【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ

文字の大きさ
91 / 152
Request

15歳の誘惑(Request)

しおりを挟む



 15歳になりました!

 もう随分馴染んだヴァデルザ家の岩の砦なお邸で、ノィユは胸を張る。

 ちょっとおっきくなったよ。
 なんかちっちゃいけど、思ったより全然おっきくなってないけど、でも3歳の時よりはおっきくなったよ!

「ヴィル!」

 きゅう

 抱きつくのが腰になったよ!

「ちょ──! ひわいだから止めて──!」

 顔を真っ赤にしたエヴィが止めに爆走してくる。

 時々ヴィルに逢いに、トートと一緒にヴァデルザ家に帰ってくるエヴィは33歳とは思えない。ぱっと見10代にさえ見える。年齢不詳の精霊さんみたいなのは相変わらずだ。すごい。

「ノィユ」

 ほんのり赤い頬で頭をぽふぽふ撫でてくれるヴィルは、48歳になりました!

 正直に言います。
 嘘一切なしです。

 20代にしか見えない!
 ヴァデルザ家の顔面が、強すぎる──!

 ふつう、ふつうね、笑うと目じりにしわが寄ったりする年齢だと思うんだけど、ヴィルの顔面はぴかぴかに輝いてる。

「ほほ、今日もお元気でいらっしゃいますな」

 にこにこしてくれるロダも、12年前と変わらずおじいちゃん執事だ。歳をとったように見えない。

 なので、ちょこっと変わったのはノィユだけだ。

 あんまり変わってないとか、あんまりおっきくなってないとか、聞こえない!

「ねえ、ヴィル、僕、15歳になったよ!」

 もしゃもしゃの髪を揺らして、ヴィルがこっくり頷いてくれる。

「おめでとう」

「ありがとう! じゃなくて、僕もう大人だよ!」

「成人まであと3年もあるだろ! ごまかすな!」

 エヴィが拳を握ってる。

「えろ3歳児が、えろガキになり、えろ少年になったことは重々、重々承知している」

 エヴィの額で、青い血管がヒクヒクしてる。

「お兄さまを犯罪者にするな、こんのガキ──!」

「が、ガキじゃないもん! 大人だもん!」

「はァ!? ちゃんと機能するの?」

 ちょ……! 精霊みたいな顔で下ネタ堂々と言うの止めて!

 燃える頬でもだもだするノィユの上から声が降る。

「エヴィ、それはとても男の子を傷つける言葉だよ。ちゃんと謝罪なさい」

 33歳になったトートは20代後半くらいにしか見えないけど、ネァルガ家を率いてきた貫禄が出てきて、威厳が香るようになった。

 ちょっと唇を尖らせたエヴィが、蒼い瞳を伏せる。

「……ごめん」

「いえ、あの、僕も、ごめんなさい」

 エヴィやトートの前では殊勝に謝ったのですが。

 ヴィルとふたりきりだと、欲望が爆発するのです。



 ふかふかの寝台で、洗い髪のつややかなヴィルに、ぽふりと抱きついた。

「ヴィル」

 呼ぶ声が、あまくかすれる。

 きゅう

 抱きしめる指が、あまくふるえる。

 お風呂上がりの石鹸の香りがするヴィルの胸に頬を寄せる。

 やさしく頭を撫でてくれるてのひらに、だいすきが指先まで満ちてゆく。


「……ヴィル、僕ね、おっきくなったよね?」

 こくりと頷いてくれるヴィルの洗い髪に、指をすべらせる。


「……僕、僕ね……ヴィルが、だいすきで……」

 ささやいたら、ヴィルがほんのりまなじりを朱くして笑ってくれる。


「ノィユ、だいすき」

 低く、あまく、かすれる声で抱きしめてくれる。


 ぎゅう、とヴィルの胸に顔を埋めたノィユは、燃える頬で、ささやいた。


「……僕……ヴィルが、ほしぃ…………でも、ヴィルは、ちが、ぅ……?」


 泣きそうになった目で見あげたら、ヴィルが透きとおる藍の瞳で微笑んでくれる。

「ノィユが、18になるの、ずっと、待ってる」

 紅いまなじりでぽつぽつ紡がれる言葉が、降ってくる。


「……ヴィルも、僕と、したぃって……思って、くれ、る……?」

 ちょっと首を傾げたヴィルは、ちいさく笑った。


「ちっちゃい、ノィユが、だいすきで。おっきく、なってくノィユが、だいすきで。大切に、したくて。だから、考えて、ない。18になったら、考える」

 わがままなちっちゃい子供を諭すように抱きしめて、背を撫でて、微笑んでくれる。


 子ども扱いは、さみしいのに。
 ヴィルのやさしい気持ちが、おおきな掌から、細められた瞳から、頭をなでてくれる指先から伝わって、ほわほわ頬は熱くなり、とくとく胸は駆けてゆく。

「誘惑、されて、くれないの……?」


「ノィユが、だいじ、だから」


 ぎゅう

 抱きしめてくれる腕には、ヴィルのやさしさが沁みていて

 ほそめてくれる藍の瞳にも

 ほほえんでくれる唇にも

 つながる指にも

 ヴィルが想ってくれる気持ちが、満ちていて

 おおきな愛に、つつまれるから


「ヴィルが、大事なの。だいすき、なの。伴侶になってくれて、ずっと伴侶でいてくれて、すごく、すごく、うれしい。──でも、僕、なかなか大人になれなくて、ヴィルをずっと待たせて、ヴィル、僕が、つまんなくなっちゃうんじゃないかって──」


 あふれる涙で、声が滲む。

 こぼれおちてゆく涙に、ヴィルのくちびるが、ふれた。


「俺の伴侶は、ノィユだけ。誓った。絶対、浮気、しない」

 当たり前のことを確かめるように、口にしてくれるから。


「ヴィル──!」

 抱きついたら、抱きしめてくれる。



 あふれる涙も、不安な気持ちも、くるしい思いも、そのすべてが、ヴィルへの愛を輝かせてゆくのです。










──────────

 読んでくださって、ありがとうございます!

 リョウ様のリクエストで早く手出ししてほしくてヴィルを誘惑する話でした。


しおりを挟む
感想 335

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

処理中です...