせな、突然降ってきた休日を満喫しようとしていたら、最愛の彼氏からメッセージが届いた。
『真紀ちゃん♡ いっしょに雪だるま、つくろー♡』
彼氏が可愛すぎて、どうしたらいいか、わからない。
とりあえず、即行返信だ。
『わかった。どこで?』
『俺の家?』
────……!?!??
『……ご、ご両親に、ごあいさつ、を……?』
緊張しすぎてメッセージまで、つっかえた!
『雪で、菓子折り、持っていけないかも』
ケーキ屋さんも閉まってるよ!
『気にしないでいいのに! えと、じゃあ、公園にする? 真紀ちゃんと、雪だるまと、雪うさぎを作りたいの!』
彼氏が可愛すぎて、どうしたらいいか、わからない。
『わかった。すぐ行く。
愛希も、転ばないように気をつけておいで』
『わーい! ありがとう、真紀ちゃん! だいすき!』
だいすき
きみが言ってくれるたび
メッセージを送ってくれるたび
頬が燃える。
鼓動が熱い。
とくとく駆けて、愛希以外、見えなくさせる。
『あいしてる、愛希』
さらっと、より重い愛を伝えてしまう俺。
彼氏が可愛すぎるから、仕方ないな!
待ちあわせをした公園は、愛希の家と俺の家の中間くらいにある。ジョギングコースも森っぽい樹々もある、この辺りでは広めの公園だ。
これだけ広ければ、子どもたちの雪合戦や、雪像づくりに燃える大人たちがいないところで、愛希とふたりで雪だるまや雪うさぎを作れるだろう。
自転車も滑って危険なので、最強の防寒装備で、徒歩で向かう。
「うわ……!」
第一歩目から、ころびそうに……!
こわい……!
ぎゃ──!
俺は足が速そうに見えるらしいが、運動神経があんまりよくないので、雪の日に外出なんて、ひとりだったら絶対しない。
でも、愛希のためなら、こわい雪も、つるつるの足も乗り越えたいと思うんだ。
でも
「うわあ……!」
つるっつるだよ! やっば!
ぜえぜえしちゃう。一歩が大変だ……!
こんな情けないところ、ぜったい愛希には見せられないと思う。
でも次の瞬間、愛希だけには見てほしいとも思う。
情けなくて、かっこわるい俺のことも、愛希なら『真紀ちゃん、かわいー♡』笑って抱きしめてくれる気がするんだ。
よれよれしながら、公園にたどりついた俺を、愛希が飛び跳ねて迎えてくれた。
「真紀ちゃん! こっちこっち!」
ぴょこぴょこしてる彼氏が、かわいすぎて、どうしたらいいか、わからない。
「えへへ。ころばなかった?」
可愛く聞いてくれる愛希を抱っこしたら、つめたい頬をくっつけて笑ってくれる。
「なんとか。愛希は?」
「3回!」
「けがは!?」
あわてて愛希の身体を離したら、愛希が笑う。
「へーき! 真紀ちゃんが俺と雪だるま作ってくれるって思ったら、うれしくて、ぴょんぴょんしてたら、ころんじゃった」
彼氏が可愛すぎて、どうしたらいいか、わからない──!
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