オメガの悪役令息に推しの愛が届かない

  *  ゆるゆ

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 走りだした高位貴族の馬車に、家名のないオメガが乗っているとは思わないだろう、追いかけてきたジークが俺を見失ったのが、窓からちらりと見えた。

 あわてて身を低くして窓から見えないように隠れる俺に、親父がうろんな目を向ける。

「……ほんとに、お前は何をした……?」

「だから、人助けだってば!
 ちょっと質問していい?」

 前世の記憶が戻ったら、高位貴族の父親に対して縮こまらなくなった俺が、めずらしいらしい。
 おもしろそうに父の目が俺を見る。

「なんだ」

「うなじを甘噛みするだけだと、つがいとか、ならないよね?」

 あんなに可愛くかまれて、つがいになりましたとか、ないよな……!?


「はまってたか。尻じゃなくて、膣のほうだぞ」

 息子に露骨に聞く親父……!

「ない」

「かまれたところ、見せてみろ」

 手招きされたので、うなじを差しだした。

「ああ、かるく噛んだだけだな。これくらいなら問題ない。はまってもないんだろ?」

 こっくりうなずく。


「変な男に噛まれたら、大変だからな。逃げたのはよくやった、ルゼ。
 まあ俺も、ラィエ家なんていう高望みをしたのが、ちょっと欲張りすぎだったかもしれん。今度からは、たらしこみやすそうな、金のある下位貴族を狙っていこう」


「……えー……」

「孕むか、つがいにならないと、成人したオメガが、ふらふらしてたら、襲われるぞ!」

 それは確かに。

「いや、今まで放置だったよな?」

「お前が自分で成人したと言いに来ないからだろう! そろそろ成人かなと思ったら、すでに成人してた!」

 金づるの最高の売り出し時期の成人になる日を把握していない親父。詰めがあまい。

 しかしこれは、もしかして気にかけてくれて、心配してくれてたのかな?

 こんなだけど、やっぱり親父、ちょこっとやさしい?


「平民のろくでもないベータの子を孕んでみろ、価値が落ちて金がせびれないじゃないか!」

 さっき思ったことを800%撤回する!


「大事なことは、ちゃんと言いに来い!」

 激おこ親父に、鼻を鳴らした。


「邸に出入り禁止だし。会いに来るなって、しつっこいほど言ってたよなあ?」

「ぐぅ……!
 し、しかし、初日で、こんなに臭くなるとは、ルゼは思っていたより上玉だな!
 よしよし。いい子だ」

 頭をなでてくる親父が、俺のことを金の卵にしか思ってないのが、丸わかりだ!


「そうなると平民のベータに孕ませられたら大変だ。うちの使っていない別邸があるから、そこで住め」

 いいことしてやった感が満載の親父に、俺はひきつる。

「…………幽霊屋敷なんじゃ……?」

「誰も住んでると思わんだろう。丁度いいじゃないか。掃除するなよ!」


「ひどい!」











────────────────


 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 R18は向いていないみたいなので(笑)たぶんこれが最後のR18です!(笑)な、ルゼとジークのお話を、ずっと読んでくださる、あなたさまに、感謝の気もちでいっぱいです!

 ほんとうに、ありがとうございます!

 昨日、更新がぎりっぎりで『よいお年を』を書くのを忘れていました……ごめんなさい……!

 でも年賀状みたいになってよいかもしれません(笑)


 新しい年が、あなたさまにとって、すばらしい年となりますように!




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