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激おこ?
しおりを挟む授業が終わったよー!
キーアは、ちっちゃな両手を掲げる。
学園初日とは思えない、充実した1日でした。
さすがロデア大公立学園!
と思ったけど
『きー、どーなつ!』
髪のうしろの影から、闇さまの可愛い声がして、キーアはぴょこんと跳びあがる。
そうでした!
これから精霊さんたちと、お茶会です!
「心配だから、送ってく」
微笑んで、しなやかな腕を伸ばし、やわらかにキーアの腰を抱いて、ものすごくナチュラルに、当たり前みたいに、おひめさま抱っこしようとしてくれるレォに、歓喜にふるえそうだったキーアは、あわあわ首を振る。
「だ、だいじょうぶ、歩けるよ!」
レォさまファンの青組の皆に殺されちゃうよ!
「キーアは僕の腕のほうがいいよね」
ひょいと、レォの腕からキーアを奪って、再び、おひめさま抱っこしてくれようとするルゥイにも、あわあわ首を振る。
「だ、だいじょうぶ、闇さまのおかげで、元気になったから!」
見開かれたルゥイの瞳が、やわらかに細くなる。
「すごいね、さすがキーア」
頭をなでなでしてくれたルゥイは、心配そうに眉を寄せた。
「でも、精霊さまが回復してくださったからといって、倒れた直後に騎士科の特別講義を受けるなんて、めちゃくちゃだよ。模擬戦、しかも、もみくちゃになる団体戦に倒れたばかりのキーアを出すなんて。講師の先生は、どなたなのかな」
鋭く切れあがるルゥイの目に、真っ青になったガチムチ先生が、ぷるぷるしてる。
「俺が出るって言ったんだよ、先生は無理するなって!」
キーアの言葉に微笑んだルゥイの目が、細くなりながら講師へと流れた。
「そこを止めるのが教師の役割だと思うけど」
ガチムチ先生が涙目になってる。
「……す、すまなかった、キーア・キピア。これからはもっと強く、大事をとるように指導する」
おっきい筋肉をちっちゃくしようとして、背中がまるくなるだけなガチムチ先生に首を振る。
「先生は何もわるくないですから! 俺が無理を言ったんです、ごめんなさい!」
さげるキーアの頭をぽふぽふしたルゥイが、教師を振りかえる。
「……まあ、キーアがそう言うなら、今回に限り、見逃してあげてもいいけれど──よく気をつけてくださいね」
「はい!」
ルゥイの目に刺された先生が、直立してる。
……あのう、どう見ても、生徒と教師の感じじゃなくて、ロデア大公立学園、学園長補佐 VS 一介の雇われ教師 みたいになってる!
さすがルゥイ!
思わず拍手してしまいました。先生、ごめん。
「ふふ、キーア、かわいー♡」
はちみつの髪を揺らして微笑むルゥイの若葉の瞳が、とろけるみたいにやさしくなったので、ゆるしてください!
「心配だから送っていくよ、キーア」
キーアの手をとろうとするルゥイを、のびたレォの腕が阻んだ。
「俺が送る。キーアに負担を掛けてしまったのは、俺だから」
切れあがるレォの青磁の瞳に、せっかくとろけていた若葉の瞳も再び鋭さを増した。
「それを言うなら、僕だよ。最初にキーアに負担を強いてしまったのは僕なんだから」
バチィ──!
ふたりの間で威圧の魔力がプラズマを放った。
レォとルゥイが、比喩じゃなくて、リアルで、バチバチしてる!
「あ、あの、ルゥイもレォも、気にしないで、俺、元気だから!」
ちょこっと力こぶを盛りあげてみました。
ルゥイとレォが、ちいさきものを見る目になってる。
……ちょっぴり不本意だけど、なごんでくれたかな? よかった。
ふうわり笑ったキーアは、ちょこんと服を引っ張られて、振りかえる。
口を挟む隙間がなかったのだろうネィトが、キーアの服の裾をつまんでた。
おっきい紫苑の瞳で、見あげてくれる。
「……あ、あの、きーちゃん、あの、僕、トマに乗せてもらったから、帰りの馬車が──」
ネィトの言葉に、キーアは朝、ネィトのお迎えに行ったことを思いだす。
一日が濃すぎて、もう随分前のお話みたいだよ。
お兄さまのティトさまの馬車に『帰りだけ乗せて』って言うのはめちゃくちゃ気まずいよな。
そうでした、伴侶(予定)なので、ネィトの送迎はキーアの担当です!
「キーアおぼっちゃま、お迎えに参りましたー!」
素晴らしいタイミングで、笑顔で手を振ってくれるトマは、間違いなくスーパー従僕だ!
「じゃあ俺、ネィトを送って帰るから、レォも、ルゥイも、また明日ね!」
にこにこ手を振ったら
「はあぁア──!?」
バチバチバチィイ──!
魔力のプラズマが、ものすごいことになったよ!
レォもルゥイも、激おこです。
きゃー!
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