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じゅわじゅわ
しおりを挟む『きー?』
不思議そうな風の精霊さんの声に、キーアは手をあげる。
「俺、キーア・キピアです。愛称は、きーちゃんです!」
楽し気に風が揺れた。
『きーか。よろしくな。俺は風の──』
不思議な音が、頭の奥に響いてく。
やさしく厳しい、風の音だ。
「あの、お名前、聞き取れないみたいです。闇の精霊さんのも、風の精霊さんのも。人間が聞いたら、だめなのかも」
名前には、力が宿るっていうからね!
「闇さんと、風さんとお呼びしてもいいですか?」
聞いてみました。
『そこは様だろ』
風さまに突っこまれました!
あわあわキーアは、丁寧に頭をさげる。
「ごめんなさい、風さま!」
『よきにはからえ』
ふふんと鼻を鳴らす音がした。
ヒュアァ──!
清かな風が、渦を巻く。
目の前で、ちっちゃな3等身くらいの男の子の短い群青の髪がほわほわ揺れた。
おっきくも凛々しい群青の瞳が見あげてくれる。
群青の衣をまとう、うさぎさんくらいの大きさの、ちっちゃな精霊さんが、びっくりするくらいきらきらだ!
「風さま! すごい! かっこかわいー!」
『さもあらん』
うむうむ腕組みしてる。かわいー!
『ぼぼ、ぼく、も……!』
きゅるると闇が集束する。
ふわふわの短い闇の髪が、キーアの鼻をくすぐった。
おっきな闇の瞳が、キーアを見あげてくれる。
真っ暗な闇のローブをまとう精霊さんが、心配そうに、ふるふるしてる。
『ぼ、ぼく、みえる?』
「見える! ぎゃ──! かわい──!」
もだもだした。
「抱っこしていーですか!」
聞きながら腕を伸ばしてた!
『……だ、だっこ?』
「ぎゅう!」
抱っこしてしまいました。
ほんのり、ひんやりしてる。
ふわふわしてる。
かわい──!
ぎゃ──!
ぎゅむぎゅむしました。
『お、おお俺も!』
風さまが、ちっちゃな手を伸ばしてきたので
「ぎゅう!」
一緒に抱っこして、笑う。
「か──わ──い──!」
『そうだろう、そうだろう』
真っ赤なほっぺで、風さまが、うむうむしてる。
『……だっこ』
きゅう
ちっちゃな手で抱きついてくる闇さまが、天使だ──!
きゃ──♡♡♡♡♡
両手にちっちゃなとびきりかわいい精霊さん!
天国か!
もだもだしてたら、清かな水の音がした。
『なんか楽しそうなんだけど。逢ったこともない僕のこと、冷たそうとか思うなんて、ひどくない?』
パシャン──!
水の弾ける音がして、透きとおる水の髪が流れた。
大きな水の瞳が、すねたようにキーアを見あげる。
「ご、ごごごごめんなさい、水さま!」
ドゴォァア──!
岩の砕ける音がして、黄土の短い髪が舞いあがる。
切れあがる黄土の瞳が、キーアをにらみつけた。
『俺は、頑固』
「ご、ごごごごめんなさい、地さま!」
ゴォオァアァオオ──!
目の前で、炎が噴きあがる。
灼熱のなかから、炎の髪が揺らめいた。
おっきな炎の瞳が、うるうるしてる。
『……僕のこと、いかついって。偏見だよ!』
「ご、ごごごごめんなさい、炎さま!」
心のなかで思うだけでも、だめだめでした!
ごめんなさい!
『あ、闇ちゃんだ』
『俺らのこと、いやなんじゃねえの?』
『ちっとも交流ないよね』
水さまと、地さまと、炎さまに言われた闇さまが、ちいさくなるのを、キーアは思わず背にかばう。
「闇さまが、皆さまと仲良くしたいと、おっしゃったので、俺がお逢いできないかと、お願いしたんです!」
『そうだぞ。一番に呼ばれたのが、俺さま!』
風さまが、えへんと胸を張ってる。かわいー!
『……ああ、一番呼んだらいけないのを……』
『風か……』
『なるほど……』
『ちょ、ひどくない!?』
涙目になる風さまを抱っこした。
「風さま、おやさしかったです!」
『そ、そうだよな!?』
うるうるな風さまに、こくこく頷いたキーアは、皆を振りかえる。
「あの、よかったら、皆さんでお話しませんか? おいしいお茶を淹れますから」
ヨニが!
と思ったけど、ここ、大公立学園で、授業中だったよ。
いや、今、闇のなかだけど。
たぶん、まだ授業中のはず……!
「家に帰ったら、トマがドーナツを揚げてくれて、ヨニがお茶を淹れてくれます。よかったら是非、いらしてください」
にこにこして、丁寧に頭をさげた。
『どーなつ?』
色とりどりのちっちゃな精霊さんたちが、そろって首を傾げてる。
か、かわい──!
もだもだして拝んだ。
反射です。
『よき。祈るがよい!』
風さまが、うれしそうだよ。
『……きー、どーなつって?』
ちょこちょこ、闇さまが、キーアの袖をひいた。
か、かわい──!
また拝んだキーアは、しゃっと起きあがる。
「あつあつで、じゅわじゅわで、あまあまのお菓子です!」
揚げたてはね!
『おぉお!』
風さまの目が、とろけてる。
『はぅ……!』
闇さまのほっぺも、とろけてる。
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