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いんぺいしたい
しおりを挟むライバル店になるかもしれない相手の調査は大切だ。
王都で一番、ということはネメド王国で一番のお店だと思うけど、最底辺バチルタ家がライバルになる気だよ──!
ぷるぷるしながら、ノィユはこっそり拳をにぎる。
お店に飾られた可愛らしい砂糖菓子を見渡したノィユは、ぴょこんと跳びあがった。
「……あ、あの、えと……うさぎさん」
食べるときに『うう!』ってなるけど、買うなら絶対『うさぎさん』だ!
絶対絶対絶対うさぎさんは譲れないけど、ちょっと恥ずかしい気持ちになって、うつむいてしまうノィユに、やわらかな声が降る。
「うさぎさんね」
微笑んだトートが、ノィユの頭を撫でてくれる。
からかいも、せせら笑いも、何にもない。
ただ純粋に受けとめて微笑んでくれるトートの、透きとおる栗色の瞳を見あげたノィユの唇がほころんだ。
「エヴィさまが、トートさまを選んだ理由が、わかった気がします」
愕然と見開かれた栗色の瞳がノィユを凝視する。
「……え……? えぇえ──!? ちょ、ちょっと詳しく──!」
必死なトートが、かわいい。
広大なネァルガ邸に帰ったら、玄関ホールでヴィルとエヴィとロダが迎えてくれた。
「エヴィが迎えてくれるなんて──!」
トートが泣いてる。
「……お兄さまと一緒にいただけだもん」
ふんと鼻を鳴らすエヴィのまなじりがほんのり赤い。
かわいい。
「エヴィに」
トートに木箱を差しだされたエヴィが首を傾げる。
「……え? どうしたの?」
きょとんとするエヴィに、栗色の瞳をやわらかに細めてトートが微笑む。
「何でもない日に贈り物をされるとうれしいって、ノィユが。エヴィに喜んでもらいたいなって思って」
差しだした箱できらめく白い花のお菓子に、目を見開いたエヴィの頬が、ほんのり朱に染まる。
「……も、もらって、あげ、なくも……ない」
隣でロダがにこにこしてる。
「エヴィさまも大変おしあわせそうで、誠によろしゅうございました」
「…………も?」
エヴィの声が低くなる。
ちょっとびくっとしながらもヴィルに駆け寄ったノィユは、ちっちゃな手を伸ばした。
「ただいま、ヴィル!」
「おかえり、ノィユ」
ふわりと抱っこしてくれるヴィルのもしゃもしゃの髭の頬に
ちゅ
「ただいまの、ちゅう」
熱い頬で、笑う。
「──っ」
耳まで真っ赤になったヴィルが、ぎゅうぎゅう抱きしめてくれる。
「……はやく、大人に、なって」
ちいさな声に、ぎゅうぎゅうヴィルを抱きしめる。
「うわあん! ごめんね、ヴィル……!」
ふるふる首を振ったヴィルが、ぽふぽふ頭を撫でてくれる。
「……あ、あの、あの、もしかしたら、ちょこっとだけなら……?」
燃える頬でささやいたノィユに、エヴィとロダがぶんぶん首を振った。
「お兄さまを犯罪者にする気か、キサマぁあアァ──!」
「だ、だめです、ノィユさま! こらえて! こらえてください、ヴィルおぼっちゃまも!」
こくこくうなずくヴィルが、やさしいから、よけいにノィユは涙目だ。
せっかく伴侶になれたのに、大切な伴侶に我慢を強いるなんて……!
「……あ、あの、ほんのちょこっとだけなら、ばれないんじゃ……?」
中身30代なんだよ!
ほんのちらっとだけだから……!
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