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3歳です
しおりを挟むここは『助けてあげようかな』って思ってもらえるかどうかの大事な場面だ。
緊張に汗ばむてのひらを握ったノィユは声を張る。
「火山噴火で被害を受けた領民をたすけ、バチルタ家の莫大な借金を返すために、火山灰を肥料と美容洗顔料として販売し資金を調達、芋と砂糖大根を植えて農地復興、バチルタ家印のお菓子の製作販売も視野に入れ、商品にならない芋や食べられない芋や蔓で鳥を飼って火山灰土壌に不足しがちな成分を鶏糞で肥料として補いつつ卵と肉を生産、資金が増えたら安全な温泉地を開拓、平民から貴族まで楽しめる美肌の保養地としてバチルタ家領を売り出したいのです!」
演説したノィユに、皆がぽかんとしてる。
「……3歳……?」
商魂の塊だろうニィハまでぽかんとしてる。
「あの、成長したらただの人なので」
手を挙げてみました。
天才じゃないよ!
「せっかくなので、バチルタ家領から王都まで、芋と精製した砂糖や菓子を輸送し、観光客を運ぶ魔導列車もつくりたいです!」
あんぐり口を開けた皆が顔を見合わせた。
「……ヴィル、すんごい伴侶をもらったな……」
おじいちゃんにしか見えないゾホが、ヴィルの肩をぽふぽふしてる。
「えへん」
胸を張る伴侶が、かわいすぎる──!
ちょっとこれは話を聞いてもいいかなと思ってくれたかな?
よし、ここでお願いだ!
「計画はあるのですが、バチルタ家には火山灰を売るための包材を買うお金さえないのです! 必ず利益を生んでみせますので、融資のお願いと、安心安全で共闘してくれる商家をご紹介いただけたらと、伏してお願い申しあげます!」
土下座しそうになって、あわてて深々お辞儀した。
両親も完璧にタイミングと角度を合わせてくれる。
王兄メィファが拍手してくれる。やさしい。
「すんごい金儲けの匂いがぷんぷんする! ヴィル、すんごい伴侶をもらったねえ!」
可愛い豪商ニィハの目が爛々してる。
ぽふぽふ肩を叩かれたヴィルが
「えへん」
うれしそうに胸を張ってくれる。
ああもう、伴侶が、かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいよぅう──!
熱い頬でもだもだしたノィユが、ぴょこんと跳ねる。
「ヴィル、だいすき!」
きゅう
抱きつくのがお膝だよ。
「ぷ」
笑い声が茶色いフードの王兄メィファから聞こえて、皆が目を剥いた。
「わ、笑った!」
「メィファ、よかった!」
「よかったねえ、メィファ!」
皆に抱きつかれたメィファが、ほんのり赤い頬で瓶底眼鏡でこっくり頷いてる。かわいい。
円陣を組んで相談した売れ残り仲間の皆さんが顔をあげる。
「楽しそうだし、僕ら居場所なくて暇だし、バチルタ家領に行ってあげるよ」
にこにこして胸を叩いてくれる皆さんが、天使だ──!
「ヴァデルザ家領で、すること、あんまり、ない、から、一緒に、行く」
ヴィルも一緒に来てくれることになりました!
天使だ!
知ってる!
「では勿論わたくしも」
胸に手をあててロダが微笑んでくれる。
「えー! じゃあ僕も行く──!」
ってエヴィが叫ぶのは解ってた!
ネァルガ邸に帰って報告したら
「置いていかないで、エヴィいいイイ──!」
エヴィの腰に縋りついたトートが泣いてる。
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