88 / 152
Request
うさぎさんです(Request)
しおりを挟むネァルガ邸で朝起きたら、うさぎでした。
ノィユは茫然と目を瞠る。
鏡に映る自分が、まっしろな長い耳に、紫の瞳の、うさぎさんだ。
手が前足になって、もふもふしてる。
足が後ろ脚になって、もふもふしてる。
お鼻が、ぴこぴこしてる。
おひげが、ほわほわしてる。
お耳が、ながーいよ! 前足で、てしてしできるよ!
ひげは憧れだったけど、こうじゃなかった!
『はぅあー! ヴィル、ヴィル、僕、うさぎになっちゃったよ!』
隣でくぅくぅ眠っているヴィルの頬をてしてししてみた。
「……ん……ノィ、ユ……?」
寝ぼけたままのヴィルが、ぎゅっと抱っこしてくれる。
至福。
「……ふあふあ……」
くぅくぅ寝たヴィルが、がばっと起きあがった。
「ノィユ──!?」
『ヴィル、僕、うさぎになっちゃった!』
さがる眉毛が、ちょこちょこした毛だよ。鏡で見ても、困ってるのかわからない!
うさぎのノィユをそうっと抱きあげてくれたヴィルが、ノィユの目を覗き込む。
「……ノィ、ユ……?」
『僕だよ、ヴィル!』
きゅう
もふもふの前足で抱きついてみた!
ヴィルのまなじりが、ほんのり紅くなる。
「……ノィユだ……」
解ってくれるヴィルが、すごすぎる!
うさぎなノィユを抱っこしたヴィルに、エヴィの蒼の瞳がまるくなる。
「お、お兄さま!? う、うさぎ……? ど、どうなさったのですか?」
ヴィルとうさぎを見つめるエヴィの頬が、ふわふわ朱い。
「ノィユ」
「……………………は?」
「ノィユ」
もふもふの前足をあげてみました!
うさぎなノィユの目を覗き込んだエヴィが、息をのむ。
「……紫……精霊の瞳……うそ、ほんとにノィユなの!?」
こっくり頷くノィユに、エヴィの目が遠くなる。
「え、ちょっと待って? 3歳児とよりは、うさぎと伴侶になるお兄さまのほうがいいかもってちょっと思ったんだけど、僕、どこか間違ってる……!?」
うろたえてる!
「ちょ──! うさぎになっちゃうなんて、どういうことなのノィユ! かわいいじゃないか──!」
真っ赤なエヴィが、うろたえている!
「おはようございます、お義兄さま。
うわー、ノィユ? ほんとに? うさぎになってる!」
目をまるくしたトートが、頭をなでなでしてくれる。
「ちょ……! さわらないでよ! ぼ、僕だって……!」
さわる?
首を傾げるノィユの長い耳が、ほわほわ揺れる。
「ぐ──!」
エヴィはうろたえている!
前足をのばしてみた。
「くぅ──!」
ちょこんと伸ばした手で、前足を握ってくれた。
「はぅあ──! ほ、ほあほあ……! きゃ──!」
エヴィはうろたえている!
「エヴィが可愛すぎて鼻血が──!」
ノィユが出せないハンカチを、ヴィルがトートに差しだしてあげてる。やさしい。
「何か、知ってる?」
低いヴィルの声に、トートは頷いた。
「なんか魔の塔の奥で秘法を研究してる人が、お義兄さまが伴侶を持ったのが血涙が滝になるほど悔しいから『伴侶を一日だけ可愛くしてやる』って言ってた、らしいです」
ぽかんとしたヴィルの隣で、エヴィが親指を立ててる。
「あの人、最高だ──!」
ヴィルの藍の瞳が剣呑に細くなる。
「ちょっと、絞めて、くる」
『だ、だめだめ、僕、苦しくないよ、ヴィル、だいじょうぶだから! ヴィルが取られちゃったみたいで、さみしくて、哀しかったんだよ。僕、きもち、わかる』
きゅう
抱きついて見あげたら、真っ赤になったヴィルが、頭をなでなでしてくれる。
「……ノィユが、そう、言う、なら」
「………………え、お兄さま、ノィユが何て言ってるか、解るんですか」
エヴィの言葉にこくりと頷くヴィルに、トートが拍手してる。
「さすが伴侶!」
「く──!」
くやしそうなエヴィに、前足を差しだしてみた。
「ぐぅうぅう──!」
エヴィはうろたえている!
きゅ
前足を握って、頭をなでなでしてくれました。
「……うさぎなノィユは、お兄さまにくっついててもいい」
真っ赤なエヴィが、拗ねたみたいに呟いた。
ぷうぷう、うれしい声がこぼれて
「な、なんだこの可愛い生き物は──!」
ぎゅうぎゅうエヴィに抱っこされたのを、ヴィルの腕がさらう。
「ノィユは、俺の、伴侶、だから」
真っ赤な頬で宣言してくれた。
────────────
読んでくださって、ありがとうございます!
四葩様のリクエストで『魔法効果が かかってしまい、ノィユが1日もふもふになる』お話でした!
楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
2,439
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる