悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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おぉう

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 えー、僕のお部屋に、僕の家族全員(カイ含む)と、のーすちゃん、くーちゃん、ノクさま、王陛下がいらっしゃいましたよ……!

 ぎゅうぎゅうだよ!

 ロドお兄ちゃんより広いお部屋をもらっている僕なのですが(お兄ちゃん、ごめん。だって『一番広い部屋を、ゆりちゃんに──!』って言ってくれたので、甘やかされ悪役令息な僕は『ありがとう!』って、もらっちゃったのでした……)それでも狭いんですけど……!

 と言うか、王陛下からの圧が、すごいんですけど──!

 きゃ──!

「あ、あの、この度は陛下がお見舞いにいらしてくださるなんて、あまりの栄誉に卒倒しそうです……」

 お礼の口上を述べたはずなのですが、なんか間違ってる気がする……!

「陛下の御幸をたまわるなど、幸甚の至りにございます」

 凛々しいおかあさんが、キリッと言ってくれました。ありがとう、おかあさん!

「ですが、我が家の天使は昏睡が明けたばかりで、体調も甚だよろしくなく、誠に申し訳ないのですが、今はゆっくりと休ませてあげたいのです」

 …………………………!?

 王陛下に向かって、真正面から『帰れ』の圧をかけられる、おかあさんが強すぎない──!?

「お宅のご子息の一方的な伴侶(予定)契約の破棄により、ゆりちゃんは記憶を失うほど傷つき、もう二度も昏睡を経験しているのです」

 王陛下に向かって『お宅』って啖呵を切るおとうさんも、強すぎなんですけど……!

「お見舞いに来てくださるお心遣いは大変ありがたいのですが、今、最愛の弟は昏睡を抜けたばかりですので」

『なんで今、来やがるんだよ、帰れよ』の圧をかけられるロドお兄ちゃんも、強すぎです……!

「ゆりちゃんの心痛が重なるといけませんから、今日はお引きとり願えませんか」

 …………!?!

 王陛下に向かってはっきり直接『帰れ!』って言えるサザお兄ちゃんが、最強なんですけど──!

 きゃ──!

 あわあわしちゃう僕を守るように、カイが前に出てくれる。

「すぐ御者をお呼びします」

 さらなる『さっさと帰れ』の圧を繰りだすカイも、強すぎるよ──!

 家族全員から拒否られた王陛下の凛々しいお顔が、ひくひくしてる。

「……いや、うん。憤激が天空を貫いてるのは分かってるんだが、謝るのは早い方がいいと思って……その、セゥスもお見舞いに来たいと言ったんだが、余計にややこしくなるし、余計に噴火されそうなので止めておいたんだ」

 カイが王陛下に向かって、親指を立ててる。

 待って──!

 うち下位貴族なのに、不敬満開なんですけど──!?

 首が飛んじゃう!

 きゃ──!

「あ、あの、お見舞いに来てくださったお気持ちは、とってもうれしいです。ありがとうございます」

 前世の記憶に引っ張られるみたいに頭をさげそうになった僕は、慌てて手を胸に当てる。
 ロベナ王国で、感謝を表す敬礼だよ。
 王陛下には、本当はめちゃくちゃ膝を折るんだけど、今はベッドの上なので省略でお願いします。


「僕、もう大丈夫なので、どうぞセゥスさまにも、よろしくお伝えください」

 微笑んだ僕を、しばらく見つめた王陛下が、ぽつりとつぶやいた。


「……変わったな、ユィリ」

 静かな声だった。





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