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ネィト(受)
がんばるよ
しおりを挟むキーアは、がんばった。
カルシウムといったら、骨!
骨といったら、鶏ガラ! たぶん!
「骨を食べたい」
告げたキーアに、スーパー従僕トマは仰け反ったものの、気合で圧力をかけるというトマにしかできない技で骨をやわらかく食べられるようにしてくれた。
「ありがとう、トマ!」
もりもり骨を食べ、もりもり鉄棒にぶら下がった。
トマとの鍛錬も筋トレも欠かさない。
だって伴侶に求めるのは、たくましさ、包容力、頼りがい、やさしさ、一生いっしょにいたいと思ってもらえる、輝ける何かだ。
それを、愛というのだと思う。
でも攻略対象に『きゃー♡ きゃー♡』してしまったキーアも、たぶんネィトも知っている。
人の気もちは、とても移ろいやすいことを。
だからこそ、ずっと一緒にいたいと思ってもらえるように、力を尽くしたいと思うんだ。
「とりあえず筋トレだろ!」
拳をにぎるキーアは、がんばった。
「腹筋はバッキバキじゃないと!」
ふんふん腹筋にいそしむキーアの足を持ってくれるのは、ネィトだ。
「きーちゃん、すごい!」
拍手してくれると、重しがなくなって、ちょっと足が浮く。
あわあわして、また足を持ってくれるネィトが、かわいいです。
「……いいんですか、ネィトさま」
『なんだかキーアおぼっちゃまが、変な方向に全力で走りだしてる気がするんですが』
なんだろう、トマの声みたいな幻聴がする。
ちょっと心配そうなトマに、ネィトは笑った。
「僕、きーちゃんなら、どんなきーちゃんも、だいすき」
キーアの足を持ったまま、ネィトが笑う。
「他のかっこいい人たちに『きゃー♡ きゃー♡』してたきーちゃんのこともね、すきだったよ」
紫の瞳をやさしくほそめて、ネィトが笑ってくれる。
「……ごめん」
腹筋をやめて起きあがったキーアに、ネィトは首を振った。
「僕も、きーちゃんが頭を打つ前にルゥイやレォさまに『きゃー♡ きゃー♡』してたもん。あのとき、きーちゃん、僕のこと、きらいになった?」
聞かれたキーアは、考える間もなく首をふった。
「全然」
紫の瞳が、まるくなる。
「他の男に『きゃー♡ きゃー♡』してるネィトも、だいすきだったよ」
くしゃりと揺れた紫の瞳が泣きだして、キーアはネィトのちいさな身体を抱きしめる。
「……あれ? ネィト、やせた?」
首をかしげるキーアに、ネィトは笑った。
「きーちゃんが、おっきくなったんだよ」
鼻をすすったネィトが、見あげてくれる。
ああ、そうだ。
おんなじくらいの背丈だったのに。
いつの間にか、ネィトのつむじが見えるようになってる。
「うそ、俺、背、のびた……!?」
おどりだしそうなキーアの鼻に、ネィトのふわふわの唇が、くっついた。
ちゅ
あまい音に、耳まで燃える。
「僕、きーちゃんが、僕よりずっとちっちゃくても、だいすきだよ」
赤い頬で、笑ってくれるから。
愛しい、愛しい伴侶(予定)を、ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅう、抱きしめた。
「だって、世界一かわいいネィトの伴侶になるんだぞ。がんばらないとか、嘘だろう」
紫の瞳が、揺れる。
「がんばってくれるの、うれしい、けど。無理しなくていいんだよ。僕は、きーちゃんなら、どんなきーちゃんだって、だいすきなんだから」
すこしだけ身体を離したキーアの瞳と、ネィトの瞳が重なった。
そっと瞳を閉じるネィトのおでこに、キーアはそっと、唇を降らせる。
ちゅ
あまい音がして、紅く染まるネィトの耳を、キーアの指がやさしくなでた。
「そう言ってくれるネィトに、ちょっとでもふさわしくなりたいって、思うんだ」
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