【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ

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舞踏会編

さけびたいのです

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 失言にわたわたするノィユに声をかけてくれたのは、透夜だった。

「ノィユさまは、故郷の話をしたいのでしょう。なら昼間に、伴侶のヴィルさまと一緒にお茶でもいかがでしょう」

 微笑んでくれる透夜は、正統派な感じにかっこよくて、一瞬見とれた。

 前世だったら『モデルさんみたい!』って『きゃー♡ きゃー♡』言われちゃう! いや、今世もか!

 ヴィルが万一しょんぼりしたらだめなので、あわあわ振りかえったノィユに、ヴィルがほっとしたように微笑んでくれる。


 やっぱり伴侶が、世界一かわいーです♡ 


 だからこそ、大切な伴侶のヴィルに、前世とか、別の世界とか、ほんとにあるんだかないんだかよくわからないことで迷惑をかけたくないと思ってしまうのです。

 でも、はじめて逢った転生者とは、お話してみたい……!

「あ、あの、前の世界の話をしたくて……ヴィルは訳がわからないだろうし、あの、あんまり、こちらの世界の人に聞かせるのは、よくない、かと思って……」

 産業革命とか起きちゃったら、大変じゃない?

 歴史を改変しちゃう!

 ……なんとなく、なんか既に色々やらかしてる気がするけど、他国の転生者を巻きこむと、とんでもないことが起こりそうでこわいよ……!

 それでヴィルに迷惑をかけるなんて、絶対、絶対だめだから──!

 と思っていても、言わないと伝わらない。

 ヴィルの凛々しい眉が、しょんぼりさがってる……!


「ご、ごめんなさい!」

 ぎゅうっと抱きつくノィユを、ヴィルのたくましい腕が抱きとめてくれる。

「ヴィルに迷惑をかけたらだめだと思って……あの、前世の知識って……もしかしたら悪用もできるもので……大変なものかもしれないんだ」

 ささやいたノィユに、ヴィルはかすかに目をみはる。

「……そう、なのか」

「この世界が剣と魔法の世界だとしたら、前世は……電気と機械の世界、かな。全然ちがう。……だから、変なことを言っちゃうかもしれなくて……ヴィルやネメド王国の皆に迷惑がかかったらって……心配で」

「ありがとう」

 ノィユの頭をなでて、ヴィルが笑ってくれる。

「話してくれたら、ちゃんと、わかる」

 おでこをくっつけて、笑ってくれる。


 ああ、今日も伴侶が、最高にかわいいです──!


 もだもだしたノィユは、ちっちゃな拳をにぎる。

「で、でも、ヴィルは特別だから……! 僕の、伴侶だもん。……何にも隠したくない。でも、ヴィルにとったら変な話をするとおもう」

「うん」

「ちがう世界の話だから、たぶん仕組みも全然違って、意味も訳もわからないとおもう」

「うん」

「……知りたい……?」

 そうっと聞いたら、ヴィルの瞳が透きとおる。


「ノィユが、話したい、と、思って、くれたら、聞く」

 やさしい、やさしい声だった。


 ノィユのことを『頭がおかしい』思ったり糾弾したりすることなく、いつだって真剣に聞いてくれて、認めてくれて、信じてくれる。

 夢物語みたいな、前世の話でさえ。


 にじむ涙をヴィルの胸にうずめたノィユは、ぎゅうぎゅう、ヴィルを抱きしめる。


「僕が、前世のお話をするときは、ヴィルも一緒に聞いてください」

「はい」

 ふうわり、風花みたいに笑ってくれる。


「うわあん! ヴィル、だいすき! あいしてる──!」

 ぎゅうぎゅう抱きしめたら

「俺も」

 ふわふわ紅い頬で笑ってくれた。


 ジゼとリトも、透夜とよい子の隠密団の皆も、真っ赤になってる。


 突然敵国で伴侶に愛を叫ぶ使者で、ごめんなさい……!









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