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かも?
しおりを挟む僕のなかに、カイの魔力が補給されました!
……ちょっと、いや、とってもはずかしいのですが、カイがなかにいてくれるみたいで、ふわふわするくらい気持ちいいです。
「ちょこっと水の魔力が多くなってしまったような気がしますがの」
おじいちゃん魔導士の目に刺されたカイが、ちっちゃくなってる。かわいい。
「体調は、いかがですかのう、ユィリおぼっちゃま」
心配そうに聞いてくれるおじいちゃんに、僕はちょこっとだけ頭をふってみました。
「ぐらんぐらんが、ちょこっと、ましになりました!」
たぶん!
「おぉ! よきかな。
たぷんたぷんは、どうですかの」
僕はちょこっと跳ねてみました。
「ほんのり?
ちょこっと、たぷたぷしてます」
魔導士おじいちゃんが腕を組む。
「ふぅむ、やはり光の魔力も、ちょこっと補給してもらった方がよろしいでしょうのう」
「ま た あんのクソ王太子か──!」
ロドのお兄ちゃんのお顔が、さらにすんごいことになってる。
「いやいや、ユィリおぼっちゃまのお心に負担をかけるようなことは、控えた方がよろしかろう。またお倒れになっては大変ですからのう。他の方に頼むがよろしい」
おじいちゃん、やさしい!
「でも、くーちゃん、めちゃくちゃ痛かったです……! 電撃バリバリ、つらい……!」
ぐらんぐらんと、ばりっばりと、どちらがいいのかは大変にむつかしい問題だよね……!
涙目な僕に、魔導士おじいちゃんは首をかしげる。
「もう一人おられますでしょう。試してみるのはいかがですかな?」
のーすちゃん!
魔力、わけてくれるかなー?
でも、のーすちゃんのやさしさに、つけこむみたいじゃない?
「あんまり頼るのは、よくないかも。お家で倒れて迷惑をかけちゃったし、カイが魔力を補充してくれたから、しばらくはこのままで、だいじょうぶです!」
元気に手をあげる僕に、しっかりカイもうなずいてくれました。
「まさにその通りです、ユィリおぼっちゃま。ちょっと油断すると、いや油断なんてしなくても常時たぶらかしにくるような男には、近づかないのがよろしいでしょう」
のーすちゃんが、ものすんごい、たらしみたいに聞こえるよ!
「な……!?
あのクソ王太子だけじゃなく、弟までも、やばいのか……!
もしかしなくても陛下の血が、やばいのか……!」
どうしよう、ロドお兄ちゃんの不敬が、限界を突破しそうです。
「そうですね。近づかないのが、よろしいでしょう」
満面の笑顔で、カイが全肯定してる……!
「ゆりちゃんは、もう家から出なければいいんじゃないかな」
にこにこする、おかあさんの過保護が、限界を突破しそうです。
「そ、それはちょっと……!」
あわあわする僕に、おとうさんが微笑んだ。
「そうだよね、ゆりちゃんも、お庭にくらいは出たいよね」
頭をなでなでしてくれる、おとうさんの過保護も、限界を突破してるみたいです。
………………。
溺愛されて監禁な悪役令息ってそれ、R18のえちえちなBL小説じゃないの!?
『鉄板BL』ってそんなお話だった……!?
いやそれ鉄板じゃないんじゃない?
……え、もしかして鉄板なの……!?
きゃ──!
わたわたする僕の寝室の扉が開かれました。
みんなで一緒にご飯も、僕のお部屋だったんだよ。まあまあぎゅうぎゅうだったよ。
僕、3日も寝た後に起きたばっかりだから、みんなが心配してくれて、ベッドでご飯だったのでした。
そして心配してくれた皆が、僕のお部屋でいっしょにご飯だったのでした。
………………。
溺愛が限界を突破してる。
「あ、あのう、ユィリおぼっちゃまに、お見舞いのお客さまです」
声をかけられたロドお兄ちゃんと、おかあさんの凛々しい眉が跳ねあがる。
「誰?」
2人の厳しい声に、従僕のお兄さんが、ぴょこんと跳ねた。
「あ、あの、ノゥス・ロベナさまと、クゥス・ロベナさまと、ノク第二王配殿下です……」
……!?
きゃ──!
かもがネギをしょってきちゃった!
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